店頭による販促活動について、前回は、店頭における食品サンプルの持つ力について述べさせていただいた。第2回となる今回は、“離れたところからでも既に販促は始まっている”との観点から、「30メートル集客」についてご紹介したいと思う。これは、通行人目線での看板やPOPの改善を行うことで、入店率を向上させ、新顧客を獲得するサービスである。「30メートル集客」の概要について シュウイチ デザイングループ の高橋秀一氏、事例について「花びし」を運営する有限会社勝馬 代表取締役の宮川壮介氏に話を伺った。
「 30メートル集客 」 とは、徹底した顧客視点でのサイン(看板)計画・店頭演出です。つまり、看板やPOPを活用し、来店予備軍である歩行者に伝達することで、店舗への入店率を向上させるサービスなのです。具体的には、①店舗の現状の集客に対する課題を把握するために、店舗の立地や周辺の人通り、歩行者の行動パターンなどを調べるために現地調査を行い、分析し、店舗が付近を通行する歩行者からどの様に認知されているのかを検証する 「 店舗検証 」を行います。これらの検証結果をもとに、②30メートル先から店舗に近づいてくる歩行者に対し、店舗の強み、魅力が効果的に伝達できるように看板やPOPの改善を行い、入店率を向上させ、新規のお客様の獲得を支援するサービスです。
新規のお客様を獲得するためには、そのお客様に対して4つの情報を知らしめることが必要と考えています。4つの情報とは、①業態 ②サービス内容・商品 ③価格 ④雰囲気、つまり 「 何屋さん 」 で 「 どのようなメニュー 」 があって、「 いくら位 」 なのか、そして 「 店内の雰囲気 」 はどうなのか、ということです。
これらの情報は、歩行者が店先に来る前に伝える必要があります。私どもはこれを 「 歩行者の3視点 」 と呼んでいます。30~50m手前の 「 遠視 」、7~10mの 「 中視 」、1m内の 「 近視 」 の3つの視点です。それぞれの視点と4つの情報を組合せることで、新規のお客様の入店率が上がるのです。
まず、「 遠視 」 点では、看板やのぼりなどで、「 おっ!飲食店があるぞ。何屋さんかな?」 と店を見つけてもらうために注意を喚起させることが必要です。「 中視 」 点では、タペストリーなどで 「 どんな料理があるのかな?値段はいくら位なのかな?」 とお店に対する興味を喚起させることが必要です。そして、「 近視 」 点では、メニューブックや店内写真の掲示で 「 どんな雰囲気なのかな?入ってみようかな 」 と欲求を喚起して入店へ導くようにするのです。
もちろんこれは、歩行者が多い繁華街のお店だけではなく、車での来店が多いロードサイド型店舗にも当てはまります。ただ、距離感だけが異なるのです。ロードサイド型の場合には、「 遠視 」 は100~150m手前、「 中視 」 は50~100m手前、そして近視は店先~駐車場の間となります。
「 30メートル集客 」 は、ITを駆使したデジタル式な集客方法ではなく、看板やPOPなどいわばアナログ的な集客方法である。しかし、皆さんの店舗の前を来店予備軍である人々が毎日、朝夕を問わず行き来していることも事実である。このような人たちを店内に誘導する施策として、「 30メートル集客 」 というサービスは非常に有効な手段ではないだろうか。
次回は、今年 「 30メートル集客 」 を導入した東京・市ヶ谷の 「 花びし 」 の事例を紹介したい。
30メートル集客 × Shuichi Design Group
design producer
髙橋 秀一(Shuichi Takahashi)
飲食・小売店のFC加盟店企業時代に、看板POPの威力に気付き、チェーン中ほぼ最下位だった店舗を4ヶ月連続で、売上伸び率全国1位まで押し上げた。これが30メートル集客の原点となる。その後IT企業入社。新規事業で飲食店がメイン顧客となったため30メートル集客を復活提供すると、導入店舗で売上昨年対比115%やランチ3回転するなど効果実績を出した。
現在は、顧客の強い要望によりShuichi Design Groupを設立し、支援店舗は400店に達した。徹底した歩行者視点での店舗検証を行い、見込み客から店舗がどう思われているのか、どうすればもっと安心して入店してもらえるのか 「 30メートル集客 」 でその店舗の良さを引き出す手法は好評を博している。