新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み ~ ”こだわり”の食材を全国に~

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み こだわりの食材を全国に

昨年の大河ドラマ「天地人」で一躍脚光を浴びた越後の国新潟県。三条市は米どころ新潟県のほぼ中央部に位置する包丁など金物で有名な県下有数の工業都市でもある。隣接する燕市はフォーク・ナイフなどのいわゆるカトラリー製品では世界有数の生産量を誇ることもありこの地域では「食」への関心は非常に高い。
こだわりのものづくりを行っている三条市の若手農業家が中心となり、自治体である三条市がサポートを行っている取り組みについてレポートする。

第2回 BUONA ESPERIENZA DI SANJO -豊穣の三条(2)

第2回 BUONA ESPERIENZA DI SANJO 豊穣の三条(2)

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み~”こだわり”の食材を全国に30品目近い料理のため、前回は前菜類しかご紹介をできなかった。まずは、パスタ類をご紹介したいと思う。

「 木村農園の舞茸とドライトマトのバヴェッティーニ 」

天然の舞茸はその希少性から 「 幻のキノコ 」 と呼ばれているが、三条の舞茸は菌床を山の土に戻し、できるだけ天然に近い環境の中で育成されているそうである。太い茎と肉厚で大きなカサを持ち歯ごたえが強く、濃厚で野生的な味と香りが特徴である。

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み~”こだわり”の食材を全国に「 下田産和牛のタリアータ エシャロットのピューレ添え 」 「 渡辺果樹園の新興梨とアンティーブのサラダ 」 「 北五百川(いもがわ)の炊きたて棚田米 」

メインのディッシュが並んだところで、再び実行委員長の岡村氏が登場された。

「 今ご賞味されているのが下田地区で育てられた牛のタリアータです。今は熱が通っていますので綺麗なロゼ色になっていますが、温度が下がってくると “ さし ” が綺麗に入っているのがご覧いただけると思います。まあ、ご覧いただく前に皆さん食べられてしまうと思いますが(笑)。

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み~”こだわり”の食材を全国にタリアータは牛肉を薄切りにしたものですが、このくらい綺麗に薄く切るためには包丁が良くないといけません。切れる包丁を作っているのが三条市です。包丁は三条の産業を支えています。 」 とまたまたウイットに富んだ説明があった。

私もこの時初めて知ったのだが、過去新潟県は梨の生産量が日本一だったことがあるそうである。新興梨は “ 新興 ” と名付けられているが、新潟県が原産の伝統のある梨だそうである。酸味が効いた甘さとアンディーブのほろ苦さがマッチした一品と感じた。

また、前掲通り國定市長から話があった、北五百川の棚田でとれたお米を俵型にしたおにぎりは美味であった。

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み~”こだわり”の食材を全国に最後はドルチェの数々の逸品である。

「 渡辺果樹園の新興梨とシャインマスカット 日本酒 「 五十嵐川 」 のジュレ 」 「 コシヒカリのアロスコンレッチェ バラのジェラート添え 」 「 山の果実コクワのソルベとヨーグルトムース 」

「 五十嵐川 」 はその名の通り、三条市内を流れる五十嵐川の伏流水と酒米の最高峰といわれる特A地区山田錦からできた日本酒である。種がなく、皮ごと食べられるシャインマスカットが入った日本酒のゼリーとは贅沢な逸品であった。ちなみにこのシャインマスカットを丸ごと一粒ちょうだいしたが皮も気にならず甘みがぎゅっと詰まっていた。國定市長によると現在香港の方に売るべくアプローチをかけている自慢の果物だそうである。

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み~”こだわり”の食材を全国にコクワは猿梨と言われるほど森の動物たちを魅了するデザート?だそうである。山岳地域だけで採取され、完熟出荷が難しいため、生食用の実はほとんど市場に出ることがないとのこと。それを近年、下田地区の山に天然原種が豊富に存在していることに着目した農家グループが新たな挑戦として優良品種の栽培に踏み出したのが、このコクワだそうである。

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み~”こだわり”の食材を全国に「 アーモンドとリコッタのトルタ紫イモとトミーノ・ピエモンテーゼのクリーム添え 」 「 鶴巻さんちのうみたて卵の昔なつかしいマンマのプリン 」

料理のとりを務めたのが、「 モーツアルトを聴いたル レクチェのフォンダンショコラとサフランのジェラート 」 であった。

そして、最後に今回の料理を考案作成された小松シェフからの挨拶でこの会は中締めとなった。

「 本日は、お忙しい中三条のためにお集まりいただきましてありがとうございました。お料理を通して、燕三条としてではなく、三条の良さを少しでもご認識していただけたら幸いでございます。三条には、刃物といった金属製品だけではなく、お米はもちろんのこと果物や野菜などまだまだブランド化ができていませんが、美味しいものがたくさんあるところなのです。本来であれば、生産者の方が来て皆様方とお話しをしていただければ一番良いのでしょうが、この時期農家の方は皆さん忙しいので、私が代わりにお料理を通じて、その生産者たちの思いとか、三条の土地について皆様にお伝えすることが少しでもできたらうれしいなと思います。どうでしょうか、少しは三条を感じていただけましたでしょうか・・・ 」(大きな拍手)

新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み~”こだわり”の食材を全国にこの冬は、是非三条に参上してください!」(笑) 「 本日は本当にありがとうございました。 」

今回のイベントを通じて、三条市の若手農家の方の危機感や農産物に対する思いというものを充分理解できた。何よりもこだわりを持って作られた食材の数々が本当に美味しいものであった。

更にこの若者たちの活動を孤立させずに市が全面的にバックアップしている姿勢に感銘を受けた。これも当選時、全国最年少の市長であった國定勇人市長の若い感性がなせる業ではないだろうか。

このような活動が功を奏し、飲食店のメニューとしてテーブルに並ぶ日が来ることを楽しみにしたい。

次回は、三条市のこだわりの品々についてお知らせしたい。



新潟県三条市の若手農業家たちの取り組み こだわりの食材を全国に

國定勇人 三条市長(写真左)
1972年 東京都出身
1997年 一橋大学商学部卒業後郵政省(当時)に入省
2003年 総務省から三条市に出向 総務省参事兼情報政策課長
2005年 三条市総合政策部長
2006年 三条市長当選(当時日本最年少の市長) 現在に至る

小松岳史 RESTAURANT GUSTO(イタリアンレストラン グースト)オーナーシェフ(写真右)
1971年 三条市出身 東京のイタリアンで4年、その後イタリアで半年、スペインで2年修行後、帰国。
小笠原伯爵邸を経て、札幌市内のレストランでシェフを務め、2006年独立。

三条市経済部営業戦略室
新潟県三条市旭町2-3-1 TEL;0256-34-5511 FAX:0256-36-5111

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