1919年、ベルギーのブリュセルで設立されたピュラトス。数多くの高品質なベーカリー、コンフェクショナリー関連製品を市場投入してきた同社は、今では世界100カ国以上に及ぶネットワークを構築している。
この8月に行われた2度の講習会の模様を通じてピュラトスの知られざる魅力を探って行きたい。
ベーグルの起源は、17世紀の終わり頃トルコに攻められたオーストリアが、ポーランドの援軍を受けて戦いに勝利したお礼として、乗馬好きのポーランドの王様に「あぶみ」の形を真似て作ったパンを献上したのがベーグルの始まりと言われている。
その後19世紀後半に移民によって米国にもたらされ、1980年代にニューヨークを中心にブレイクし、多くのベーグル専門店ができるようになった。その人気の秘密は、牛乳、バターや卵を使わない健康的な食品であるのと、外側はカリカリで内側はモチモチというその食感のよさからであろう。
日本においても1990年代になって知られるようになってきたが、中心はベーカリーショップで、専門店としては、株式会社ドリームコーポレーションが全国に60店舗以上展開するBAGLE & BAGLEがあげられる。
ベーグルはその種類の多さでも知られる。プレーンのまま食べたり、半分に切ってクリームチーズを塗ったり、具材を入れてサンドイッチタイプにしたり、生地にナッツやドライフルーツを混ぜたりと色々な食べ方がある。
このベーグルを手間をかけずに作れるというのが、ピュラトスジャパンのイージー・ベーグルである。ベーグルの伝統的製法は、生地を湯通ししてから焼き上げるのだが、イージー・ベーグルを使うと、湯通しをしなくてもベーグル本来の食感と味を実現できるという。
American Magic最後の実演は、米国で食事パンとして人気を集めているサンフランシスコサワーブレッドであった。
サワーブレッドは、簡単に言うとパン生地に乳酸菌や酵母を主体とした複数の微生物を培養させて作るパンである。乳酸菌が発酵する過程で生産する乳酸のため、名前の通り特有の強い酸味をもつパンが出来上がる。
ヨーロッパで一般的なライ麦パンもサワーブレッドの一種として知られるが、米国においては19世紀の中頃にカリフォルニア州でおこったゴールドラッシュの時にサワーブレッドがよく食されていたと言う。その名残でサンフランシスコは今でもサワーブレッドが名物として知られている。サンフランシスコ固有の微生物を使ったサワーブレッドは、鋭い酸味が特徴でシーフード料理に合うことでも知られている。
この日も講習会後に試食会があった。
ベーグルは、生地を湯通ししないにもかかわらず、外側はカリカリ、内側はモチモチであって食感を楽しみながら食せた。特にナッツを練り混ぜたベーグルは香ばしさも加わり非常においしいものだった。
しかし今回の試食会で特筆物だったのは、サンフランシスコサワーブレッドをくりぬいて中にクラムチャウダーを入れたパンであった。サワーブレッドの鋭い酸味とクラムチャウダーの甘味がマッチした究極の一品であった。確かにサワーブレッドはシーフード料理に合うと実感した。
プレーンベーグルのレシピ
<冷蔵法の場合>
成形後、30℃/80%の場所で30分発酵させた後、冷蔵(4℃)で20時間低温発酵させる。
最終発酵(30℃/80%)を30分とり、焼成する。
サンフランシスコサワーブレッドのレシピ
ピュラトスジャパン株式会社
会社概要 ベルギーに本社を持つピュラトスが親会社 。
世界のベーカリー、コンフェクショナリー、チョコレートのプロフェッショナルに原材料を提供するリーディングカンパニー。
社歴 1985年8月 ピュラトスジャパン設立
1998年3月 本社所在地を東京・蒲田より北青山に移転 同時にイノベーションセンターを併設
2002年5月 事務所のみを現事務所所在地に移
本社所在地 東京都港区北青山2-11-9 イノベーションセンター内
代表者 代表取締役社長 ジャン・ピエール ベルナルディノ
文: 斎藤栄紀