世界各地で米国産ポテトの需要を拡大させるために、外食店向けのメニュー提案をはじめとするさまざまな販促やマーケティングを展開している米国ポテト協会。少子高齢化、健康志向が進む中でのメニュー開発、永遠の課題であるFLコストの削減など飲食店に求められる課題解決の一助となりうるか、同協会が日本市場で展開している支援策を検証してみる。
株式会社ダイナックが展開する本格ヴィクトリアンパブ 「 THE ROSE & CROWN (ローズ&クラウン)」 は、2012年1月のグランドメニューリニューアルに伴い、米国産ノンフライポテトを使ったメニューを新たに採用した。「 THE ROSE & CROWN 」 は、イギリスの伝統的なメニューを独自のスタイルで提供している業態で、都内に13店舗を展開している(一部店舗はメニューが異なる)。今回のリニューアルは、「 トラディッショナルメニューを ROSE & CROWN スタイルで味わう 」 というテーマで、ビールやハイボールに合うマッシュポテトやベイクドポテトを使った5メニュー・6品が登場した。
新メニューは、「 ローストビーフの付け合わせ マッシュポテト 」 「 同ベイクドポテト 」、皮付きポテトのカレーバターソース 「 インディアン ジャケットポテト 」、羊肉のミートソースとマッシュポテトのグラタン 「 シェパーズパイ 」、野菜とマッシュポテトのパイ 「 バブル&スクウィーク 」、スパイシーミートとクリーミーなマッシュポテト 「 ハギス&マッシュ 」。
「 インディアン ジャケットポテト 」 「 シェパーズパイ 」 「 バブル&スクウィーク 」 「 ハギス&マッシュ 」 は、いずれも伝統的な料理であるため以前から提供されていた既存のメニュー。今回、米国産ノンフライポテトを採用することで、質やボリュームなどをブラッシュアップしている。また、ローストビーフの付け合わせとしては、初めて 「 ベイクドポテト 」 を提供することとなった。今回のリニューアルの狙いや料理のポイント、さらには、米国産ノンフライポテトを使用することのメリットについて、同社部長の濱脇宏二氏にお話をうかがった。
- 以前から米国産ノンフライポテトを使われていたそうですが、メニュー数を増やした経緯を教えてください。
調理の現場で使いやすいこと、お客様から味の評価が高かったことが理由です。パブ業態は、揚げ物など健康志向とは逆のイメージを持ったメニューが多くなりがちです。その中で、米国ポテト協会の 「 ヘルシーポテト 」 というコンセプトは印象が良いですね。メニューブックに 「 ヘルシーポテト 」 のロゴがたくさん入り、健康的なイメージを出せるのは有意義だと思います。
- 新しいポテトメニューのポイントは?
どうしても揚げたポテトが多くなるので、バリエーションを増やす意味でベイクドポテトとマッシュポテトを強化しました。「 ハギス&マッシュ 」 は、スパイスと羊肉のクセがありますが、マッシュポテトと合わせることで食べやすくなっています。ハギスだけではボリューム感が出ないので、ポテトを添えることで食べ応えもあると思います。
「 インディアン ジャケットポテト 」 は、ポテトと相性の良いカレーバターソースを使ったもの。ジャケットポテト(※英国では皮付きポテトをジャケットポテトと呼ぶ)自体は既存メニューですが、普通のソースではおもしろくないのでオリジナルのアレンジを加えています。伝統的な料理で看板メニューのひとつである 「 シェパーズパイ 」 は、米国産ノンフライポテトを使ったマッシュポテトに切り替えてボリュームもアップし中の羊肉のミートソースもより濃厚な味にブラッシュアップしました。以前のものと比較して評判はよく出数も増えています。
各メニューは既存ジャンルなので認知はされていました。さらにブラッシュアップされたという印象をお客様に持ってもらえたようで、いずれも好調な売れ行きとなっています。
- 米国産ノンフライポテトの利用について、店舗の現場からはどのような声が上がっていますか?
マッシュポテトは、ロスがなく、手早く使えるところも現場で評価されています。ベイクドポテトも同様ですが、冷凍であるために保存・管理がしやすく、オペレーション面で優れていると感じています。
ベイクドポテトは、形状や大きさにばらつきがない点がすばらしい。飲食店では、隣のテーブルと量が異なるのは致命的なミスですから。カットしてサイズを合わせる作業が無いだけでも現場は助かりますね。
- 最後に、米国産ノンフライポテトのご感想や今後に期待することはありますか?
使い勝手の良さやコストはもちろんですが、消費者目線で単純に美味しいですよね。乳製品や肉、野菜全般と何でも相性がいいので、業態を問わず使いやすそうな印象を受けました。これからのメニューの広がりに期待できそうです。
THE ROSE & CROWN
(株式会社ダイナック)
【 ブランド紹介 】 英国ヴィクトリア朝時代から市民の社交場として親しまれてきたパブの楽しみ方を、特製ハウスビールとトラディッショナルなスタイルのフードと馴染みの深いパブメニューで再現。ROSE(市民)からCROWN(貴族)まで、「 飲む歓び 」 「 食べる幸せ 」 「 語り合う楽しみ 」 を分かち合うという店舗コンセプト。2012年2月現在、都内13店舗を展開している(一部店舗ではメニュー内容が異なる)。
【 取材協力 】 株式会社ダイナック 東部バーレストラン 第二営業本部 第2営業部部長 濱脇宏二氏
米国ポテト協会
事業概要 全米4000のポテト生産者を代表する非営利団体で、「 ポテトは太りやすい 」 というマイナスイメージを払拭する目的で設立された(本部:コロラド州デンバー)。現在では、日本・韓国・中国・タイ・フィリピン・インドネシア・シンガポール・メキシコなど12の国と地域に代表事務所を置き、世界各国で米国産ポテトの普及、販促に努めている。
飲食店・ホテルはもとより、卸・小売、食品メーカーなど外食産業の各業態に応じたサポート・プログラムも提供。メニューやレシピの開発、技術的サポート、店内デモンストレーションの実施、POPツールの制作、企業協賛などを行っている。
取材協力 米国ポテト協会 日本代表事務所 プログラムマネージャー 友田理絵氏