世界各地で米国産ポテトの需要を拡大させるために、外食店向けのメニュー提案をはじめとするさまざまな販促やマーケティングを展開している米国ポテト協会。少子高齢化、健康志向が進む中でのメニュー開発、永遠の課題であるFLコストの削減など飲食店に求められる課題解決の一助となりうるか、同協会が日本市場で展開している支援策を検証してみる。
米国ポテト協会 日本代表事務所は、ホテルやレストランのメニュー開発担当者・食材メーカー・流通など外食事業の関係者を招いて、米国産ノンフライフローズンポテトの 「 ブッフェ用メニュー賞味会 」 を2011年11月に開催した。
これは、米国産ノンフライポテトの業界での訴求を図るために定期的に開催しているもので、3回目となる今年は東京ドームホテルが会場。同ホテルは、ブッフェレストランで 「 アメリカ産ポテトフェア 」 を開催したこともあり、米国産フローズンポテトを使ったメニュー開発や提供手法のノウハウを有している。今回はその経験を活かして、料飲調理部長の半沢純一氏をはじめとするシェフ達が、デザートを含めて15種類のブッフェ用メニューを用意した。半沢シェフが語る開発のポイントや米国産フローズンポテト各商品の利便性など、現場だから語れる貴重なコメントと合わせて代表的なメニューを紹介する。
ポテトサラダのカクテルポテトとアボカドの組み合わせが爽やかなサラダ
カクテルグラスに入れたサラダで、マッシュポテトにソース替わりのアボカドを合わせました。マッシュポテトの水分を活かした料理です。
ポテトパイスライスポテトのホクホクとした食感
米国産フローズンスライスポテトは、皮剥きなどの下ごしらえが不要な手軽さが便利。解凍したポテトを具材と合わせてからパイ生地で包んで焼くだけなので、作業時間の短縮は驚くべきものがあります。
ポテトとゴルゴンゾーラのオーブン焼きポテトとゴルゴンゾーラチーズの組み合わせが美味
ベイクドポテトを縦に半分に切ってから詰め物をして、立てた状態で提供しています。形状が一定の米国産フローズンベイクドポテトは、生鮮ポテトから作るベイクドポテトより見た目のバランスがよくなります。
ポテトと海老のガレットレッドパプリカのスイートチリソースポテトの食感とターメリックがほのかに香るソースが特長
IQFシュレッドポテトをソテーした料理です。フローズンポテトは粘り気が少ないので、ターメリックを入れた天ぷら衣で固めて、海老とともに焼いています。
土豆生煎包子ポテトと豚肉の焼き万頭ポテトでさっぱりと仕上がりに
(中華の宮田浩幸シェフ)
万頭にジャガイモをいれるというチャレンジの料理です。中華らしくダイス・キューブポテトを油通ししたので、形がしっかりと残り、肉と芋の食感の違いが楽しめるようになりました。
ポテトモンブラポテトを入れることでモンブランが軽い食感に
マッシュポテトに塩気が含まれていたので、それを活かすために白あんを混ぜ込んで甘みを工夫してみました。上に乗っているダイス・キューブポテトは、冷凍のままシロップに入れ、崩れないように弱火で煮込んでいます。
ポテトとリンゴのブリュレパンデピス風味ポテトとリンゴの相性がよい、料理長おすすめの一品
スライスポテトをそのまま使ってリンゴとともに焼き上げています。凍ったままオーブンで焼けるので、作業時間が大幅に短縮できます。
その他の試食用メニュー
【 ポテトとリンゴの冷たいスープ 】 【 ポテト・チーズのブーレットとオニオンスープ 】 【 スモークサーモン・ポテトケース焼き 】 【 ポテトクラストクラブケーキレモングラス風味トマトソース 】 【 ポテトとリ・ド・ヴォーのガレットとサフラン風味のピペラード 】 【 蒜耳土豆海鮮ポテトと海鮮の蒸し物ガーリック風味 】 【 東方辣椒牛肉ポテトと牛肉の唐辛子煮込み 】 【 ポテトロールケーキカラメル風味 】
半沢調理部長インタビュー
米国産フローズンポテトを扱ってみて、とても利便性が高いと感じました。解凍の仕方や火の入れ方などを研究して使い方をマスターできれば、ホテルの厨房ではすごく便利だと思います。焼き方の一例としては、コンベクションオーブンを多用しています。IQFシュレッドポテトなどは通常フライにしてしまえば使いやすいのですが、せっかくのノンフライポテトですからひと工夫してみたのです。ベイクドポテトは、冷凍庫から出してレンジで4~5分でできるのですから、すごく便利です。また大きさや形が一定であることもブッフェには都合がよく、例えば 【 スモークサーモン・ポテトケース焼き 】 でポテトケースをつくるときなど、形が揃い見栄えがよくなりました。
それから、解凍方法によっては水分が多いかなと思うことがありました。水分を飛ばすことが、より美味しくするひと工夫です。コンベクションオーブンを150度?160度の蒸気がない状態にして、そこに3分ほど入れて水分を飛ばしました。もちろん水分の多いことが使いづらいというわけではありません。【 ポテトサラダのカクテル 】 は口あたりをなめらかにしたかったので、マッシュポテトの水分を飛ばしていません。
作業時間で考えると、やはり米国産フローズンポテトの効果は大きいです。生鮮ポテトの場合は、皮を剥いて切るところからスタートですから、これだけのメニューを作るとなると作業量に相当の違いが出ます。それだけに、工夫を蓄積して使いこなせれば、驚くほど効率化が図れると思いました。ただ、その工夫自体が手間のかかるものでは意味がありません。ひと工夫を考えつくことが、米国産フローズンポテトを使いこなすポイントだと思います。
米国ポテト協会
事業概要 全米4000のポテト生産者を代表する非営利団体で、「 ポテトは太りやすい 」 というマイナスイメージを払拭する目的で設立された(本部:コロラド州デンバー)。現在では、日本・韓国・中国・タイ・フィリピン・インドネシア・シンガポール・メキシコなど12の国と地域に代表事務所を置き、世界各国で米国産ポテトの普及、販促に努めている。
飲食店・ホテルはもとより、卸・小売、食品メーカーなど外食産業の各業態に応じたサポート・プログラムも提供。メニューやレシピの開発、技術的サポート、店内デモンストレーションの実施、POPツールの制作、企業協賛などを行っている。
取材協力 米国ポテト協会 日本代表事務所 プログラムマネージャー 友田理絵氏