世界各地で米国産ポテトの需要を拡大させるために、外食店向けのメニュー提案をはじめとするさまざまな販促やマーケティングを展開している米国ポテト協会。少子高齢化、健康志向が進む中でのメニュー開発、永遠の課題であるFLコストの削減など飲食店に求められる課題解決の一助となりうるか、同協会が日本市場で展開している支援策を検証してみる。
米国ポテト協会日本代表事務所が、普及活動を積極的に展開しているのは、いろいろな料理やメニューに幅広く活用できるノンフライポテト製品である。米国産ポテトを加熱処理後に冷凍保存した 「 フローズン(冷凍)」 と、風味を損なわずに乾燥加工した 「 ディハイ(乾燥)」 の2種類がある。中でも、解凍するだけでマッシュポテトやベイクドポテトとして使えるフローズンタイプは、短時間で提供しなければならない外食の現場には非常に重宝する。
フローズンタイプには、マッシュとベイクドの他にシュレッド、スライス、ダイス・キューブの種類がある。いずれも皮剥きや下茹でといった処理が不要で解凍後すぐに使えるだけでなく、必要なときに必要な量を使えるのでロスが少ないというメリットがある。また、素材をそのまま加工しているので、生鮮ポテトと同様にいろいろな料理に活用できる。食材費・人件費・光熱費を総合して考えると、コストパフォーマンスが高い食材と言えるだろう。高品質の米国産ポテトから厳選したものを使用しているため味わいも確か。主に使用されているラセット種は、固形分が多く、ホクホクとした食感がある。
昨今は消費者の健康志向が顕著だが、ポテトそのものがヘルシーで栄養価の高い食材であることも外食店にとってはアピール素材となる。ポテト1個(148g)のカロリーは同量のご飯の半分程度であり、しかも、ビタミンCや炭水化物、食物繊維などが多く含まれ、カリウムに至っては、“ カリウムの王様 ” と呼ばれるほど豊富である。
外食店での米国産フローズンポテト使用事例は、着実に増えている。例えば、「 ハードロックカフェ 」 で国内唯一モーニングメニューを提供している上野店は、「 American Breakfast 」 のハッシュポテトにIQFシュレッドポテトを使用。アメリカ的なイメージと目新しさ、ボリューム等が評判でモーニングでの1番人気となった。「 御殿山ガーデンレストラン 」 は、2011年10月~11月に 「 米国ポテトフェア 」 を開催、「 カリカリポテトと水菜のシーザーサラダ 」 「 スライスポテトの磯辺揚げ抹茶塩 」 など6種類を提供した。味わい・ボリューム・低価格で人気を博し、実施期間を1ヶ月延長することとなった。
両店とも 「 幅広い層の集客 」 と 「 値段とボリュームによる顧客満足 」 という成果を得ている。
普遍的な人気をもつポテト料理であるが、日本ではまだまだフライドポテトの印象が強い。外食店で斬新なノンフライポテト料理を注文してもらうには、幅広いポテト料理を食べる習慣が根付く必要があるだろう。米国ポテト協会日本代表事務所は、その下地づくりを目指したアピールも積極的に行っており、冷凍食品のノースイが2011年9月から発売している家庭用冷凍野菜 「 野菜ソムリエが選んだベイクドポテト 」 を協会推奨商品としてバックアップしている。
ベイクドポテトやマッシュポテトは、付け合わせだけではなく一品料理として提供できるため活用範囲が広く、外食業界には適した食材だ。まだまだ市場拡大の余地があるノンフライポテトには大きなビジネスチャンスが隠れているだろう。
米国ポテト協会
事業概要 全米4000のポテト生産者を代表する非営利団体で、「 ポテトは太りやすい 」 というマイナスイメージを払拭する目的で設立された(本部:コロラド州デンバー)。現在では、日本・韓国・中国・タイ・フィリピン・インドネシア・シンガポール・メキシコなど12の国と地域に代表事務所を置き、世界各国で米国産ポテトの普及、販促に努めている。
飲食店・ホテルはもとより、卸・小売、食品メーカーなど外食産業の各業態に応じたサポート・プログラムも提供。メニューやレシピの開発、技術的サポート、店内デモンストレーションの実施、POPツールの制作、企業協賛などを行っている。
取材協力 米国ポテト協会 日本代表事務所 プログラムマネージャー 友田理絵氏