日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫る

日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫る

厳しい経営環境にある外食店で、求められているものは何であろうか。メニューの差別化、コスト面を含めた合理化、そして、ホスピタリティーの充実といったことが考えられるが、これらの要素を踏まえた上で日本の外食産業に向けて、新たなメニュー提案を実践しているのが米国ポテト協会である。米国ポテト協会は、レストランや企業などに対してアメリカ産ポテトに関する知識や情報を提供する非営利団体。「ジャガイモ」という普遍的な食材にいかなる新しい魅力を提供しようとしているのか。そのマーケティング施策とアメリカ産ポテトの真価に迫ってみる。

第4回 外食の現場から・フローズンポテト編 時間の短縮、使い勝手のよさなどハイパフォーマンスな食材~横浜ロイヤルパークホテルのケース~

第4回 外食の現場から・フローズンポテト編 時間の短縮、使い勝手のよさなどハイパフォーマンスな食材~横浜ロイヤルパークホテルのケース~

日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫る横浜ランドマークタワーにあるアーバンリゾートホテル 「 横浜ロイヤルパークホテル 」 では、2009年3月にアメリカ産ノンフライポテトを使った 「 ローストビーブとアメリカンポテトフェア 」 のランチブッフェを開催した。ファミリー客や女性客を中心に人気を集め、1日平均250名、繁忙期には400名を集めるという実績を残した。

日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫るこれを受けて米国ポテト協会は、アメリカ産フローズンポテトを広くPRするために、横浜ロイヤルパークホテルにて、昨年12月4日に 「 ブッフェ用メニュー賞味会 」 を開催した。参加者は、事前申込(無料)をしたホテルやレストランのメニュー開発担当者。ランチブッフェのメニューに加え、総料理長・高橋明氏が今回のために新たに開発した全16メニューが用意された。また、高橋総料理長から、ブッフェメニュー開発秘話、アメリカ産フローズンポテトの利便性やメリットなど現場ならではの貴重な体験談が語られたので、その内容を中心にメニュー賞味会をレポートしたい。なお、会の冒頭には、米国ポテト協会の国際マーケティングマネージャー、スーザン・ウェラー氏による講演 「 アメリカのマッシュポテト事情 」 も行われた。その内容は、後日に別コンテンツとして掲載する予定である。

今回紹介されたブッフェメニューのコンセプトは、本来 “ 付け合わせ ” としてのポテトを主役である肉や魚に負けない “ 存在感のある脇役に ” というもの。採用したフローズンポテトは、マッシュポテトの板状とポーションタイプ、シュレッドポテト、スライスポテト、ダイス・キューブポテト、ベイクドポテトの6種類。それぞれの特長を高橋氏は次のように説明する。

日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫る「 マッシュポテトのポーションタイプは、濃度や使用量など分量計算が楽で使い勝手がいいです。板状は、若干ですが水分量が多いように感じました。それを頭に入れて、広く活用するのに便利だと思います。シュレッドポテトは、5~6cmに美しく切りそろえられていますので、冷凍庫から出してすぐに揚げる、炒めるという調理に移れます。形を壊さず調理できるので、料理のプレゼンテーションが高まると思います 」

日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫る「 スライスポテトとダイスポテトは、他の食材と合わせやすいことが特長です。形状がそのまま料理に役立ちますので、創造性豊かなメニューを考えられます。ベイクドポテトは、生のポテトの形がきちんと残っているので、それが分かるように料理すれば、コースの付け合わせとして効果的です。6種類それぞれすべてに用途が違っていながら、それぞれに使い勝手が良いと実感しております 」

用意された16メニューは、どの料理も30分以内で作ることができ、ブッフェ料理に必要なスピード感と作業効率性が得られている。しかしながら、決して単純なものではなく、構成も単調にならないほど高いクオリティーと完成度を誇っているものだった。各フローズンポテトを使用した代表的なものを紹介する。

スモークサーモンとマッシュポテトのミルフィーユスモークサーモンとマッシュポテトのミルフィーユ

前菜として使える冷製ミルフィーユ。「 サーモンを別の食材に変えたり、マッシュポテトの中に食材を加えて、いろいろなタイプのミルフィーユにしていただければ料理の幅が広がると思います 」

鯛のポテト釜焼き鯛のポテト釜焼き

塩釜焼きにヒントを得たスライスポテトの釜焼。「 ブッフェメニューを構成する場合、たとえば8品であれば、1~2品は皆さまに感動をいただけるよう、目でも楽しめる料理を用意すべきです。こういった料理はあえて味にこだわるのではなく、視覚でお客様に喜んでいただくことを重視します。もちろん魚を肉に変えてもおもしろいでしょう 」

シュレッドポテトと烏賊のベーコン巻シュレッドポテトと烏賊のベーコン巻

シュレッドポテトと烏賊と浅葱をベーコンで巻いて揚げたもの。「 食感の違いを楽しめる簡単な料理です。ベーコンではなく白身魚で包んだり、烏賊を別の魚介にしたり、浅葱を山芋にしたりすれば歯応えも異なり、バリエーションが増えていきます 」

ポテトとパイナップルのタルトポテトとパイナップルのタルト

ダイス・キューブポテトを使用したデザートメニュー。「 あまり甘くしないことを心掛けたタルトです。パートシュクレにアーモンドクリームを絞り、そこにパイナップルとポテトのソテーを乗せて焼き上げたガトーです 」

あみ脂で巻いた肉詰めベイクドポテトあみ脂で巻いた肉詰めベイクドポテト

ベイクドポテトの中をくり抜き、煮込んだ肉をチーズで挟み、あみ脂に巻いてローストしたもの。「 形を残して、中身へのワクワク感を演出しています。肉をシーフードに変えるなり、味を変えるなり、簡単にバリエーションを増やせます 」

ランチブッフェ企画でアメリカ産フローズンポテトを使ってみて、保存性の高さ、ロスが出ないこと、優れたコストパフォーマンス性を実感したそうだ。そして、調理の現場がスピーディーであることも大きなメリットだったという。「 下処理がすんでいますので、2次加工に進みやすいです。料理長クラスの立場で考えると、時間の短縮という難問に大きなパフォーマンスを示してくれると思います 」(高橋料理長)。

日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫るまた、ダイス・キューブポテトやスライスポテトなど均一にカットされている製品は、頭の中に描いていた完成イメージに近づけやすいという利点がある。すべての面において扱いやすいことがアメリカ産フローズンポテトの大きな魅力であり、ホテルのように1人から1000人分の調理に対応しなければならない場所では、そのメリットは計り知れないものがあるようだ。

日本の厨房にヘルシーなアメリカ食文化を!-米国ポテト協会の開拓精神に迫る賞味会終了後、高橋料理長にポテトに対する顧客の反応、アメリカ産ノンフライポテトの日本市場での可能性について尋ねた。「 ポテトというのは、日本人にとても馴染みやすいものだと思います。基本的にポテトが好きという方は多いですから。食材として扱っている私たちもあまり意識していないことですが、栄養価が高くて低カロリーというポイントは、女性の関心を引く大切な要素です。肉や魚のようにメインメニューにはならないかもしれませんが、工夫次第ではお客様を呼び込むというメリットを引きだせる食材だと思っています 」



米国ポテト協会 友田理絵氏

米国ポテト協会

http://www.potatous-jp.com/

●団体概要 生産者の目線でアメリカ産ポテトのグローバルな発展を

コロラド州デンバーに本部を置く米国ポテト協会は、全米のポテト生産者を代表する非営利団体である。1971年の設立当初、「ポテトは太りやすい」といったマイナスイメージがアメリカ国内にあり、消費者に栄養価などに関する情報を提供することでそのマイナスイメージを払拭する目的で米国ポテト協会は設立された。その後、活動範囲を広げ、現在は、日本、韓国、中国、香港、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナム、メキシコ、コスタリカの12の国と地域に代表事務所をおき、アメリカ国内だけでなく世界各国でアメリカ産ポテトについての教育プログラムを展開している。

●米国ポテト協会のサポート・プログラム 米国ポテト協会は、サンプルの提供、メニューやレシピの開発、メニュー提案セミナーの開催や技術的サポート、店内デモンストレーションの実施、POPツールの制作、企業協賛、PR活動など、輸入および卸売、小売、食品メーカー、外食産業の各業態に応じたサポート・プログラムを提供しています。

●取材協力 米国ポテト協会 日本代表事務所 プログラムコーディネーター 友田理絵氏

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