外食企業の人材教育を考える ~e-ラーニング その魅力を探る~

外食企業の人材教育を考える e-ラーニング その魅力を探る 株式会社プラネット

昨年は、食品偽装、原材料や原油の高騰など外食産業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあった。その中でも少子高齢化、人手不足、人材不足など人事に関わる状況は悪化しつつある。
しかし、サービスが重要な要素である外食産業にとっては、「人がいないからサービスの低下は仕方がない」では済まされない。
そこで、外食ドットビズでは、人材教育が解決策の一つであると考え、他の産業では一般化しつつある ITを活用した教育・研修システムである“e-ラーニング”にスポットをあてる事とした。今回は、外食企業向け e-ラーニングの仕組を持つ株式会社プラネット社の協力のもと、外食企業における e-ラーニングのあり方を検証していきたい。

第5回 e-ラーニング導入の課題

第5回 e-ラーニング導入の課題

「 力仕事 」 である教育を継続して繰り返し行なうのに、外食企業でもビデオ動画化された教育素材を配布するといった広い意味での e-ラーニングの活用が始まっていることと、残念ながらそれが充分に活用し切れていない現実もあることを前回述べました。それはどうしてなのか。今回は、外食企業が e-ラーニングを活用するのにハードルとなる課題について少し詳しく述べて行きます。

課題に入る前に、この連載の ≪ 第1回 ≫ で述べた e-ラーニングのメリットについてもう一度確認しておきます。同システムの大きなメリットは以下の4点だと言えます。

ネットワークとPCなどの端末がある環境であれば、いつでもどこでも受講出来る。 ネットワークと PC などの端末がある環境であれば、「 いつでも 」 「 どこでも 」 受講出来る。

同じ人でも人が変わっても、同じ内容を繰り返し受講することが出来る。同じ人でも、人が変わっても、 同じ内容を繰り返し受講することが出来る。

音声や動画を使った、受講者が受け入れやすい教育コンテンツが利用出来る。音声や動画を使った、受講者が受け入れやすい教育コンテンツが利用出来る。

受講履歴や確認のテストの結果が管理者にフォードバックされ、個人別に対応したタイムリーな指導が行なえる。受講履歴や確認のテストの結果が管理者にフォードバックされ、個人別に対応したタイムリーな指導が行なえる。

店舗が各地に分散していて、集合教育を行なおうにもシフトの調整が儘ならない外食企業において、店長さんクラスばかりでなく、パート・アルバイト迄含めた全従業員に教育を浸透させるのに、 e-ラーニングは強力な武器になると言えるのではないでしょうか。

企業理念や顧客サービス、衛生管理についての知識と認識の浸透や、OJTの前後に実技の確認と、モチベーションの向上や教育の効率化に e-ラーニングは大きな威力を発揮します。

では、外食企業が e-ラーニングを導入するのにハードルとなるのは何でしょう。

 

e-ラーニング化する教育カリキュラムの構築

e-ラーニング化する教育カリキュラムの構築多くの外食企業が業務マニュアルを備えていますが、それがそのまま e-ラーニング教材に加工出来るのでしょうか。e-ラーニングの教材は、受ける側が散漫にならないよう受講対象と目的別に教育内容が体系化されてなくてはなりません。同じ店長でもキャリアによって内容は違うでしょうし(新人店長と幹部候補の店長など)、入店したばかりの新人アルバイトにまず覚えて貰うことと、入店1ヶ月が経ってステップアップさせる内容は違うでしょう。職種が違えばさらに内容が変わります。加えて、音声化、動画化する場合の台本作りや確認テストも作成するとなると、未経験の方には、コンテンツ作成前の準備が大きなハードルです。

まず、受講対象が絞られ育成の目的に沿った、教育コンテンツの体系と台本が必要になります。

 

製作の簡略化

製作の簡略化英会話やコンピューター操作、WordやExcelといったツールの使い方なら1本作れば多くの人が使えますし、既存のものを利用してe-ラーニングを行なうことが出来ます。ところが、外食企業の最大の特徴は、それぞれの企業が独自に開発し構築したフォーマットで競っていることであり、企業独自の教育コンテンツが必要、つまり汎用性がないと言うことです。だからと言って、自社用にコストと時間を掛けてビデオ動画を外注で作ったとして、それがどれだけの期間持つでしょうか。店内のフォーマットが変われば勿論、ユニホームが変わっても過去のもののようですし、洗浄機器の更新やダスターや洗剤が変わっただけでも違和感から現場では使わなくなるものです。

教育コンテンツは常時に簡単に追加・作り変えが出来るものでなくてはなりません。

 

店舗インフラの対応

店舗インフラの対応e-ラーニングは店舗でも自宅でも受講出来ることが大きなメリットですが、PCは店舗に1台しかないというのが当たり前ですし、売上チェックや発注で空き時間が余りなく、従業員全員で使い廻すなど到底無理というお店も多いでしょう。また、自宅で受講した場合はその分、時給を支払わなくてはいけないとお考えの企業もあることでしょう。1人に1台PCが用意された普通のオフィスと違い、外食店舗にはそのインフラに配慮した対応が必要です。

店舗にPCが1台でも従業員全員が受講出来る状況が必要です。

さらには e-ラーニングというコンピューターシステム運用の負荷も考えられるでしょうが、自社独自で開発したフォーマットで、自社がスタンダードとするQSCを守って競合する外食企業にとって教育の充実とそれによる顧客サービスの向上と従業員の定着率の向上は最重要の経営課題ではないでしょうか。教育システムの改善、改革に e-ラーニングは効果を発揮します。次回は、今回挙げた課題の解決について述べて行きます。



株式会社プラネット

株式会社プラネット

http://www.pnet.co.jp/

1984年設立。POSシステムを中心に一貫して流通業へのソリューション提供を手掛ける。
システム開発からデーターセンターとしての情報処理サービス、さらには稼動後のヘルプサポートまでワンストップで提供する。
今年より外食企業向けe-ラーニング・システムScoMの販売を開始する。

記事提供 : 株式会社プラネット

ページのトップへ戻る