昨年は、食品偽装、原材料や原油の高騰など外食産業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあった。その中でも少子高齢化、人手不足、人材不足など人事に関わる状況は悪化しつつある。
しかし、サービスが重要な要素である外食産業にとっては、「人がいないからサービスの低下は仕方がない」では済まされない。
そこで、外食ドットビズでは、人材教育が解決策の一つであると考え、他の産業では一般化しつつある ITを活用した教育・研修システムである“e-ラーニング”にスポットをあてる事とした。今回は、外食企業向け e-ラーニングの仕組を持つ株式会社プラネット社の協力のもと、外食企業における e-ラーニングのあり方を検証していきたい。
先回につづき教育訓練によってどういう効果が確実に得られるかということを纏めて箇条書きにします。
能力向上によって仕事に興味とプライドが生まれる。
良い社員が増えチームワークが良くなる。反対に悪い社員が居づらくなる。
退職率が下がる。
生産性が上がり無駄無理ムラが減少し、結果利益が上がる。
顧客満足度が上がり固定客が増え、結果売り上げが上がる。
今日教育したから明日その効果が現れるわけではありませんが、継続は力なりです。1週間、1ヶ月、半年と経つにつれ確実にその効果は現れます。
では、その効果を確実にするための教育とはどのようにあるべきでしょうか。
教育を受ける本人が知りたい、教えてもらいたいと思っていることから、まず教えます。教える側が 「 出来てない 」 と判断したことから教え始めるのではなく、教え始めないでください。最初は、本人の特性をとらえ、お互いのコミュニケーションの癖を知ることに注意して下さい。もちろん教える側は最初から親身になって相手の上達を思うことです。相手を思う気持ちは言葉にしなくても必ず伝わります。
次に、教える順序は、大きいことから小さいことへ、易しいことから難しいことへ、全体から細部へという順です。これがスキルアップを効率的に高める方法です。こうしないと決してスキルアップは望めません。
最初は教える側がやって見せることです。要望があれば数回繰り返し、次に説明をします。この際も順序は前述の順序 ( 大→小 易→難 全体→内部 ) と同じです。ポイントを強調したり説明を要約して繰り返したり、記憶箇所を暗証させたりといったことを漏れなく、企業がスタンダードとするレベルで行なってください。さらに、習い始めの人には判りにくいコツといったこともありますから、説明の後には質問させることを忘れないようにして、受講者にもやってもらいます。必ず失敗したり遅かったり何か欠けたりといった不満足なことが起こりますが、どんな失敗にも関係なく褒めたり勇気づけたりして望みを持たせます。やる気をおこさせることが教育訓練を効率的に進める重要なポイントです。
以上、申し述べた 1. 2. を実行していただくことで、教えるものと教わる側の 信頼の絆 が作られます。信頼の絆こそ 定着率を高める 人間関係の基本です。ポイントは教える側の 本気さ です。本気さとか真剣さというものは必ず相手に伝染します。
後は本人が如何に繰り返し練習復習するかにかかっています。褒める8 叱る2 位の割合で継続できるようフォローしてください。楽しくやるようにするのがコツです。できないのは業務のイメージが曖昧なのと繰り返しが少ないのが原因です。繰り返しを飽きさせず、学習を楽しく する工夫が必要でしょう。昔、アメリカマクドナルドのスーパーバイザーが 「 トレーニングは岸に寄せる波 」 のようだと言っていました。あくまで 繰り返しに ポイントがあるということでしょう。ここまで申し上げたことは単に調理やホールの 作業 のことだけではありません。マネージメントの中身である色々な 管理の仕事も 同じ方法が求められます。リーダーシップや判断力、想像力といった一般的には 天性と思われがちな能力 もこの方法で培われます。教育訓練の原理は変わりません。
このように店で働く人に対して店長やベテランが技能や精神的なこと、経験を要することを真剣に親身になって教えること、言葉を変えれば正しい面倒見が必要なのです。上長が面倒見よく、思いやりがあるならば、働く人はそんなに簡単には辞めないはずです。
ここで申し述べたことは要点だけですが、先回申し上げた 教育訓練は力仕事 だといわれる所以がお分かりいただけたと思います。力仕事である教育訓練が確実に無駄なく効果を挙げるには店内の業務が全てカリキュラムとして整理され、職務遂行能力の向上につながる 教え方が プログラム化されている 状況 が望ましいわけです。単に受講者の希望や教える側の思いつきでなく、各業務の目標レベルがあり、自分の能力の現状を掴むことにより更なる先への努力目標を自ら掴めるからです。上司の方も個人別に職務遂行能力が掴め、努力の方向や目標を示せ、人事考課の査定や処遇にも双方納得できる項目として利用できます。
上司自らに覇気があり部下の面倒見が良く 個人の能力向上 を真剣に考えてくれる企業、その効果が正しく 業績に反映 され、さらにはそれによって 処遇 してくれる企業。このような 人に関するしっかりした基盤を持った飲食企業 は確実に繁栄を続けるでしょうし、働く人も易々とは辞めないのではないでしょうか。
株式会社プラネット
1984年設立。POSシステムを中心に一貫して流通業へのソリューション提供を手掛ける。
システム開発からデーターセンターとしての情報処理サービス、さらには稼動後のヘルプサポートまでワンストップで提供する。
今年より外食企業向けe-ラーニング・システムScoMの販売を開始する。
記事提供 : 株式会社プラネット