お助けマンが語る! ~飲食店のリスクマネジメント 導入編~

集中連載 お助けマンが語る!飲食店のリスクマネジメント 導入編 外食ドットビズ

外食ドットビズでは、本年最初の特集で、「飲食店におけるリスクとその対策」という観点で、総合保険内容について掲載いたしました。今後も企業コンプライアンス CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)といったことが重要視されて来ることは間違いありません。
そこで今回は、ブログ・バーのアクセス数 NO.1 の≪お助けマンが行く!≫でお馴染みだけではなく、企業のリスクマネジメント分野でもご活躍中の宮本健さんに、「飲食店におけるリスクマネジメントの導入編」について語っていただきました。

第2回 外食産業のリスクについて考えてみましょう

第2回 外食産業のリスクについて考えてみましょう

私が初めて外食産業にかかわったのは、学生時代の「すかいらーく」でのアルバイトです。
一度、4年間の社会人経験をした後に専門学校へ通っていた頃なので、年齢にして22~24歳くらいのときです。(1980年代後半)
とくに外食に興味があったわけではなく、自宅から割りと近かったし「なんか食べられそう」だという全くポリシーのない理由で、すかいらーくを選びました。
そんな私ですが、アルバイト初日の研修で衝撃を受けます。ビデオによるオリエンテーションが待っていたのです。
すかいらーくでは店舗で働くアルバイトのひとりひとりに「すかいらーくとは何ぞや」とビデオ研修するのです。
「おっ、この会社はすごいな」と思いました。当時は今ほどシステムは確立してなかったものの、既にワークスケジュールや発注業務はPCで管理してました。
当時の社員は大卒の方が多かったと思うのですが、人としてのモラルとかマナーを教えてくれる兄貴分でした。

外食産業のリスクそれでは、今回の本題に入りましょう。今回は外食産業のリスクです。
ここでも外的要因と内的要因に分けてみてみましょう。
外的要因には、天災や天候といった自然環境にかかわるもの、BSE・鳥インフルエンザなど社会環境にかかわるもの、経済状況の悪化、食い逃げや外部犯による現金盗難など店舗営業にかかわるものなどがあげられます。
一方内部要因としては、食中毒や食あたりなど衛生管理にかかわるもの、スタッフの労働環境の悪化、モチベーションの低下等の人にかかわるもの、お客様のクレーム対応といったことなどが上げられます。
今回も表にまとめてみましょう。

■ 外部要因

自然環境
  1. 天候 (雨・強風・雪)
社会環境
  1. 経済状況の悪化
  2. 食材調達 (BSE・鳥インフルエンザ)
  3. 商圏内にライバル店の出店
店舗運営
  1. お客様同士の喧嘩
  2. 食い逃げ
  3. 外部犯による現金盗難
  4. 水漏れ

 

■ 内部要因

店舗運営
  1. 衛生管理 (食中毒・食あたり・異物混入)
  2. スタッフ (辞めてしまう・モチベーション低下・料理、飲物をお客様にこぼしてしまう・現金盗難)
  3. 店舗過失による火災

先日、愕然とした経験をしました。私の自宅近くの大手チェーンのファミリーレストランに行ったときの話です。
この店は 1 階が駐車場で 2 階が店舗になっているいわゆるピロティ型のお店だったのですが、店舗に上がる階段に破損したビンの欠片が飛び散っていたのです。
ちょっと前に割れてしまったのかもしれませんのでこの場では仕方がないと思ったのですが、3 日後に店の前を通ったときも状況が変わってなかったのです。
店頭に3日間ガラス片が飛び散った店には言葉を失いましたね。そちらの大手チェーンに勤めていた知人に改善の願いをこめてそのことを報告すると、その日のうちにガラス片は片付けられました。ですが、おざなりな清掃で小さな破片がまだ多数落ちていたのです。
心のない対応にガッカリするとともに、現場にリスクマネジメントを浸透させることの難しさを実感しました。

店舗でのリスク 続きまして、店舗でのリスクについてお話しましょう。
店舗におけるリスクの多くはお客様とのトラブル、そしてルールの不備や管理者の目が届きにくい事から起こる社内不正があります。
また、店舗で起こるトラブルは隠蔽される傾向が強く、隠蔽体質を脱却しなくてはリスクマネジメントは取り組めません。これは根の深い問題です。
顧客とのトラブルでは、スタッフのミスによるお客様からのクレームだけではなく、ときにはお客様の勘違いからクレームを受けることもあります。また、食材の納品の遅れや発注ミスによる品切れも、お客様に迷惑を掛けるトラブルです。
表立って問題視されることは少ないですが、売上げ機会損失にもつながる大きなトラブルなのです。
社内の不正は、やはり金銭にかかわることが多いように思います。また、商材であるはずの食材や飲料をスタッフが飲み食いしている事例も多いです。これは物販店に例えれば、スタッフが万引きをしているのと同じことです。
比較的 女性が多い職場ですので、セクハラなどもリスクの一つとして上げられます。

これも表にします。

 

■ 顧客とのトラブル

商品の欠陥
  1. 不良品
  2. 誤品
  3. 欠品
  4. 色の違い
  5. 異物混入
取引先
  1. 納期の遅れ
お客様
  1. 現金支払いのミス
  2. サービスの不満足
  3. 電話応対
  4. 言葉使い

 

■ 社内不正

店舗運営
  1. 不当・水増し請求 (カラ出張・私物の購入・私的な飲食)
  2. 横領 (切手や金券を金券・ショップで換金・仕入れ品の横領、横流し)
  3. 現金トラブル (売上金の使い込み・売掛金のごまかし)
  4. その他 (セクハラ・情報漏えい・労働時間の過少、多申告・ミスの隠蔽)

次回は、店舗で 発生する 事例とそれに対する対応方法についてお話します。



宮本 健(ミヤモト タケシ)
アットエイド有限会社

宮本 健(ミヤモト タケシ)

トヨタ系列の自動車製造会社で「カンバン方式」や「安全管理」「品質監理」、建築・店舗設計事務所にて「店舗設計・工事監理」を体得。
その後、外食産業にて、「店舗設計」「危機管理・リスクマネジメント」「運用ルール作成・改善」「衛生ルール構築」「内部監査部門の設立」「交渉業務」等、多岐にわたる業務を行う。
現在は、≪アットエイド有限会社≫の代表として、ビジネス番組出演や、企業のCS(顧客満足度向上)講師等も行う。

宮本氏ブログ お助けマンが行く!

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