OFSC、2011年度総会・全体会を開催 ~「標準接続規格」を実装の時代へ

OFSC、2011年度総会・全体会を開催「標準接続規格」を実装の時代へ

一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム(OFSC)は、ITの重要性を啓蒙するとともに、費用対効果の高い仕組みを外食企業が採用できるよう日々活動している。外食産業の各システム・機器を効果的に繋げるため、「標準接続規格」の開発を活動の柱にしているが、2010年度からは現場での実装に取り組んでいく。今回は、去る6月に東京・市ヶ谷の法政大学ビジネススクールで行われた総会・全体会の内容を紹介するとともに、同会顧問のきわむ元気塾社長である横川竟(きわむ)氏(すかいらーく創業者の一人)の特別講演の模様をお届けする。

第3回 第3回:特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏/後半

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏外食産業において 「 ITに期待すること 」 は、食に関する知識と技術の向上です。外食市場の調査では、外食と中食を合わせた比率が上がっていて、家庭料理を作らなくなったというデータが出ています。昭和30年代は、食材がすべて対面販売で、“ 物と情報 ” を一緒に売っていたわけです。「 こう料理するとうまいよ 」 と店の人が教えてくれました。それがスーパー全盛になると、“ 値段で物 ” を売るようになりました。みてくれ販売ですね。いまの親は情報がなくなった世代ばかりで、料理が作れなくなったからコンビニが発展しているわけです。知識と技術という情報を補完するのがITの役割なのではないかと思います。

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏実際にITをどう使うかというのは、私にはわかりません。すかいらーく時代に、すべての食品のデータを店舗で見られるような 「 食べ物データベース 」 を作ろうしたことがあります。実現はしませんでしたが、アスパラは立てた状態で保管するとか、シイタケは冷やさないとか、そういった情報をそろえるのは必要なことではないでしょうか。最近は、料理を提供する側も食べる側も “ 食べ物で体質が変わる ” ということに気づき始めています。正しい情報を早く伝えることも食に携わるものの使命となっているのではないでしょうか。

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏そういった意味で、「 これからの外食産業の課題 」 を挙げさせていただくなら、販売会社、工場、店舗の間で正しいデータを共有することで、食の品質向上と進化につなげていくことが必要と思います。それができれば、厨房とフロアの間で、「 食 」 に対する結びつきを強められるのではないでしょうか。それが、提供する料理の進化にもなるはずです。知識が足りないところをITで補うのが課題と言わせていただきます。これからは、「 低温レトルト調理システム 」 や 「 真空調理システム 」 といった新しい方法が次々と外食店舗に入ってくるはずです。厨房機器の開発はこれからどんどん面白くなっていくでしょうね。現在の大手チェーンは、流通機能で勝っているようなものです。そこに割って入るための手助けとして、ITを活用していけばよいのではないでしょうか。そこから食の進化が発生してほしいと思います。



一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム(OFSC)

一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム(OFSC)

http://www.ofsc.jp/

OFSCは、外食産業のIT活用を更に促進するために活動している団体であり、外食企業並びに外食企業を支えるIT企業が、共に健全な成長をしていくことを目指している。

そのための理念として下記の2点を掲げている。

1.「外食産業を支えるインフラとしてのITシステムの将来像」をつくりあげる
2.外食企業が直面する「日々の課題」に対しての解決策を検討・実行する

日々の活動は、課題ごとに分科会を設け、それに関連する会員が参画し検討・実行を行い、年3回行われる全体会議にてその成果を発表している。

■現在活動中の分科会
店舗システム分科会 企業システム分科会 仮想店舗分科会 マルチベンダー保守分科会 厨房システム分科会

横川竟氏 株式会社きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長(元株式会社すかいらーく会長兼社長)

横川竟 氏

株式会社きわむ元気塾 代表取締役社長(元株式会社すかいらーく会長兼社長)

1962年ことぶき食品有限会社(現株式会社すかいらーく)を設立、取締役に就任。70年に「すかいらーく」1号店をオープンする。株式会社すかいらーく会長などを務めつつ、農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」委員、社団法人日本フードサービス協会会長を歴任するなど、一貫して「食」に関わり続けている。08年にはきわむ元気塾を開き、講演や店舗アドバイザリーなどの活動を通じて、外食業界をはじめ日本実業界を幅広くバックアップしている。

文: 貝田知明

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