OFSC、2011年度総会・全体会を開催 ~「標準接続規格」を実装の時代へ

OFSC、2011年度総会・全体会を開催「標準接続規格」を実装の時代へ

一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム(OFSC)は、ITの重要性を啓蒙するとともに、費用対効果の高い仕組みを外食企業が採用できるよう日々活動している。外食産業の各システム・機器を効果的に繋げるため、「標準接続規格」の開発を活動の柱にしているが、2010年度からは現場での実装に取り組んでいく。今回は、去る6月に東京・市ヶ谷の法政大学ビジネススクールで行われた総会・全体会の内容を紹介するとともに、同会顧問のきわむ元気塾社長である横川竟(きわむ)氏(すかいらーく創業者の一人)の特別講演の模様をお届けする。

第2回 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏/前半

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏「 外食産業を元気にする 」 というテーマですが、とても難しい問題ですね。

「 東日本大震災とユッケ食中毒問題 」 「 最近の外食動向 」 「 ITに期待すること 」 「 これからの外食産業の課題 」 という4つの項目から、方向性だけでも示せたらと思います。

まず、「 東日本大震災とユッケ食中毒問題 」 に関してですが、震災により消費者の価値観が大きく変わっていくと思っています。それまでは、豊かな社会の中で人間は一人でも生きていけると考えていました。その前提が大きく崩れ、国が自分たちを守ってくれるのかということも怪しくなってきました。それだけでも大きなマーケット変化が起きるでしょう。私が地震後に感じたことは、外食業界の社会貢献が足りなかったということです。被害状況が明らかになって、多くの外食企業が被災地で食事を提供したのはある意味当然のこと。私が指摘したいのは地震発生当日のことです。

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏地震当日に首都圏等でいわゆる帰宅難民がたくさん発生した際、ホテルが施設内を開放して休ませてあげたり、コンビニが飲物を提供したりトイレを使わせるなどしていましたが、大手ファミレスの中には夜10時に閉店していたところがあったのです。これは、収益を最優先で経営しているということではないでしょうか。外食を “ 金儲けの道具 ” としか考えてない人がとても増えているように思っています。そういった教育が今の業界には不足しているのではないでしょうか。ユッケの食中毒もしかりで、あの会社は、利益再優先でサンプルの肉だけでしか品質を検査しなかったわけです。売り手である卸会社の考え方として、一番いいものをサンプルとしてもっていくのは当然ですよね。それだけで決めるのが大間違いですね。理想はロットごとに検査すること。大体、安全な生肉を低価格で出せるわけがないのですから。

「 最近の外食動向 」 としては、立地や店舗形態が変わりつつあると感じています。既存の郊外型レストランが軒並みダメで、新規出店の立地が駅ビル内・駅ナカ・駅前と駅周辺に集中しています。小型化した店の数が増えている状況で、いわゆるレストランが減ってFF化が進んでいるようです。その一方で、「 価格が安いだけの店はどうなのか?」 という消費者志向も進んでいます。最近成長しているブランドの 「 丸亀製麺 」 は安さだけではなく、手作りをアピールして安心感やライブ感を商品力に変えています。「 ステーキのけん 」 はサラダ食べ放題やカレーなど付加価値の魅力が大きいですね。

全体会 特別講演 外食産業を元気にするには きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長 横川 竟氏個人的には30~100店舗規模のローカルチェーンが残っていくのが理想的と思っています。ナショナルチェーンでは新メニューを出すのに約3ヶ月掛かってしまいます。これでは、食材の旬を追うことは難しいのです。対してローカルチェーンは1週間で入れ替え可能で、旬のピークに提供できるはずです。同じものを売り続ける駅前食堂のようなFRが増えていますが、外食業界はもっともっと 「 食の進化 」 を促していかなければいけません。ローカルチェーンとオーナーシェフが育っていかないと進化はできないでしょう。今は、いい素材をいい状態のまま提供することで大手を倒せる時代だと思っています。



一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム(OFSC)

一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム(OFSC)

http://www.ofsc.jp/

OFSCは、外食産業のIT活用を更に促進するために活動している団体であり、外食企業並びに外食企業を支えるIT企業が、共に健全な成長をしていくことを目指している。

そのための理念として下記の2点を掲げている。

1.「外食産業を支えるインフラとしてのITシステムの将来像」をつくりあげる
2.外食企業が直面する「日々の課題」に対しての解決策を検討・実行する

日々の活動は、課題ごとに分科会を設け、それに関連する会員が参画し検討・実行を行い、年3回行われる全体会議にてその成果を発表している。

■現在活動中の分科会
店舗システム分科会 企業システム分科会 仮想店舗分科会 マルチベンダー保守分科会 厨房システム分科会

横川竟氏 株式会社きわむ元気塾 代表取締役会長兼社長(元株式会社すかいらーく会長兼社長)

横川竟 氏

株式会社きわむ元気塾 代表取締役社長(元株式会社すかいらーく会長兼社長)

1962年ことぶき食品有限会社(現株式会社すかいらーく)を設立、取締役に就任。70年に「すかいらーく」1号店をオープンする。株式会社すかいらーく会長などを務めつつ、農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」委員、社団法人日本フードサービス協会会長を歴任するなど、一貫して「食」に関わり続けている。08年にはきわむ元気塾を開き、講演や店舗アドバイザリーなどの活動を通じて、外食業界をはじめ日本実業界を幅広くバックアップしている。

文: 貝田知明

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