シカゴでの三日間の「NRA Show 2006」視察を終えて、シカゴ、ニューヨークの複数の店舗を視察した。
店舗視察のレポートはまた別の機会にご紹介したいと思う。
総括として、「来てよかった」と感じたポイントを挙げて、まとめとする。
(1)「産業」という言葉の再確認
「NRA Show 2006」の総括というか、その後の店舗視察を含めて、米国ではフードサービスがきちんと「産業」になっているということを強く感じた。
「Nations Restaurant News」というメディアにて 随時アメリカフードサービスの情報は掲載されているが、業界動向を情報として共有してゆこうという動きとともに、たとえば環境に配慮した店をつくるためにはどうしたらよいかということが、産業全体で真剣に討議されている。
NRA Show 自体も、どちらかといえばそういう発想に立って運営されているのかもしれない。
実はここ(NRN)の偉い人を「NRA Show 2006」後のレセプションパーティーで紹介された。が、しゃべれないので印象を残すことなく終わったてしまった。・・・くやしいがまったく問題無しとしよう。
今後外食ドットビズをメディアとして成長させ、連携を強くしていきたい。(と思う。)
(2)「情報共有」姿勢の違い
アメリカの産業界は株主中心の経営が定着しているが、フードサービスも例外ではない。
投資効果ということに密接に連動していることは積極的に取り入れてゆきたいはずだ。
店舗の細かい改装が集客に効果があるといえば、たとえば「NRA Show」では、「Ask the Design Experts」というパビリオンが設けられ、「どのように」行うか、ということが専門家にアドバイスを受けられるようになっている。具体的な参加は出来なかったが、他のパビリオン同様、真剣であり、活気に満ちた空気が作られている。
かなりエキサイトしている人も。机バンバンたたいてたり・・。
店舗のどこに投資したらよいか、資金調達や客層に応じた改装提案、食材・メニューの点検など、一企業にとってはノウハウであるが、常に投資家と消費者のためにという意識が働き、有益な情報を共有するということについて、産業全体としての強い意志のようなものを感じた。
(3)産業としての機能・ビジョンの違い
今回紹介できなかったが、グリーン・レストラン協会から「グリーンプロダクツ」というエコプロダクトが積極的に紹介されていた。竹の素材(木を使うということが環境にダメージを与える。初めて知ったが。)のいくつかのレパートリーやそれを使うための具体的な提案がなされてたり、さらには「環境に配慮しています」ということを「いかに消費者にアピールするか」というちょっとおかしい提案もされていた。
キッチンイノベーションの稿で書ききれなかったが、厨房機器に関して言えば全体的な印象としては、「料理行程をお客様にさらす」行為がほぼ定着しているように思える。(会期後の視察で感じたのであるが)多くの厨房機器は客席から見られることを意識した造り(たとえばケースがガラスで、さらに曇り止めを装備し、自動洗浄により常にクリーンな状態を見せることを意識するような)になっている。
すでに、「健康に配慮したほうがいいらしいよ」という暗黙のトレンドに対し、米国フードサービス業界が敏感に反応してファストカジュアルの活性があった。
これに対し、さらに「できれば環境に配慮した店に行くといいよ」という消費者プッシュ要因を作る役割がメディア側にあり、プロモーションが積極的に実行に移されている。
このような動きも、つねに変化をウォッチし、アナウンスする機能が産業に定着していることの証明だろう。
(4)申し訳程度にトレンドの理解
これはほんとに私のレポートが少なくて申し訳ないが、「メキシカンカジュアル」というトレンドを少し理解した。
アメリカンフードフェアや、フランチャイズパビリオンでは、やはりメキシカンフード勢が活気にみちていた。
起業家たちに対する加盟店募集ですな。いわゆる大手は今回少なかった。
上記NRNによると、いまだこの市場はニッチな状況であるとのこと。タコベルなどに代表されるように、メキシカンフードそのものは存在していたが、人種構成に影響を与えるほどの移民増加により、より多様で、刺激的なフレーバーが登場して、それが消費者全体に受け入れられたのではないだろうか。
この現象についてはまだ結論らしきものは無いので、今後の動きに注目したい。
以上、総括になっているのかどうか。NRAショー自体のレポートはこれにて終了したいと思う。
全体的に一般的な「食トレンド」とかけ離れたレポートになってしまったかも知れないが、反省しつつ今後につなげてゆきたい。
情報源としてのこのショーの役割は申し分ない。フードサービスというよりもアメリカそのものを知るにしても非常に有意義なイベントであった。
だ、大統領が!最終日にほんとに来たらしい。
最後に、この取材稿を書くにあたり、参考にしたのは以外にも和書で、特に日本経済新聞社刊・茂木信太郎氏の「現代の外食産業」の情報を元に、私は視点を構築した。
テーマとしては日本との比較・違いを冷静な目で見たいという思いがあった。私が手にしていたものは若干発行年数がたっていたが、おおむね比較対象として問題なかった。今後の改稿を期待する。
また、ホテルで私と同室していただき、夜遅くまでとんちんかんな質問に丁寧に答えていただいた坂尻高志氏の適切なアドバイスが無ければ、このレポートは書けなかった。
この場を借りて御礼申し上げたい。
また、取材行のエピローグを後日掲載する予定である。どうでも良いと思われるかもしれないが(確実にどうでも良いエピソードを満載)、こまめにサイトをチェックしていただければ幸いである。
福本 龍太郎
国内コンピュータ販社にて流通小売業界向けSI事業部門を担当し、外食店舗店舗システムにも関わる。
現在は有限会社ノーデックス代表取締役。
ネットビジネス黎明期より各種サービスプロバイダを経験し、業務システムへのネット技術の応用・普及につとめる。