NRAショー開催に合わせて毎年行われる「Kitchen Innovations Award」という厨房機器・製品のコンテストを行うスペシャルイベントがあり、そのイベントでの各分野の受賞を受けた新製品を集約して紹介するパビリオンが展開されている。
イベントは実際に製品を使用したデモンストレーションを行い、特定の審査員(外食企業も含まれる)の審査を受けるという形だ。
できればそのデモンストレーションも見ておきたかったが、時間の都合で断念した。
17企業の革新的な製品が展示され、ここでもまた熱心な活動が行われていた。
唐突に、(というか体力やスケジュールや文面構成の都合上)さらにその中で「私アワード2006」を開催、授与決定することにした。
「Moobella Ice Cream System」 である。
これはイノベーションだな。
たった45秒でおいしいアイスクリームを自動的に作るマシーンである。
はあ?とか思うかも知れないがアイスクリームはアメリカの国民食なのだ。(私がそう思いこんでいるだけです。)
それが45秒で全自動である。これはすごい。(私がそう思いこんでいるだけです。)
機械の中にアイスクリームミックスを入れてスタンバイし、マシン前面の液晶パネルよりガイドに従うだけで(サーティーワンアイスクリーム、ハーゲンダッツなど、一般的なアイスクリーム屋さんを思い浮かべながら読んでほしいが)、アイスクリームがカップに入った状態で出てくるという優れものである。
スタート!
フレーバーとミックス選んで
チョイ待ち
チーン
という感じで最大96種類のアイスクリームが作れる。
画面から2つのアイスクリームミックス、12の風味、3種類のミックスパターンを画面にしたがって選択してゆくだけである。
出来上がりは申し分ない。ハーゲンダッツかと思った。
おそらくアワードを受賞したポイントは4つほどある。(私アワード)
(1)新しいスタイルを確立する可能性
オペレーション画面が非常に完成度が高く、今後ベンディング機能を搭載することにより、たとえばすべての分野のファストカジュアル店舗で可能性があるが、ドリンクバー形式同様、お客様に操作を開放しても良いほどである。
操作途中でアレルゲンアラートを出すなど、利口な作り方をしている。
(2)データの管理
原料のスタンバイ状態や残量が管理されており、画面でいつでも確認できる。適切なスタンバイ計画に大いに役立つ。
現在は未対応であるが、データ外部出力が可能になればチェーン規模の在庫管理に確実に役に立つ。
(3)管理メンテナンス
自動洗浄機能が搭載され、バットの洗浄から開放される。原料はセパレートされて格納されるので、洗浄する部分もミックス時の機構のみであり、構造が単純化されている。
(4)衛生的である
前項に続く内容だが、アイスクリームは乳製品であり、特に雑菌に注意する必要がある。
このマシンはMooBellaの規格化商品を原料として使用し、原料袋をそのまま設置でき、人の手を触れずにスタンバイが出来るため、非常に衛生的である。
また、一個単位での製造過程で加冷却されるため、原料の冷却スペースでバックヤードの冷凍庫のスペースが有効に使えるというメリットも期待できる。原料保管用の一定の冷蔵温度は必要ではあるが、前述の適切なデータ管理により、在庫コントロールで複合的にカバーできると思う。
これは、MooBella社 自体がアイスクリーム原料の製造を行うという製販一体の取組みで実現したものであるが、何より会社の戦略が明確であると感じた。WEBサイトではこのマシンにおそらく連動したカロリー計算のシミュレーションなどができるなど、いろいろな意味で完璧に設計されている。
ちなみ製品開発の始まりは、「単なる冷凍庫に制御パネルをくっつけてみた・・・」というところから始まったそうである。
・・・・・。
・・・この会社の株買いたいな・・・。
日本の外食産業において、この形をヒントにした製販一体展開はそう難しくないと思えるがどうだろうか。
次回は「なんでこれがアワードですかね」と感じたものと、他の製品をダイジェストで紹介して締めくくる予定。
その他の3日間通しての全体的な感想・まとめとエピローグに続く予定である。
明日から移動が続くのでちょっと間が開くかも知れないが、ご期待。
福本 龍太郎
国内コンピュータ販社にて流通小売業界向けSI事業部門を担当し、外食店舗店舗システムにも関わる。
現在は有限会社ノーデックス代表取締役。
ネットビジネス黎明期より各種サービスプロバイダを経験し、業務システムへのネット技術の応用・普及につとめる。