世界最大規模のサービス業界イベント「NRA Show 2006」が2006年5月20日土曜日9:00(米国時間)より、イリノイ州シカゴ・マコーミックプレイスにて開始された。
日本国内でも外食産業に関わる諸人においてはかなり知名度の高いイベントではあるが、その規模にも関わらず国内での情報量が少ないように思える。
私自身の所見が多分に入って申し訳ないが、ネットが発達した今日でも、いざ、チェーン理論の本家アメリカのやり方、状況・トレンドを知ろうとしても、なかなか情報が手に入りにくい。(ように思える。実際私自身が何も知らないということが明らかになった。)
当たり前のことだが、これから新しくM&A・ライセンス取得などを利用して米国ブランドの展開を考える人にとってこのことはまだチャンスがあるといえる状況であろう。
しかしながら、過去の例に見るとおり、米国のフォーマットをそのまま輸入・展開することは簡単なことでは無い。
産業としての成り立ち、背景・お客様の空気が国によって違うのは当たり前で、希少な成功例を作った先達は、その違いを認識し、各時代のマーケットに適応または流れを作ってマーケットそのものを育成させてきたのではないか。
情報そのものも大事だが、「違い」を認識することがはじまりであると思う。
主催者である全米レストラン協会(National Restaurant Association)の紹介文には、
「108カ国・73000人の来場数、上位200社のレストランチェーンからバイヤーが募る北米一のマーケットプレイス」
(少し意訳がある)
という言葉がある。ただの展示会という印象ではなく、積極的な情報収集が期待できそうだ。米国の外食産業の情報収集、また、日本の外食産業との違い(ここでは空気とかモチベーション)を感じるには絶好の機会といえるだろう。
ということを感じていた矢先、今回、OFSC研究会の協力を得て、なんと本物のNRA Show 2006取材に同行させていただく
ことになってしまった。
とりあえずオヘア行きの飛行機に飛び乗り、現地を見て前述の「空気」を感じてこようと思う。
と、いうわけで、現地に着いてしまった。
レポートという性格上、中身を重視しなければならないのでこのような展開になってしまったが、自宅~成田~オヘアまでも相当面白い出来事があったのだがそれはエピローグとして後日まとめることにする。
現地に着いてしまった以上は取材です。
今回のレポートは、主旨として
1. 単純に、今後のガイドとなりえる情報源として、周辺の情報も盛り込みたい。
2.「空気」「違い」を伝えたいと思うので、できるだけ印象のままにレポートをする。
それと、日本の展示会のように、出展ブースがあるので、企業の皆様とお話ができるようであれば、上記に述べたこれからの野心的な日本企業へのメッセージや具体的なコンタクト方法を聞き出せたらと思っている。
といっても通訳でご協力いただく日新航空の石田さん
(めちゃくちゃいいひとです)
が明日からの登場となるらしく、本日は下見程度を行い、概要とカットを何枚かお伝えして終わることにする。
パビリオン入り口
NRA Show 2006の概要をざっと。下記のパビリオンにおける出展企業とのコンタクトのほか、著名シェフやバーテンダー・デザイナーとの直接のコンタクト(セミナー等)が期待できる。
パビリオンの風景
見たことある
着ぐるみで気合が入ってます。
惣菜屋さんではなくパッケージの総合ソリューションメーカー
厨房のいろいろなセンサー。このあたりは後ほど詳しく
そのほか見世物的なイベントとして、アイスカービング(氷細工)コンテストが開催されており、これはぜんぜん関係なさそうで恐縮だが個人的に見てみたい。
あと、なぜかマラソンコースを開放している。
いずれにしても日本の一般的な展示イベントとは桁外れに積極的なプロモーション展開が実施されている。
パビリオンの概要は以下の通り
(1)Kitchen Innovations
厨房機器の構造化、IT化にいち早く取り組んだ企業の実例やセミナーが特別ブースで開催される。もちろん導入が活発なスチームコンベクションオーブンその他の厨房機器の現物のデモもある。
(2)International Cuisine Pavilion
世界中の食材事業者が集い、商談も行われる熱そうなスポット。
(3)EDGE
先端のデザインを施した店舗設備、什器、備品を展示
(4)Ask the Design Experts
店舗設計に携わるデザイナー・講師陣から生のコンサルティングを受けられる。
(5)Technology Pavilion
POSシステム・話題のKIOSUKU端末など、外食産業関連IT企業の先端技術を展示。米国ならではのシステム構築等、背景を含め違いを感じるところが多いかも知れない。
(6)Franchise Pavilion
起業家立ちにとって有力な選択肢となるフランチャイズビジネス。形態を問わず具体的な提案を積極的に展示している。
(7)Natural & Organic Pavilion
有機野菜などのオーガニックフードサプライヤーが集う。
(8)Frozen Food Pavilion
冷凍・冷蔵保冷機器の紹介から保冷輸送ソリューションまで、業界の幅広い層に提案を投げかける製品を多数展示。
結局初日はパビリオンのみ走り回っただけであるが、明日は落ち着いて会場周辺の様子・熱気(?)をできるだけ詳しくお伝えできると思う。
では。また明日!
福本 龍太郎
国内コンピュータ販社にて流通小売業界向けSI事業部門を担当し、外食店舗店舗システムにも関わる。
現在は有限会社ノーデックス代表取締役。
ネットビジネス黎明期より各種サービスプロバイダを経験し、業務システムへのネット技術の応用・普及につとめる。