2002年の道路交通法改正による酒気帯び運転等の罰則強化以降ノンアルコール飲料は一躍脚光を浴びることになった。歓送迎会のシーズンを迎えるにあたって、アルコールが苦手な人ややむを得ず運転をしなければならない人を宴会に取り込んでいくかは、幹事のみならず飲食店の方々にも命題となるだろう。近年では、ビールテイスト、ワインテイスト、酎ハイテイストなどとノンアルコール飲料の種類も豊富になりつつある。このなかで宴会の乾杯には欠かせないビールテイストのノンアルコール飲料について取り上げさせていただく。
- ノンアルコール飲料の定義についてお教え下さい。
酒税法上から言うと、アルコール度数が1%以上のものをお酒と定義されます。つまりアルコール度数が1%に満たないものはノンアルコール飲料というのが基本的な解釈になります。例えばアルコール度数が0.5%の飲料はノンアルコール飲料と分類されるのです。
- ノンアルコール飲料市場の変化についてお教え下さい。
ノンアルコールビールテイスト飲料で言いますと、道路交通法が改正された2002年頃から積極的にビールメーカー各社から発売されたのですが、その時はアルコール度数が0.5%ほどの商品が中心でした。この理由として、アルコール度数を落とすと味のバランスが崩れてしまうという課題があったため、ビールの風味を残す最低ラインが0.5%程度だったことがあげられます。しかし、これだと体調や飲む量によっては酒気帯びになる可能性があったため 「 完全なノンアルコールではない 」 という不安感で市場としてはあまり広がりませんでした。
2009年にキリンさんがアルコール度数0.00%の商品を発売し、当社も昨年(2011年)の3月にアルコール度数0.00%の 「 サッポロ プレミアム アルコールフリー 」を発売して以来、そうしたアルコールに対する不安感が払拭されて市場が広がったのです。
2011年度のノンアルコールビールテイスト飲料の市場は、前年を約20%も上回る見通しです。当社の出荷実績も前年比788%(※)と大幅に伸びています。これは、アルコール度数0.00%が当たり前となり、それに加えて各社が味や機能的な特徴といった付加価値を付ける開発にしのぎを削った結果、「 味がかなりビールに近くなったのにアルコールゼロという安心感 」 が市場に認知され、受け入れられた結果と見ています。
(※) 1月~9月比/サッポロビール株式会社データ
- 御社のノンアルコールビールテイスト飲料に対する取組についてお聞かせ下さい。
昨年 「 サッポロ プレミアム アルコールフリー 」 という商品を出したのですが、お客様のご満足を得られるように充分な開発期間をかけました。市場調査を行った結果、100%に近い方々より 「 ビールに近い美味しさ 」 を求める声をいただきました。ビールにおける実績とノウハウを持つ当社としては、「 コクや苦味が引き立つ味わい 」 をつくることがお客様の要望、期待にお応えすることと考えました。開発にあたっては、「 ノンアルコールビールを飲む人 = 普段からビールを飲む人 」 ととらえ、ビール好きな方にも受け入れられるしっかりとした味わいをつくることに注力しました。
- 「 サッポロ プレミアム アルコールフリー 」 の特徴をお聞かせ下さい。
「 “苦味” と “コク” が感じられるしっかりとした飲みごたえ 」 のノンアルコールビールテイスト飲料です。
これの実現のために試行錯誤してきました。「 麦芽100%の麦汁をつかうことがしっかりとした味わいを出す 」 ことが必要との結論に至り、製法から見直しました。麦汁をつくる工程では「ダブルデコクション法」を採用しました。仕込み時に2回煮沸する方法で、麦芽の美味しさを活かした飲みごたえとコクのある味わいが実現できます。ビールづくりと同じ製法ですが、その後の発酵過程がありません。それと華やかな香りと上質な苦味を特徴に持つ 「 ファインアロマホップ 」 を一部採用しました。これにより、プレミアムに相応しい、贅沢な香りとよりビールに近い苦味の後のすっきりとした味わいを実現することができました。
それに加えて、「 ヱビスビール 」 、「 サッポロ黒ラベル 」 、「 麦とホップ 」 と同様に、「 協働契約栽培 」 の原料を継承しています。
サッポロビール株式会社
1876年(明治9年)設立の開拓使麦酒醸造所で醸造された、北極星をマークとする冷製「札幌ビール」が社名の由来とされる。
1949年に大日本麦酒が分割された日本麦酒としてスタート。
1964年からは会社名もサッポロビール株式会社に変更。
2003年の持株会社制導入に伴い、新たにサッポロビール株式会社として設立。
代表者 代表取締役社長 寺坂 史明氏