"韓流ブーム”をきっかけとして、韓国の伝統酒であるマッコリの日本での消費量が急上昇した。以前は韓国料理店など一部の店でしか見かけなかったが、近年は様々な業態で取り入れられドリンクメニューの一つとして浸透しつつある。新たなドリンクメニューとしてマッコリの活用法を飲食店の皆様に情報提供させていただきたいと思う。なお、今回はサッポロビール株式会社の山本茂雄氏にご協力いただいた。
- マッコリとはどの様なお酒ですか?
米と小麦の麹からつくられるお酒です。もともとは上澄みと沈殿物に分かれていて、別々に飲んでいたものを混ぜて飲むようになったのが始まりと言われています。「 マッ (=全て) 」 「 コルダ (混ぜる) 」 と言う意味で、韓国語の発音だと 「 マッコルダ 」 となります。
韓国では古くから飲まれている伝統の大衆酒だったのですが、60年代から70年代にかけて消費が落ち込み、ビールや焼酎に大衆酒の地位を奪われてしまった経緯があります。現在は日本のブームが逆輸入される形で、韓国でもマッコリが再認識されているようです。
- マッコリが日本で飲まれるようになったのは何故ですか?
いわゆる 「 韓流ブーム 」 の流れに乗ったということもありますが、近年、韓国政府が食文化の輸出に力を入れたことが要因としてあげられます。日本が寿司と日本酒の食文化で世界へ出て行ったのと同様に、韓国はキムチで世界に出て行こうと考えています。キムチに合う酒としてマッコリの輸出にも力を入れているのです。
実は、法律上、大手企業はマッコリを製造することができなかったのですが、近年、法律を変えて大手企業もつくれるようにしたのです。ここからも韓国政府が国をあげて力を入れていることがわかります。
その結果、マッコリの対日輸出数量が大幅に増加してきています。これは当社の推定値ですが、2011年の輸入量は、2010年に比べて約2.5倍も伸びているのです。マッコリは、まだ世界中で受け入れられているとは言えませんが、日本では韓流ブームと韓国政府の思惑がうまく結びついて売上が大きく伸びていると言えます。
当社は昨年、韓国の大手食品メーカーであるCJ(チェイルジェダン)社とマッコリに関わる販売委託契約を締結して、業務用として 「 CJマッコリ 」 を発売しました。1000mlのペットボトルと375mlの瓶の2種類をご用意して、全国の飲食店様に向けて、「 CJマッコリ 」 をお客様に美味しく飲んでいただけるようにメニュー提案などを行っています。また、家庭用として 「 CJおいしいマッコリ <ピンクグレープフルーツ> 」 を発売しました。
- 「 CJマッコリ 」 の特長をお聞かせ下さい。
まず、日本で流通している多くのマッコリと違って 、「 CJマッコリ 」 は合成甘味料と酸味料を一切使っていません。また、原料の米は韓国米を100%使用し、本場韓国の味をお楽しみいただけます。まろやかでやさしい味わいが特徴のマッコリです。
ちなみに 「 CJマッコリ 」 は釜山(プサン)近郊の自然豊かな牛甫(ウポ)湿原近郊の醸造所でつくられています。牛甫湿原は、ラムサール条約の登録湿地で、半径5km以内には有害な物質流失の原因となるような建物は建てられません。この水源を使用していることも 「 CJマッコリ 」 の美味しさの要因となっています。
サッポロビール株式会社
1876年(明治9年)設立の開拓使麦酒醸造所で醸造された、北極星をマークとする冷製「札幌ビール」が社名の由来とされる。
1949年に大日本麦酒が分割された日本麦酒としてスタート。
1964年からは会社名もサッポロビール株式会社に変更。
2003年の持株会社制導入に伴い、新たにサッポロビール株式会社として設立。
代表者 代表取締役社長 寺坂 史明氏