個人向けに普及してきたスマホやタブレット端末であるが、近年では業務用の機器として使用されるようになってきた。その一つが、セイコーソリューションズが提供する『スマートデバイスPOS&オーダリングサービス「oishino(オイシーノ)」』をはじめとする飲食店向けオーダリングシステム(OES)だ。ここでは、さらに一歩進んだ、来店客のスマホやタブレットで注文するモバイルオーダーに関して深堀したい。
人材不足の深刻化による人件費・採用費の上昇、原材料の高騰や企業間競争の激化など、依然として厳しい状況が続いている外食業界。一方で、増加し続ける訪日外客数(日本政府観光局調べ)、20代を中心に個人年収の増加などを背景に上昇しているサラリーマンのお小遣い額(2018年6月新生銀行調べ)など、集客の余地はまだあると考えられる。
飲食店向けオーダリングシステム(OES)で大きな実績を持つセイコーソリューションズは、これまで主に省力化に力を発揮してきたOESに加え、“集客=機会損失の防止”につながるサービスとして注目されているモバイルオーダー「Linkto(リンクト)モバイルオーダー」のサービスを開始した。
OESは、店舗のホールスタッフが、客席で携帯端末を使って来店客のオーダーをとり、オーダー情報を厨房に送信する仕組みだ。一方、モバイルオーダーは、来店客自身が自分のスマートフォンやタブレット端末を使ってオーダー情報をお店の厨房に送信する仕組みだ。
日本では、まだスタンダードなシステムとは言えないが、海外に目を向けると、例えば米国では、「Starbucks」や「McDonalds」など多くの外食チェーン店舗で既に導入されており、利用者から広く支持されるサービスとして確立されつつある。
しかし、近い将来、日本でもモバイルオーダーの必要性がクローズアップされるかもしれない。現状でも、一部店舗では問題が顕在化しているが、ランチタイム時にテイクアウトの注文が電話で入ると、店舗側のオペレーションに支障をきたすことが多々あるのだ。例えば、同社のユーザーである大手中華料理チェーン店では、電話の注文に際し、1件当たり平均3分ほど時間が取られている。これがランチタイムに10~20件ほど集中すると、忙しい時間帯に電話対応のためほぼ1人が取られてしまうだけでなく、調理指示や出来上がった料理のセッティング、会計などの処理にも手が取られ、店舗運営に大きな支障をきたしてしまうことがあるというのだ。
現在、テイクアウトに対応していない飲食店でも、店内利用者に加え、店外利用者を新たに開拓することで商圏を広げ、売上の拡大のためにテイクアウトの導入を検討しているところもあるようだ。また、来年10月に予定されている消費税増税の際に、テイクアウトには軽減税率が適用されて8%のままとなることから、テイクアウトの需要が増える可能性もある。
同社では、これらの課題解決のため、「Linktoモバイルオーダー for テイクアウト」のサービスを開始した。次回は、同社が提案する「Linktoモバイルオーダー for テイクアウト」と「Linktoモバイルオーダー for フードコート」の2つのシステムの詳細を見ていきたいと思う。