飲食業経営のためのネット講座 「“労務管理者”必見!日本の社会保険制度を知る!」 ~飲食企業に重くのしかかる社会保険 -Vol.2 番外編 改正労働基準法-

飲食業経営のためのネット講座 労務管理者必見 日本の社会保険制度を知る!飲食企業に重くのしかかる社会保険 Vol.2 番外編 改正労働基準法

以前掲載した労災に関する記事にも多くの反響を頂戴したが、飲食業の経営者の方々にとって法律上、特に労務管理に関わることは非常に関心の高い問題であることを痛感した。そこで今回は第2弾として、今年の4月1日に施行された改正労働基準法に関してまとめてみた。

第1回 労働基準法とは

第1回 労働基準法とは

労基法とは、労働条件の最低基準を定めた法律であり、パート、アルバイト、嘱託等の名称にかかわらず、すべての労働者に適用されるものである。

ここで重要なのは、” 最低基準 ” であると言うことと、” すべての労働者に適用 ” されるものであることである。特に労働力をパート、アルバイトに負うことが多い外食業界の方々には、”正社員”との区別がないことを明記したい。

労基法は、日本国憲法27条【勤労の権利及び義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止】を受けて、1947年(昭和22年)に制定された。その後1987年には、週40時間労働制が制定(施行は翌1988年)されるなど時代の変革とともに改正されてきた。

飲食業経営のためのネット講座 「“労務管理者”必見!日本の社会保険制度を知る!」 ~飲食企業に重くのしかかる社会保険 -Vol.2 番外編 改正労働基準法-そして、本年4月1日にまた労働基準法が改正されたのである。

今回改正された労基法は、主に労働時間に関わるところである。そこで、本題に入る前に労基法の定める労働時間に関わるところをご説明したい。

労働時間とは

日本では、労基法32条で「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」としている。つまり日本における法定労働時間は、1週40時間と言うことになる。さらに付け加えると1日8時間までと定められている。

この法定労働時間は労働者が使用者の指揮命令下に置かれて時間を指すので、就業前の準備・朝礼、就業後の終礼・制服や作業服の着替えなどに要する時間も労働時間に含まれることを注意されたい。

36(さぶろく)協定

飲食業経営のためのネット講座 「“労務管理者”必見!日本の社会保険制度を知る!」 ~飲食企業に重くのしかかる社会保険 -Vol.2 番外編 改正労働基準法-時間外労働については、労基法36条に定められている。使用者は労働者の過半数で組織する労働組合又は前記労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者と書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合において労働時間の延長又は休日に労働ができるとしている。これがいわゆる36(さぶろく)協定と言われるものである。

36協定を結んだからといって無制限に時間外労働が認められるわけではない。

これは、「 時間外労働の限度に関する基準 」(平成10年労働省告示第154号)において一定の限度が定められている。

特別条項付き36協定

限度時間を超える労働時間が必要になる場合は労使間で特別条項付き協定を結べば限度時間を超える時間を延長時間とすることができる。

特別条項付き協定を締結する場合には「臨時的な、特別の事情」がある場合に限られる。

「 臨時的な 」 ものとは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要なものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれているものを指す。

「 臨時的な、特別の事情 」 として認められるものは、予算・決算業務、ボーナス商戦に伴う業務の繁忙、納期の逼迫などで、(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき、(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないとき、(特に事由を限定せず)業務繁忙なときや使用者が必要と認めるときなどの理由では認められない。

見慣れない法律用語が多数出てきたので、かなりお疲れの方もいらっしゃるであろう。今回はここまでにして、改正労働基準法に関しては次回の講義とさせていただく。

文: 齋藤栄紀

(参考文献: 厚生労働省ホームページ



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