地方の飲食企業の現状を知る VOL.4 時間を上手につくりだすことで繁盛店にできる ~酒販店がつくりあげたレストラン じょうのや & J's~

特集 地方の飲食企業の現状を知るVOL.4 時間を上手につくりだすことで繁盛店にできる 酒販店がつくりあげたレストラン じょうのや&J's

地域に密着した営業で成果を上げている飲食企業のレポートも4回目となった。今回は大阪の酒販店がつくりあげたレストランを取り上げる。食の激戦地・大阪で、酒販店ながらの強みを活かし、工夫を重ねながらレストランを運営する株式会社赤坂の飲食店経営に対する取組を同社取締役竹中唯史氏にお伺いした。

第3回 食に厳しい大阪だからこそやりがいを感じられる

第3回 食に厳しい大阪だからこそやりがいを感じられる

- 大阪での飲食ビジネスについて感じられていることをお教えください。

入社前に実家の串かつ屋(栃木県・宇都宮市)を半年ほど手伝ってから大阪に帰って来たのですが、関東との違いが良くわかりましたね。大阪で飲食店をやるのは非常にきついですね。食に対して貪欲というかぎらぎら感があるような気がします。味に対しても、サービスに対しても一家言お持ちの方が多いですね。

地方の飲食企業の現状を知るVOL.4 時間を上手につくりだすことで繁盛店にできる 酒販店がつくりあげたレストラン じょうのや & J's特にお値段に対してはそうですね。最近は 「 正規の値段を払って食事をしたらいけないんじゃないか?」 と思われているお客さんが増えてこられたように思います(笑)。これは飲食業を取巻く環境の変化が大きいと思います。

一つは経済環境の変化、景気が悪く所得が減る方向になっています。そうすると一番しわ寄せが来るのがお小遣いです。まず、サラリーマンのお父さんのお小遣いが減らされてしまいます。お小遣いが減ると真っ先に外食費を減らすようになります。それによって外食の回数を減らしたり、1回当たりの外食支出額を減らしたりすることになるのです。

地方の飲食企業の現状を知るVOL.4 時間を上手につくりだすことで繁盛店にできる 酒販店がつくりあげたレストラン じょうのや & J'sもう一つが飲食業態という環境の変化。昨年あたりから大手居酒屋チェーンを中心に 「 何百円均一 」 みたいな低価格業態のお店が増えてきました。そうなるとお客様も客単価が安いのが当たり前の感覚になられます。以前、この近辺ではじょうのやは最安値の部類に入るほど客単価の低い店でしたが、今となっては決してそうも言えない状態になってしまいました。

大阪のお客様だからこそ 「 勉強してや 」 とか 「 サービスしたってや 」 などとストレートに口に出していただけるのだと思います。特にここら辺はサラリーマンの方も多いので、大変だなぁと感じています。ですから私どもも確かにつらいのですが、お聞きできる範囲ではご要望にお応えできるようにしようと心がけています。

- 大阪でのご商売は苦しいですか?

実家は大阪に比べると田舎なので正直刺激が少なかったですね。確かに大阪での飲食の商売は色々な面で非常に厳しいですけれど、その中で揉まれたり競争をしたりする方がエキサイティングで面白いですし、楽しいですね。苦しいどころか非常にやりがいを感じています。

地方の飲食企業の現状を知るVOL.4 時間を上手につくりだすことで繁盛店にできる 酒販店がつくりあげたレストラン じょうのや & J's- 飲食ビジネスの責任者の役割をどのように考えているかお教えください。

今の世の中、時代が常に劇的に変わってくるので、その流れを的確につかんで、それに向けた戦略をきっちりと考えだすことが重要な役割だと思っています。特に当社は酒販店が母体となっていますので、その強みを最大限に活かせる方向性を打ち出していくことが必要となります。

従業員同士の人間関係についても注意深く見ていくことも重要な役割です。飲食店では結構派閥のようなものができます。特に厨房側とホール側にわかれることが多いように思います。職人気質の料理人さんは、「 ホールの子は単なる運び屋 」 みたいな感覚で見ていることが多いようです。こういうことは言葉で注意するだけでは説得力がありませんので、厨房の人にホールに出てもらって、実際にお客様にサービスをすることを体験させるようなローテーションを組んだりしています。その結果として当社では派閥とか厨房とホールのいがみ合いなどは皆無と言えます。

和の創作料理とワイン J’s私の責任範囲は3店舗全て見ることですが、今は主に J's にいるようにしています。飲食店で重要なことの一つは、お店にお客様がついていただくことです。いわゆる常連さんをいかに数多く獲得できるかどうかでその店がうまくいくかどうかが決まります。逆に言うとその仕事が一番大変ですから、その役割を担うのも責任者である私の仕事になるわけです。役回りは立ち上げた店舗を順番にまわって、今は一番新しい J's にいるわけです。

ちなみにこの髪型もその狙いでやっているんです(笑)。特にウェディングの場合は何ヶ月も前に下見に来て予約をしていただくので、次ぎお会いするまでに長い空白の期間ができてしまいます。普通だったら担当者のこと忘れてしまいますよね。でも私の場合だと「あっ!」とすぐに気付いていただけるのです(笑)。確かに最初は引かれるお客様も多いのですが、話をさせていただくと至極真っ当なので(笑)。本当はそろそろ止めたいのですが、やり始めてから成約率がぐっと上がったので止めるに止められずここまで来てしまっています(笑)。



取材協力 取締役 竹中唯史氏

赤坂株式会社

代表者 條 順一
事業内容 酒販店経営、レストラン経営

じょうのや本店
大阪市中央区淡路町3-4-13 東和ビルB1F

じょうのや北浜店
大阪市中央区北浜3-2-18 センターホテル大阪B1F

J’s
中央区安土町2-2-15 堺筋本町駅前ビルB1F

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