地域に密着した営業で成果を上げている飲食企業のレポートも4回目となった。今回は大阪の酒販店がつくりあげたレストランを取り上げる。食の激戦地・大阪で、酒販店ながらの強みを活かし、工夫を重ねながらレストランを運営する株式会社赤坂の飲食店経営に対する取組を同社取締役竹中唯史氏にお伺いした。
- まずは、貴社とお店の概要をお教え下さい。
当社の創業は1975(昭和50)年で、堺市にある鳳(おおとり)ウイングスというショッピングセンターに 「 リカーショップ サカエ 」 という酒屋さんを出したのが始まりです。元々当社の社長が貿易会社でワインを取扱っていたこともあり、同店はワインを中心とした品揃えになっております。
社長は心底ワインが好きで、常々日本にワインの文化を根付かせたいと考えていました。酒屋さんでワインを販売するとなるとボトル売りになりますが、飲食店ならグラスで売れるので色々な種類のワインを一度に楽しんでいただけます。それじゃ自社で飲食店をやろうということで飲食業に参入することになったのです。
タイミングよく、社長と共通の知人に紹介いただいて入社することになり、飲食部門を担当させてもらうことになりました。私が24,25歳の頃でした。最初にどういう業態をやろうかとなった時に、社長はお料理よりワインでしたからイタリアンとかフレンチなどと話が出てきました。これは困ったなと思いました。こう見えても私は会席料理をやっていたんですよ。白衣を着て、白いパンツをはいて、白い前掛けをかけて、白い帽子をかけて仕事をしていたんです。そう見えないかもわからないですが(笑)。もちろんパスタとかイタリアンをつくれないことはないですが、商売として考えたら、専門店さんとは勝負ができないなと思いました。そこで考えたのが和の創作料理、いわゆるジャパニーズ・ダイニングでした。お店をオープンする前にお客様を20人ほどお呼びして、会席を創作したお料理とワインを召上がっていただいたのですが非常に評判がよくお褒めのお言葉もいただきましたので、これで勝負ができると確信できました。
そして、2003年8月に地下鉄・御堂筋線の淀屋橋駅の近くに 「 JAPANESE DINING and WINE じょうのや 本店 」 をオープンしました。その後、2008年9月にやはり淀屋橋駅の近くに 「 JAPANESE DINING and WINE じょうのや 北浜店 」 を2010年5月には地下鉄・中央線の堺筋本町駅の近くに 「 和の創作料理とワイン J's 」 をオープンして現在に至っています。
- お店の ” 売り ” をお教え下さい。
それは、一言で言うと 「 酒屋さんが経営する飲食店 」 ですね。ドリンク類に関しましては種類にしても、質にしても他店には負けない自信があります。例えば、オープン時から飲み放題メニューを導入しました。当時の飲み放題というと基本的には安めのお酒を使われていたお店が多かったように思われます。それに対して、私どもは 「 八海山 」 とか 「 久保田 」 などメジャーな日本酒やワインでも常時、赤、白それぞれ3種類ずつお出しするようにしました。また飲み放題は、長くても90分位の制限時間が一般的だと思いますが、あえて2時間30分という長めの時間でお酒を楽しんでいただくようにしました。しかも1,800円と非常にリーズナブルな値段設定をしました。酒屋さんの強みを充分発揮させていただいています。
- 8年前のオープン以来ご苦労されたことはありますか。
お店の立地がビジネス街になりますので、平日はいいのですが、土日になるとやはり厳しい状況でした。1ヶ月の間で20日間しか営業できないのと30日間フルで営業できるのとでは売上が大きく変わってきますから。
そこで考え出したのがレストラン・ウェディングでした。たまたま社長の親戚にウェディング方面の仕事をされている方がいたので相談に乗っていただきましたが、これも結構大変だったですね。「 冠婚葬祭 」 のうち 「 葬 」 のお葬式とか 「 祭 」 の法事などの会席料理は経験したことがありましたが、「 婚 」 のウェディング関係のお料理となると・・・何もわからなかったですから(笑)。
当時、休日の日に知人のお店から手伝いに来てくれというヘルプの要請が結構ありました。あちらこちらのお店に手伝いに行きながら ” 修行 ” をさせていただいたので、なんだかんだと幅広く料理ができるようになりました。しかも丁度ホテルのレストランでフレンチをやっていた子が入ってきたので、これでいけるということになり本店オープンの2年後にレストラン・ウェディングを始めました。これによって土日の営業も軌道に乗せることができました。北浜店とJ’sは最初からレストラン・ウェディングを見込んだ形でオープンさせました。