市場規模24兆円強といわれる巨大な日本のフードサービス業界を側面から支援する企業・団体は数多く存在する。日本のフードサービス企業の多くは、その経営理念に『「食」を通じて、消費者の生活の中に“豊かさ”や“楽しみ”を提供するとともに“健康”や“安全・安心”を提供する』と謳っているが、側面から支援する企業や団体も同じ目的を持って日々活動していると信じたい。
外食ドットビズでは、日本のフードサービス業界を側面から支援する企業や団体の活動の実態をきっちりと見た上で、皆様に情報提供をして行きたいと考えている。今回は、その第1弾として、「創・食Club」による新業態提案セミナーの様子を外食ドットビズ編集部の紅一点(?)前城幸代がお届けする。
皆さん、こんにちは。外食ドットビズのサイト制作を担当している前城幸代です。制作担当者がなぜリポートを・・・とお思いでしょうが、編集長の命令には逆らえず、このセミナーに参加することになりました。とはいえ、外食勤務歴 7年という微妙な実績がありますので、業界自体にはとても興味があります。つたないレポートですが、ぜひともお付き合いください。
秋葉原 UDXの東京フードシアター5+1で 「 創・食Club 」 による、“ イタリアン Bar(バール)のご紹介 ” というセミナーが10月1日に開かれました。私は、編集長のコネでこのセミナーに潜り込むことになったのです。
最初に「創・食 Club」について簡単にご紹介したいと思います。「創・食Club」は、日清製粉株式会社を中心に、原料素材メーカー14社(2008年9月現在)の協力で誕生した会員制のコミュニケーションクラブです。特に小麦粉製品を扱うフードサービスをはじめとした、フードビジネスに関わる法人・個人事業主をあらゆる角度からサポートするという団体です。
会員へのサービスとしては、WEBサイト「創・食Club」を通じて、食の現場で役に立つアイデアやヒントなどの情報を提供したり、今回のようにフードビジネスの現場に携わる方や経営者に対してセミナーや講習会などを開催しているそうです。会員登録は無料ですが、電話などによってさまざまなことを直接相談できる「創・食プレミアClib」という有料会員制度もあるそうです(年会費12,000円)。
それでは、“ イタリアン Bar(バール)のご紹介 ” というセミナーの模様をお伝えしたいと思います。
当日は、東京広尾の名店 “ ピッツェリア・トラトリア パルテノペ ” の総料理長・渡辺陽一シェフがプレゼンテーターを務められました。渡辺シェフはとてもステキな方でした・・・。以前、外食ドットビズに登場していただいたこともありますから、詳しいプロフィールなどは、こちらをご覧になってください。
渡辺シェフは、延べ10年にわたりイタリアで生活され、つい最近も出張で訪れたというイタリアの食文化に非常に造詣の深い方。イタリアはおろか海外旅行自体したことがない私には本当に羨ましい話です。
最初に日清製粉の方からこのセミナーの目的についてお話がありました。このセミナーは、レストラン、カフェ、ベーカリーカフェなど外食関連に携わる方に、本場のイタリアンバールを学び、体感することによって新業態開発のアイデアにしていただきたいということで開催されたらしいです。実は内容について、編集長から事前に何も聞いていなかったので、この時に初めて知りました。渡辺シェフによる調理実演と試食ができるとは、なんてステキなセミナーでしょう。ありがと~編集長!
渡辺シェフが登壇されて、セミナーはスタート。まず、イタリアン Bar(バール)とは何かを説明されました。以前私が勤めていたお店も、“ BAR ” と呼ばれていましたので、お酒を飲むところとイメージしてしまいます。皆さんもきっとそうではないでしょうか?最近は、スペインバルといわれている、やはりお酒が中心の業態が増えてきたように思いますが、この “ バル ” も Bar と表記するそうです。イタリアでは、“ バール ” と読み、お酒ではなくエスプレッソコーヒーなどを提供する喫茶で、軽食・スナック・お菓子などもあってカフェに近い業態とのことです。ちなみにカフェとバールの違いは、カフェがテーブル席中心であるのに対して、バールはカウンターでの立飲み・立食いが中心になるのだそうです。
イタリアでは、人々が一日に何度も気軽に訪れるような生活の一部となっている業態で、仕事の合間に 5分から10分位ちょこっと立寄ってコーヒーや軽食を食べたりするようです。うちの編集長も朝、ドトールにコーヒーを飲みに5分くらい立寄るらしいのですが、眠気ざましに行くといっていましたから、ちょっと使い方は違うようですね。
イタリア人の会話の中にも「どこに行こうか?」「Mio(ミオ = 私の)Barに行こう」ということがよくあるそうですが、皆さん行きつけのバールがあるんでしょうね。
それから、日本でイタリアンバールを展開した時のビジネスについて説明がありました。これについては、要点のみまとめさせていただきます。勉強不足でよく知りませんでしたが、日本でも近年バールと称した店舗が数多く見られるようになったそうです。でも、イタリアのバールとは異なっており、本来の業態を日本で展開する際に考えられるビジネスチャンスとして、以下のポイントが挙げられるそうです。
いろいろな業態の方が活躍できる場として期待できるようですね。カウンター中心の小型店舗でいいわけですから、これから飲食店を始めようと考えられている方にも適しているのではないでしょうか。
続いて、イタリアンバールの一日の流れについて話しがありました。ちなみにこれはイタリアの一日ですから、日本で展開する場合には少しアレンジがいるかもしれません。
- 朝 -
ブリオッシュやコルネットなどの菓子パン類とカプチーノなどの飲物を組み合わせが圧倒的に多いそうです。まったくの余談ですが、うちの編集長は毎朝ドトールで、クリームパンとアイスコーヒーを飲んでいます (笑)。ちなみにイタリアの人は、朝は何も食べないか、菓子パンやデニッシュ、お菓子など甘いものだけを食べる傾向があるそうです。私的には、甘くないパン類がほしいところです・・・。
- 昼 -
以前のイタリアは、お昼休みが 4時間もあったので、一旦家に帰って昼食を食べるという習慣だったそうです。何と羨ましい生活でしょうか。現在は、日本と同じように昼食時間帯に外食する人がほとんど。しかし、イタリアのレストランには、ランチセットのような文化がなく、夜も昼も値段が一緒のために、なかなか一般庶民が毎日レストランに行くことができないそうです。そうすると必然的にバールに行って軽食を取ることになるのです。さすがに昼食は、甘いパン類ではなく、サンドイッチやパニーニなどが売れるとのことです。
- 午後 -
遅い昼食を取られる方もいますが、圧倒的にコーヒーだけを飲みに来たり、お菓子を一緒に食べたりすることが多いようです。お店によっては、ジェラートを売っているそうです。あのちょっとねばりけのあるアイスクリームを本場で食べてみたいなと空想していました。いけない、いけない仕事に集中しなくては。これ位の息抜きは、許して編集チョー。
- 夜 -
食前酒を飲んだり、待ち合わせの場として利用されたりすることが多い。渡辺シェフもイタリアに住んでいた時にはバールで待ち合わせをして、軽く一杯飲んでいたそうです。なんてス・テ・キ☆なんでしょうか・・・。
イタリアの夕食時間は午後 9時位がピークになるそうです。なので、仕事が終わった後にバールに寄って一杯飲んだり、カナッペやオリーブをつまんだりといった利用スタイルになるそうです。場合によっては、レストランでの夕食が終わった後にまた立寄ってコーヒーを飲んで帰ったりするそうです。ホント “ Mio Bar!” なんですね
次回は、いよいよ試食の模様をお知らせ致します。
前城幸代
19○○年 沖縄県出身
1993年から7年間、某パブチェーンで飲食店に勤務。浜松町のお店ではマネージャーを経験。
その後、ソフトウェアハウスでWEBサイトに関わる仕事に従事。
2007年より外食ドットビズの制作担当。