厳しい経営環境にさらされている飲食業界において、優れた人材、いや“人財”を確保することは経営上、喫緊急務な課題である。今回はパート・アルバイト誌「an」や転職サイト「DODA」を発行する株式会社インテリジェンスの協力のもと、優れた人財を確保するために飲食業経営者にとってヒントになることについて見て行きたい。
人間力を重視した評価制度
人事評価は、目標設定が50%、コンピテンシー評価が50%と、人間力を重視した評価制度になっているのが大きな特色だという。
そのため、具体的に何ができればいいのかを示した 「 ビジネス姿勢 」 を階級別に細かく定めている。例えば、アルバイトや新入社員などの新人に求められる 「 ホスピタリティ 」 は 「 どんな人に対しても役に立とうとして行動しているレベル 」 、 「 コミュニケーション力 」 は 「 コミュニケーションの重要性を十分認識しながら行動しているレベル 」 など、すべてミッションステートメントに沿って規定されている。
社員もアルバイトも、この 「 ビジネス姿勢 」 に沿って評価される。評価方法はアルバイトの場合であれば、シフトスーパーバイザー(時間帯責任者)が1次評価を行い、店長が2次評価をする 「 2次チェック体制 」 となっている。
「 評価する時は 『 ●月△日の態度が良くなかった 』 など、具体例を挙げて伝えます。そのため、店長もシフトスーパーバイザーも、毎日細かくスタッフの様子を見ていないといけないし、評価軸も全員に浸透していることが前提になります 」
さらに、評価に偏りが生じないよう、アルバイトも1次評価者のシフトスーパーバイザーを飛び越えて、店長に直接意見を言ってもよい仕組みになっている。共に成長し、互いの能力を引き出していくために必要なことであれば、誰に意見してもいいし、相談してもいいというわけだ。
リーダーに大切な「明快・集中・簡単・チームワーク」
アルバイトや部下を評価するマネジメント層の社員も、当然、人間力が問われる。同社のキャリア形成の方法から、それがよく分かる。
「 個別業務に必要な知識やスキルは後からでも習得できる。まず人間力があれば、他部門でも通用するという考え方がスターバックスにはあります。そのスタンスに基づき、社員は、約3年で異動があり、様々な立場からスターバックスを見つめる視点を習得する体制になっているのです 」
最後に、「 どんな部署のリーダーにも大切な人間力として、スターバックスが教えてくれたこと 」 として簔口氏が挙げた4点をご紹介して締めくくりたい。リーダーとしてどうあるべきかを考えている方々にとって、参考になるのではないだろうか
「明快」問題点の本質を明快にする。本質がわからないと解決はできない。 「集中」あれもこれもではなく、やるべき大事なことは「3つ」に絞り、集中して取り組む。 「簡単」難しいことを簡単に説明する能力がリーダーには必要だ。頭の悪いリーダーは簡単なことも難しく言う。 「チームワーク」成功したら部下を褒める。失敗したら自分が責任を取り、次の方法を考える。できるリーダーはその切り返しに長けている。 |
簔口一実氏
(元スターバックス コーヒー ジャパン株式会社執行役)
i-commonに登録するシニアエグゼクティブ。1997年から2004年までスターバックスコーヒージャパンに在籍し、店舗開発、店舗運営、新規事業開発などに取り組む。その後の不動産、飲食店経営など多彩な経験も活かし、現在、顧問業務に従事。
i-common
http://www.i-common.jp/company/
「an」「DUDA」を運営する株式会社インテリジェンスが提供する新しい「顧問による実行型の経営支援サービス」。
社内の人材や通常の採用では難しい経営課題解決のため、業界を熟知した元大手企業幹部などのシニアエグゼクティブを費用対効果の高い形で活用できる。