“フードサービス”と“ホスピタリティ”専門の展示会としては、アジア最大規模であるHOTERES JAPAN(国際ホテル・レストラン・ショー)は、今回で36回目を迎える。併設の展示会(「フード・ケータリングショー」「厨房設備機器展」)と合わせ約800社の企業が出展を予定し、約95,000人の来場者を見込む、外食産業に関わる展示会としては大規模な展示会である。
東京ビッグサイト(有明・東京国際展示場)(東1~6ホール)で、3月11日(火)~14日(金)の4日間(10:00~17:00最終日のみ~16:30)の会期で開催される。
入場料は1,000円であるが、こちらの「招待状請求・問い合せフォーム」から申込むと招待状が無料で送ってもらえる。(締切りが迫っているのでお急がれることをお勧めする)
例年、各メーカーやベンダーの新商品発表の場として利用されることも多いので、外食やホテルなどフードサービスに携わる方の調査の場として最適な展示会である。時間の許す限り、是非訪れることをお勧めする。
HOTERES JAPAN 2008(ホテレス)は、東京ビッグサイトの東展示棟を全館使用した非常にスケールの大きな展示会で、「Show(展示)」「Conference(会議)」「Event(イベント)」の3つの大きな柱で、あらゆる角度からビジネス・商談・情報交流の場を提供する。
東1~東3ホールには、「 厨房・フードサービス 」 「 給食・業務用食材 」 「 ユニホーム 」 そして 「 ITシステム・機器 」 の各ゾーンが配置されている。
東4ホールには、「家具・インテリア・エクステリア」ゾーンと企画展示の「AQUA&SPA2008」。東5ホールには、「テーブルウェア・食品容器」ゾーン。東6ホールには「衛生・エコ対策」、「カフェ・ベーカリー・デザート」ゾーンとイベントステージが配置されている。全てを見学するには丸々1日はかかるので、事前にホームページや招待状などで確認しておくとよいであろう。
イベントステージでは、毎日イベントが行われる。初日には、エスプレッソコーヒーの抽出技術を競う日本で唯一の大会である 「 ジャパン バリスタ チャンピオンシップ 2008 」、翌 12日(水)には、これからの世代を担うサービスパーソンがサービスの技術・技能を競う 「 U25レストランサービスコンクール 2008 」 が開催される。そして、13日には 「 第14回 日経レストランメニューグランプリ 」 の決勝戦が、キハチアンドエス 代表取締役 熊谷喜八氏や 女優の水野真紀氏などを審査員に迎えて、「 プロの知恵 」 をテーマに開催される。各イベントとも無料なのでご参加されては如何であろう。
企画展示のコーナーは、タイムリーな情報提供の場となっている。その中でも、「 人材サービス&経営・独立支援コーナー 」 では、昨今の少子高齢化による宿泊・外食・給食業界における人材不足をサポートする人材サービス会社、また、独立を支援するコンサルティング会社などが出展し、経営課題・個人の課題を解決する。気軽にブースに立ち寄り、相談されては如何であろう。場所は、東2ホールの出入口付近にある。
見所満載のホテレスのため、全てについて記述することは、不可能である。そこで、今回は「ITシステム・機器」を見てみたいと思う。
本来は、企業インフラの根幹であり、企業経営の戦略的武器である ITシステムは、こと外食企業の多くで軽視されがちと見受けられる。ITシステム・機器は、本来、設備機器と同様に “ 投資 ” の対象であるべきだが、多くの外食企業では “ コスト ” と見られがちで、真っ先に削減の対象となったり、3桁を超える大手外食チェーンにもかかわらず1~2名の人員で全ての店舗のサポートを行っていたりすることも珍しくない。
一般的に、外食企業が 2桁を超える店舗を有するようになると経営者の目が全ての店舗に行き届かなくなると言われている。その様な経営者の目となり右腕となるのがITシステムなのである。ITシステムを効果的に活用できるか否かによって、その企業経営の成功が左右されると言っても過言ではない。
1コマの小さいブースながら、外食産業のITに一石を投じている団体が今年のホテレスに出展している。 OFSC(オープン・フードサービス・システム・コンソーシャム)研究会 である。
OFSC研究会の概要については、本稿の最後に記載させていただくが、この研究会の大きな特徴の一つが、その構成企業にある。
一般的に、この手の団体は一つの業界団体に偏りがちであるが、OFSC研究会はユーザー業界である外食産業、システム・機器を提供するIT業界、そして機器やネットワークをインフラ側からサポートをする電力業界や通信業界といった幅広い業界から企業が参画している。
日々の活動は、課題ごとに分科会を設け、それに関連する会員が参画し検討・実行を行っているが、今回は 「 店舗システム分科会 」 と 「 仮想店舗分科会 」 がその成果をホテレスで発表する。
「 店舗システム分科会 」 は、POSを中心とする店舗内ITシステムの効果的な導入を図るために、各機器を容易につなげることができるように検討を重ねてきている。
今回は、寺岡精工社製のPOSと東芝テック社製のPOSに、ソリマチ技研社製のPOSソフトとドトールコーヒー社のデータを搭載し、シャープ社製の携帯端末から注文を行い、セイコーエプソン社製のキッチンプリンタから伝票を打ち出すといったマルチベンダーによる店舗システムの構築の一例を実機デモによる紹介を行う。
この実現により、外食企業は新規導入時には、機能、価格等自社にあった機器やソフトウェアを選択することができ、リプレース時には過去の資産にとらわれることなく自社にあった機器やソフトウェアを入れ替える事ができるようになる。
一方、 ITベンダー側は、顧客ニーズにマッチした製品を有する企業であれば更にシェアの拡大が見込まれ、単品のため今まで外食市場に入り込めなかった企業であれば新規参入の機会となりうる。まさに売り手、買い手ともWin-Winの関係を築き上げる事ができる可能性のある取り組みなのである。
「 仮想店舗分科会 」 は、外食企業の会員が中心となり、これからの外食店舗の姿を想定して、そこで必要とされるサービスと ITシステムの将来像の検討を重ねてきている。具体的には、セカンドライフ という仮想の空間上にレストランを出店し、その店舗から得られる情報を元に検討を進める。
今回は、セカンドライフ上に出店した 「 Purple Carpenter's 」 と言う仮想店舗 のデモンストレーションを実施する。
外食産業を心から愛し、この業界の発展のために寄与していきたいと考える人々が集った OFSC研究会のブースに是非足を運んでいただきたいと思う。
OFSC研究会のブースは、東1ホール出入口正面の東芝テック社ブースの反対側にある。
OFSC研究会
OFSC研究会は、外食産業のIT活用を更に促進するために活動している団体であり、外食企業並びに外食企業を支えるIT企業が、共に健全な成長をしていくことを目指している。
そのための理念として下記の2点を掲げている。
現在活動中の分科会
取材協力 : OFSC研究会 広報委員長 湯澤一比古氏
写真提供 : (社)日本能率協会
文 : 斎藤栄紀