IT用語で「クラウド」と言う単語が頻繁に聞かれるようになった。この技術は、飲食店のシステムにも大きく関わって来ている。高機能の飲食業向け本部システムを安価に、スピーディーに、そして場所を選ばす提供している株式会社富士通ゼネラルの事例をもとに、「クラウド」を使った飲食店システム最新動向をお伝えしたい。今回は、同社営業推進部専任部長の西口陵治氏とシステム部部長の藤垣誠氏に話を伺った。
1936(昭和11)年に設立された株式会社八欧商店が富士通ゼネラルの前身である。無線機などの通信機器を主製品として成長してきた同社は、1959(昭和34)年、樺太犬のタロ・ジロで有名になった第3次南極観測隊の観測船宗谷のヘリコプターに無線機と方向探知機を搭載してその品質の高さを世に示した。その後、無線機の技術は消防指令システムや防災システムなどの産業機器分野へと継承され、その他にもテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの民生品機器分野へと裾野を広げていった。1966(昭和41)年に株式会社ゼネラルと改称した同社は、1984(昭和59)年に富士通株式会社と業務提携を行い、翌年に株式会社富士通ゼネラルと改称して現在に至る。
同社と飲食業界との関係は長くて深い。株式会社ゼネラル時代の1969(昭和44)年に世界に先駆けて電子キャッシュレジスター(ECR)を開発し、飲食店向けにも販売を開始した。そこから40年以上に渡り、飲食店向けソリューションに携わっているのである。
『 初期のECRはいわゆる会計機でしたので、飲食店様が望まれるメニュー単位での取得ができませんでした。そこで開発したのが、200メニュー以上取ることができるPOSレジスターでした。画面が無いPOSターミナルといえばわかりやすいですかね。これは大手の居酒屋チェーン店さんに導入されて非常に好評でした 』 と西口氏は語る。
その後、1984年に富士通との提携に伴い、飲食業界向けのPOSやPCなどのハードウェアは富士通、POSソフトなどのアプリケーション部分は富士通ゼネラルと役割分担ができた。
1980年代半ばは、飲食業界にもシステム化の波が押し寄せてきた時代でもある。チェーン店を中心に店舗の売上集計などのバックヤードの仕組みなどが求められてきたのである。そして同社は、店舗と本部で売上状況の管理ができる販売管理システムを開発し富士通ブランドのパッケージ商品として発売することになる。『 これが飲食業界向けに、本格的にソリューションをご提供するきっかけとなり、以降、富士通グループの中で当社が飲食業界向けビジネス中心的な役割を持つことになりました 』 と藤垣氏は語る。
同社が富士通グループ内で飲食業界向けビジネスの中核を担うようになってからは、さらに積極的に商品開発を行ないソリューションの提供を行ってきた。現在では、店舗向けのシステムとして、富士通のPOSターミナル 「 TeamPOS 」 に同社のPOSソフト 「 TeamStoreF 」 を組み合わせて販売している。そして、売上管理、発注・仕入れ棚卸管理、勤怠管理のサービスを兼ね備えた 「 CloudChef 」 というクラウド技術を用いた本部システムで飲食企業にトータルでソリューションを提供している。
株式会社富士通ゼネラル
http://www.fujitsu-general.com/jp/
所在地 神奈川県川崎市高津区末長1116番地
代表者 代表取締役社長 村島純一氏
創立 1936年(昭和11年)1月15日
取材協力
(左)情報通信ネットワーク事業部 システム部 部長 藤垣誠氏
(右)情報通信システム営業統括部 営業推進部 専任部長 西口陵治氏