【企画特集】店頭集客で繁盛店 食品サンプルを科学する ~食品サンプルが繁盛店を生み出す

企画特集 店頭集客で繁盛店 食品サンプルを科学する 食品サンプルが繁盛店を生み出す

日本の食文化の発展に大きく貢献してきた食品サンプル。店頭に食品サンプルがあることで、消費者に対してどのような働きかけができるのか?その効果と理由を食品サンプル業界大手の「イワサキ・ビーアイ」の協力のもと、元「日経レストラン」編集長の加藤秀雄氏に探ってもらった。

第3回 栄養指導から食育、工業製品の見本にも

第3回 栄養指導から食育、工業製品の見本にも

食品サンプルが活躍しているのは、飲食店の店頭だけではない。食品サンプルが実際のメニューにそっくりということで、栄養指導や食育の実践の場で、大いに力を発揮しているのだ。 食品サンプルメーカー大手、イワサキ・ビーアイの例を紹介しよう。同社では、このような場で使うものは、食品サンプルとはいわずに 「 フードモデル(食品模型)」 と呼んでいる。

ご飯のフードモデルフードモデルの強みは、何と言ってもそのボリューム感、リアル感だ。例えば、栄養指導の場で、「 毎食、ご飯はどのくらい食べていますか?このくらいでしょうか? 」 と、イラストや写真で示すより、実際のご飯茶碗にご飯を盛った形で示すほうが、指導を受けるほうは、よりわかりやすい。フードモデルを使うことで、指導する側と指導を受ける側との間の緊張感も薄まり、会話が弾むようになるともいわれている。

野菜300gのフードモデルまた、「 1日に○○gの野菜を摂りましょう 」 と言われても、言葉上の 「 ○○gの野菜 」 では、それがどのくらいの量かイメージしづらいが、ほうれん草やピーマン、キャベツ、たまねぎといった野菜を盛った籠を見せ、「 これで○○gになります 」 と示すことで、実感として理解しやすくなる。ちなみに、野菜を300g摂るということにすると、その量は予想していたものより相当嵩(かさ)があることに驚かされるはずだ。

マーガリンこれだけ(10g)塗ったら76kcalアップ!さらには、パンにマーガリンを10g塗るとカロリーが76kcalアップするのだが、この10gのマーガリンがどのくらいの量なのかイメージがわかない。ところが、バターナイフにマーガリン10gを載せた形にすれば、「 自分はいつもこれ以上塗っているのでは 」 とか、 「 こんなには塗らない 」 といったことが一目で確認できる。こんなことができるのがフードモデルの強みなのだ。

 

離乳食から治療食までをセットで提示

月齢による違いが一目でわかるご飯や野菜といった 「 単品 」 「 単位 」 だけでなく、離乳食メニューや、糖尿病や腎臓病など、色々な制限がある食事を、献立の形で例示できるのもフードモデルの長所だ。

1カ月単位で使える食材の種類や量が変化する離乳食では、生後5~6カ月ではこのような食材を使ってこのくらいの量、10カ月前後ならここまで使える食材が増え、量もこのくらいになるといったことを、1食、1日単位で一目でわかるように提示できる。

摂取カロリーや塩分、脂質、たんぱく質の量などに制限がある治療食も、「 このような献立にすると、カロリーはこれくらい 」、「 たんぱく質の量はこれくらい 」 ということを具体的に示すことができる。これも文書やイラストなどを使った指導よりも説得力が増し、理解しやすくなる。

たんぱく質30gの献立例モデル「 アジの干物を鮭の塩焼きに変えた場合、量はこのように変わります 」 といった指導ができるのも、フードモデルならではの手法だ。塩分やたんぱく質などの量を計算し、それに合わせたモデルを用意しておけば、さっと入れ替えて示すことができるからだ。

 

自分の食事内容を簡単にチェック

SATシステムICタグを内蔵した実物大フードモデルを使った体験型栄養教育システム 「 食育SATシステム 」 も面白い。自分が食べたい献立を想定してフードモデルを選び、それを専用のセンサーの上に載せると、その献立に含まれるカロリーや各種栄養素の量が、瞬時にパソコンの画面上に表示される。“ ご飯の量を減らしたら ” 、 “ 肉中心のおかずを魚のおかずに変更したら ” 、 “ 野菜を増やしたら ” 、 “ 汁を残したら ” といった細かい変更にも対応、これらの数値が即座に変化するので、体験者も楽しみながら食育の勉強、自身の食生活の見直しがしやすくなる。

自分の食事内容を簡単にチェック自分のふだんの食生活(メニュー選択)で献立を作ってもらい、それをSATシステムで判定することで、「 ちょっとカロリーが多過ぎるかな 」 「 野菜をもっと摂ったほうがいいのだ 」 といったことを習慣づけることができるのだ。学校や職場で、繰り返しこのような体験を重ねることで、次第に正しい食生活ができるようになる。まさに体験型食育ツールといえる。

博物館展示品の模型にも活用フードモデルは食品サンプルから派生した新しい活用法といえる。ただ、食品サンプルの再現性の高さが評価され、活用されているのは「食」の分野に限らない。建材やパイプ類といった工業製品で、微妙な色調や大きさ、型が必要な場合、発注者がサンプルを見本にして、「 このような色調で… 」 といったことを、下請け業者に依頼することにも使われているという。

「食」の分野では、例えばフライドポテトを作る時の大きさや揚げ加減を食品サンプルで作成、研修・指導の教材とするといった使い方もある。

これも、実際のメニューのありのままの姿を映すべく、技術を積み重ねてきた食品サンプルの歴史が産んだ用途といえる。さらに言えば、ユーザーが 「 こんなことができないか 」 といった相談を持ちかければ、思わぬ方向で力を発揮できる可能性を秘めているのが食品サンプルの技術なのだ。

読者プレゼント DVD「食品サンプルを科学する」食品サンプルの集客力を“科学”と“事例”で解説



イワサキ・ビーアイ 株式会社岩崎

株式会社岩崎

http://www.iwasaki-bei.co.jp/

東京本社 東京都大田区西蒲田8-1-11

創業 1932(昭和7)年

代表取締役 岩崎 毅氏

事業内容 営業品目食品サンプル及び一般模型の製造・販売・貸付、メニューブック・チラシ等販促印刷物の企画・制作、販売促進・店舗ディスプレイの企画、飲食店コンサルティングなど

文:加藤秀雄氏
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