市場規模約24.5兆円、全従業員数約405万人という一大産業にもかかわらず、外食業は近年の縮小傾向が止まらない状況が続いております。
『外食.biz』では『よみがえれ外食産業!』というメインテーマのもと、新しい視点からこの業界の再活性化のための施策を探り、外食産業に関わる方々に有益な情報を提供していきたいと考えております。
今月は、English OK株式会社 代表取締役のデイブ森様をお迎えして、「日本と世界の外食文化論」「日本の外食産業への期待と提言」などをお話しいただきます。第1回は、English OK社についてご紹介いただきました。
「コスト意識を強く持つ、人脈を最大限活用する」
Q:”起業”という観点からまずお話をお伺いしたいと思います。外食産業は、他業種からの参入や個人で独立して起業する人も多い業界です。起業家の先輩から一言いただけますか?
「これは、すべての起業家の方に対して言えることですが、大事なことは『コスト意識を強く持つ』ことと、『人脈を最大限活用する』ことです。起業する際には、自己資金であるとか借り入れであるとかそれなりの手持ち資金があるはずです。特に最初の6ヶ月間というのは、わりと興奮状態に陥る事が多々あり、コストを使いがちになりやすいのです。そして、当然収入も殆どないはずです」
「まずは、お金を出さないという強い気持ちを持つ事が大切です。これは、何が何でもお金を出さないということではなく、メインのビジネスは何か?お金を使うべきところはどこか?ということをきちんと見極めて投資すべきところは投資するということです。つまり無駄なお金は絶対に使わないということです。そして、コストダウンをはかれるところは徹底的にコストダウンをはかるようにします。このようにコストコントロールをきちんと行い、特に最初の半年間は注意深く収支の状況を見ることが必要です」
「それと人脈というのは、非常に重要なものです。例えば、起業する際には税理士さんを雇う事になるでしょう。しかし、収入がないのですからあまり多くの費用を支払う事はできません。そういう時には、お店のチケットをお渡ししてお店に極力食べにきてもらうようにするなどというようにいわば物々交換的なお取引も重要なことでしょう。もちろんこうするためには、充分な人間関係の構築が必要となります。また、仕入業者の方とも充分な人間関係の構築を行い、仕入れ価格のコストダウンをはかることも必要です」
「外国人の方々が満足して帰れるサービスの実現が必要」
Q:日本の『外食産業』に対する期待をお教え下さい
「現在日本では、国として外国人観光客の誘致に取組んでいます。そして数年後には年間1000万人を超える外国人観光客を迎えることになるでしょう。また、在日の方も200万人弱います。この方々も年々増加していくことが予測されます。つまり、年間1200万人以上の新しいマーケットが目の前にあるのです。
私は日本の料理はすべて美味しいと思っています。この料理の味は、外国からのお客様にもきっと満足いただけるでしょう。ですから、外国人の方々が訪れやすい店舗、外国人の方々が満足して帰れるサービスの実現が必要と思います。
それによって、外国人観光客の方には、日本の”食”の素晴しさをたくさん味わっていただきたいと思いますし、日本の外食店舗の方には、お客様数の向上のためにも外国人の方々が満足できるお店にしていただきたいと思います」
「異文化コミュニケーション」
Q:最後になりますが、English OK社が日本の外食産業に果たすべき役割をどのようにお考えかお聞かせ下さい
「当社は、日本でもあまり類を見ないサービス業に特化した接客のための英語トレーニング及び外国人のお客様に対する英語でのプロモーションをビジネスとする会社ですので、「おもてなしのサービス」を行う日本の外食産業にとってもお役に立てるのではないかと考えております。
外国人が見ても違和感のないメニューの翻訳、スタッフの方に対して英語でもてなす基本的な英語トレーニングを行っております。また、お店のプロモーションに関しては、ウエブサイトや携帯サイトでも写真や地図、クーポンやイベント情報などを通じて、英語のできるお店を紹介する活動も行っております」
「外食産業における私たちのゴールは、サービス業向け英語トレーニングのグローバル・スタンダードになることです。そして、外国人と外食産業の架け橋となることです。そうすれば、日本が異文化とのコミュニケーションを活性化させるための一助となるでしょうし、日本が、より国際的な国として外国からも受け入れられるようになるでしょう」