外食産業で本格普及期を迎えた電子マネーの課題と展望 ~FeliCa営業担当が語る電子マネーの今~

外食産業で本格普及期を迎えた電子マネーの課題と展望

飲食企業・情報システムベンダーおよび関連企業が協働し、飲食企業にとって導入効果の高いシステムの構築を目指すOFSC(オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム)研究会で実施された特別講演の模様をお送りします。外食産業の特性に則して電子マネーの現状や見通しに振れるなど、導入に際しての参考となる講演でしたので、OFSC研究会様、ソニー株式会社様のご協力により、当サイトにて特別に公開させていただきます。※本文中、敬称略とさせて頂きました。

第3回 電子マネー決済サービスの導入事例

【外食産業導入事例】
外食産業導入事例
*2006年10月時点。各社発表資料及びホームページより。

コンビニエンスストアや飲食店に限らず、百貨店やホテル、インターネットなど電子マネー決済サービスを導入している業種は、幅広いジャンルにわたっています。外食産業でも、一つの決済サービスを導入されている例もあれば、複数のサービスを導入している事例もあり、徐々に広がってきていると思います。

【複数サービス導入時の問題】
複数サービス導入時の問題

しかし、複数のサービスが店舗に導入されていることは、お店を利用する客の立場からすれば、どのカード・携帯電話でも決済できるためにメリットとなるのですが、お店にとっては大きな負担になるのではないかと思われます。代表的な4つの問題点を挙げさせていただきます。

まずは、決済サービスごとに端末が必要になるという点です。それぞれ無線機器に違いありませんので、隣接して使うと“干渉”という問題があります。これは、データに異常が発生するものではありませんが、無線通信レベルではあまり好ましいことではありません。それから、設置場所の問題です。いくつも端末を置く余裕がないのが実状だと思います。 3 番目としては、サービスごとにオペレーションが異なるという点です。これは、共用端末にしても残る問題ですが、かざす場所が違うとなると、 QUICPay で払うお客さまにはこちら、 Edy ならこちらと、お店のスタッフにとって少し面倒なことになるかもしれません。 4 番目は、 POS 連動が限定される可能性があるという問題です。我々が把握しているところでは、売上の取り消しなどお店でのいろいろな手続きに対し、それぞれの端末を POS で連動させていた場合に、手順がきちんとサポートされているか、従来のクレジットカードに対してのオペレーションがどうなるのか、といった問題が残されているようです。また、 POS 連動に関してはこれから検討するというサービスもあるように聞いています。実際に導入される際、店舗のオペレーションやシステムとの整合性も充分にチェックする必要があると思われます。

【マルチリーダライター端末の導入予定】
マルチリーダライター端末の導入予定
*各社発表に基づく。

私どもでも製品化しておりますけど、通称マルチリーダライタ、マルチサービスリーダライタと呼ばれる、共用端末によるソリューションの導入が増える傾向にあります。ここにある図は、いまのところ報道されている物販系店舗での導入予定スケジュールです。ローソンの場合には、 iD の導入を先行して、来春に Edy および Suica での決済が始められます。セブン&アイは、セブンイレブンからになりますが、 nanaco を先行して、続けて QUICPay を導入する予定です。複数サービス導入に伴い、共用端末の導入が非常に活発になってきている状況にあります。



渡辺 圭一

渡辺 圭一

http://www.sony.co.jp/Products/felica/

ソニー株式会社 FeliCa 事業部門 営業部 統括部長

1981 株式会社第二精工舎(現セイコーインスツル(株))入社
研究開発部、時計設計部を経て外食産業向けオーダーエントリーシステムのSE業務等を担当。

1991 ソニー株式会社 入社
自社製業務用機器(コンピュータおよびAV機器)の法人向けシステム・セールス、営業推進を担当。

1997 非接触ICカード技術 FeliCa関連製品のセールスに携わり、現在に至る。

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