“歴史の証人”が語る日本の外食産業史 株式会社F&Rセールスプロモート 藤井俊之氏

集中連載 歴史の証人が語る日本の外食産業史 外食ドットビズ

外食産業、ホテル、フードビジネスなど、「食」関連に特化した広告代理店の株式会社F&Rセールスプロモート。代表取締役社長の藤井俊之氏は、昭和40年(1965年)に創刊された「週刊ホテルレストラン HOTERES」の創刊メンバーである。以来40年以上の長きに渡って外食産業を見続けてきた”歴史の証人”ともいえる藤井社長の協力のもと、外食産業の歴史を深掘りして行きたいと思う。
なお、藤井社長には別の機会にあらためて、外食企業に対するセールス・プロモーションについてご登場いただく予定である。

第2回 “歴史の証人”から見た外食産業の歴史 ~外食産業の登場以降~

第2回:歴史の証人から見た外食産業の歴史 外食産業の登場以降

歴史の証人から見た外食産業の歴史 外食産業の登場以降昭和 44年(1969年)の第二次資本の自由化によってアメリカの外食資本がどっと上陸してきた。これにより、日本の飲食業が大きな変化をする。資本自由化で上陸した外食資本は経営体として、フランチャイズ制によるファストフードやファミリーレストラン、ディナーレストラン等だった。このアメリカ型外食形態は日本人にアピールし、成長しつつあった「嗜好的外食」を一挙に普及させた。自由化により欧米のレストランチェ―ンとの提携・合弁契約が次々と成立した。代表的なものに、「日本ダンキンドーナツ」「日本デイリークイーン」「日本ケンタッキーフライドチキン」「東食ウインピー」「ミスタードーナツ」があげられる。

この外資系飲食資本の経営体を見習って、日本の外食資本も昭和 40年代後半から急速に成長しはじめることになる。

昭和 43年(1968年):「京樽」が埼玉県・草加市に日本初の本格的セントラルキッチン(CK)を建設、業界でCK論議が活発化する

昭和 45年(1970年):3月に大阪万博開催。同年7月「すかいらーく」がFR1号店を東京の国立市にオープンする。この万博の参加国は、77カ国に及び、万博会場内の各国料理のレストランが人気を集めた。総入場者 6422万人と国民の大半が来場した計算になるほどの世紀の大イベントであったが、出店した国内飲食企業も含め、その後の食生活の多様化に与えた影響も大きかった。

歴史の証人から見た外食産業の歴史 外食産業の登場以降同年 11月:愛知県・名古屋市に「ケンタッキーフライドチキン」の1号店がオープン。

昭和 46年(1971年):7月に「日本マクドナルド」が1号店を東京・銀座三越の1階に出店。
現在もフードサービス業界の売上高でトップ企業として活躍している。

昭和 47年(1972年):「モスバーガー」が東京・板橋区の成増に、「ロッテリア」が東京の日本橋に、そして「小僧寿し」の1号店がそれぞれオープンする。

昭和 48年(1973年):スーパーマーケット大手のイトーヨーカドーが米国・デニーズ社と資本提携し、デニーズジャパン(現 株式会社セブン&アイ・フードシステムズ を設立する。

昭和 49年:「デニーズ」の1号店が神奈川県・横浜市のイトーヨーカドー上大岡店内にオープンする。

歴史の証人から見た外食産業の歴史 外食産業の登場以降同年:不二家がバスキンロビンスアイスクリームとの合弁でビー・アールジャパン(現 ビー・アール サーティワン アイスクリーム株式会社)を設立し、「サーティワンアイスクリーム」の1号店をオープンする。ビー・アールジャパンの設立は、昭和 48年12月。バスキンロビンス社との合弁が昭和49年1月。

昭和 50年度決算で日本マクドナルドが年商105億円、すかいらーくが年商20億円を記録。ホテルレストラン誌の調査で飲食企業売上高上位 150社の年間販売額8597億円で前年比28.4%増と二桁成長している。

昭和 53年(1978年):7月にすかいらーくが東京証券市場の店頭株式公開、同年8月、ロイヤル福岡証券取引所に上場、同年、10月東天紅東証二部上場する。この年は、外食産業の株式公開元年となる。

昭和 54年:ダイエーが米国・ウエンディーズインターナショナル社と技術提携し、ウエンコ・ジャパン(現株式会社日本ウエンディーズ)を設立。翌年 5月、東京・銀座に1号店をオープン。

歴史の証人から見た外食産業の歴史 外食産業の登場以降昭和 55年(1980年):「ドトールコーヒーショップ」1号店が東京・原宿にオープン。同年、吉野家が会社更生法の適用を申請。事実上の倒産となる。

昭和 59年(1984年)には、外食市場規模は20兆円を超えた。外食企業の意欲的な拡大政策で西武流通グループは、昭和60年代前半に年商1,000億円を達成できる体制をつくった。また、重厚長大型産業が外食産業に進出を図るなど、外食市場は、他産業の注目の的となる。60年代入り、リンガーハット、モスフードサービスが株式上場・店頭登録をする。上場企業は、レストラン西武、東天紅、東京會舘、すかいらーく、京樽、デニーズジャパン、ロイヤル、サトの9社、店頭登録企業は、精養軒、モスフードサービスの2社、63年にサッポロライオン、藍屋、モスフードサービスの3社、株式上場・登録は10社となる。昭和62年度の外食市場規模は29兆6千億円。

平成 19年度の「日本の飲食企業BIG300」によると飲食企業各社が単価減、来客減による売上減が続き、飲食市場の縮小傾向が話題になっていたが、今年に入って、さまざまな商業施設の開発が相次ぎ、それらの施設に入る飲食店舗が注目を浴びている。一部の企業では単価増や来客数増の傾向も見られ、市場に明るい兆しが出ていると報じている。

歴史の証人から見た外食産業の歴史 外食産業の登場以降外食市場について、外食産業総合調査研究センターによると平成 18年度の外食市場規模は24兆3千5百92億円と前年度に対して99.8%と僅かながらマイナスになっている。一方、中食などの市場に相当する料理品小売業の市場規模も加えると広義の外食産業市場規模は、前年度の29兆9千6百38億円に対して100.2%とになり、好調な中食市場のおかげで微増となっている。業態別の全店売上高では、「ファストフード」は前年度比104.0%と大幅な伸びを記録した。「ファミリーレストラン」は全店売上高で前年比100.0%と横ばいに終わった。「パブレストラン/居酒屋」の店舗数は前年比110.4%と全業態の中で最大の伸びを記録した。売上高109.2%と伸び市場拡大傾向が見られる。「ディナーレストラン」は全店ベースの売上高は102.9%を確保している。出店ペースが増加傾向にある「喫茶店」は前年比104.7%を記録している。全店ベースの客数は新規出店が貢献し、101.7%となり、全店売上高も102.4%とになっている。

株式を公開している外食企業は、現在、全国の証券取引所に 93社程ある。



藤井 俊之

藤井 俊之

アパレル企業を経て、昭和40年(株)オータパブリケーションで、週刊ホテルレストラン(現)の創刊に携わる。その後、広告代理店の専務取締役を経て、昭和47年F&Rセールスプロモートを設立し、代表取締役就任。
現在は、社業の他、地元葛飾区で各種団体役員を務め、地域の活性化に力を入れる。

株式会社F&Rセールスプロモート

http://www.fandr.co.jp/

外食産業、ホテル、フードビジネスなど、「食」関連に特化した広告代理店。
「食」全般に渡り、お客様の効率的かつ効果的な販売促進をトータルにサポートしている。

文: 斉藤栄紀

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