今年も“フードサービス”に特化した展示会であるHOTERES JAPAN(国際ホテル・レストラン・ショー)とFOODEX JAPAN/国際食品・飲料展が開催された。昨秋からの景気の悪化後、最初に開催された飲食業向け展示会をレポートした。
なお、海外の展示会情報についても福本龍太郎氏がレポートしているので、是非こちらもご覧になっていただきたい。
-FOODEXの会場から-
FOODEXの会場内は、食品・飲料品サプライヤーが試食・試飲を提供している。特にアルコール類の試飲が盛況のため一種独特の匂いが充満している。厨房機器などの大型商品を展示しているわけではないので、HOTERESに比べると各社ともブースのスペースはさほど大きくないため、来場者、出展者とも通路にあふれ歩きづらい状況であった。
その中で大きさ、展示方法ともひときわ目に付くブースがあった。日清製粉グループ本社のブースである。オープンテラスの客席にオープンキッチンとイタリアの街中にあるようなレストランを模したブースの造作は圧巻であった。しかもオープンキッチンには毎日名だたるシェフが立ち、調理のプレゼンテーションを行っていた。
私が訪れた日は、「リストランテ・カステッロ」の山田直喜シェフであったが、前日は、外食ドットビズにもご登場いただいた(食材原価高騰の時代を活きるVol.1 第3回厳しい環境下こそ前向きの努力を)「リストランテ・アルポルト」の片岡護シェフ、翌日は「クッチーナ・トキオネーゼ・コジマ」の小嶋正明シェフ、最終日は「リストランテ カ・アンジェリ」の佐竹弘シェフというイタリアンの業態では、されもが一度は訪れたいと思う垂涎の店のシェフの面々である。
この項の最後に参考まで当日の料理のレシピをご紹介する。
日清フーズ株式会社 業務用営業部 主査の松田隆之氏にお話をお伺いした。 (以下、敬称略)
-今回の展示のコンセプトをお教えください-
【松田】 「生き残り、勝ち残る外食産業へ」をテーマに2009年のトレンドや新しい外食メニューを提案し、プレゼンテーションや試食を交えてご紹介しています。
-具体的なプレゼンテーション内容をお教えください-
【松田】 まず、月刊食堂の大澤哲編集長による「トレンド飲食セミナー2009」を映像でご覧いただきます。それから今年のトレンドテーマの一つである”野菜が中心”をメインテーマにオーガニック、ビューティ&ヘルシー(脱メタボ)など社会性を考慮した内容のプレゼンテーションを展開致します。“野菜に精通したイタリアン有名店のシェフ”をお招きし、シェフ考案の「パスタ、ピッツァ、パン」等のメニューの紹介をテーブルサービスで行います。
席数の関係で事前にご予約いただいた方しかお召し上がりいただけませんので、別に試食コーナーを設けてあります。ここでは、本格的な生パスタの食感をご賞味いただける冷凍生パスタをご提供しています。ソースに相性が良く、1ポーションなのでロスがなくなるという特長があります。パスタスチーマーの「roundup」と組み合わせていただくと30秒から1分で本格的な生パスタができあがります。
皆様にとって何かしらのヒントが隠されていると思うので、「トレンドセミナー2009」の概要を以下に列挙する。
自然派
「安心・安全・健康」から顔の見える野菜の使用 ・・・ 国産、オーガニック、地産地消。代表店は、銀座「Veggie」、表参道「野菜畑」(規格外野菜の利用で680円が中心価格帯)、群馬県「マリーザ」(ハーブの自家栽培)など。
朝食メニュー
空白マーケットとメタボ検診スタートによる規則正しい食生活の促進
ココット料理
フランスの家庭料理。蒸し料理が中心。代表店は、西麻布「HOUSE」
本格パスタ
パスタ専門店のみならず、ビュッフェ業態にも波及。
プチリッチ
「たまにはご馳走を」というプチリッチ層の出現。「ちょっとしたハレの日」という概念も。
もう一つご紹介したいと思う。マルホンごま油で有名な竹本油脂である。2コマほどのさほど大きくないブースであるが、カップケーキの銘店、代々木上原のチャプチーノとのコラボレーションが実現したブースである。
洋菓子に使用する油脂系といえば誰もがバターを思い浮かべるであろう。竹本油脂では、最近のトレンドの一つである健康をキーワードにバターの代わりにごま油を使用することを提案している。
竹本油脂株式会社 ごま油事業部 アシスタントマネージャーの嶋崎浩治氏にお伺いした。(以下、敬称略)
-今回のコラボレーションによるプレゼンテーションを企画したのはどのようなことからですか-
【嶋崎】 ごま油はご承知の通り、非常に健康的な食用油です。ノンコレステロールでセサミンやセサミノールなどのゴマリグナン成分が含まれています。更に乳製品アレルギーにも対応できますのでバターにはないメリットがあります。特に当社の太白胡麻油は、油臭さがなく、味にコクがあって、酸化もしづらいのでバターの代わりに洋菓子にも充分利用できます。さらに、チャプチーノの福田社長のご理解とパティシエの安田栄子さんもパリでごま油を使用した洋菓子に出会ったこともあり、前々から興味をもたれていたので、この企画が成り立ったわけです。
日清製粉グループ本社ブースのプレゼンテーション席は毎回満席の盛況であった。また、竹本油脂ブースのチャプチーノの安田パティシエによるごま油を使用したカップケーキの試食も長蛇の列であった。
展示会においては、時代のトレンドに即した具体的なプレゼンテーションが功を奏するのではないだろうか。
最後に私が賞味した山田直喜シェフの提案されたメニューのレシピを掲載させていただく。
次回は、HOTERES会場の模様をレポートさせていただく。
文: 齋藤栄紀