フランス料理の一流シェフたちも認める現代型厨房施設 日本エスコフィエ協会の取り組み ~電化厨房が変える作業環境

フランス料理の一流シェフたちも認める現代型厨房施設 日本エスコフィエ協会の取り組み 電化厨房が変える作業環境

現代フランス料理の祖、オーギュスト・エスコフィエ。彼の功績は料理の創作だけではなく、調理法の合理化、料理場の革新的な設計や衛生管理、料理人の労働環境改善と地位向上に尽くしたことなども挙げられる。
日本エスコフィエ協会も彼の遺志を継ぎ様々な取り組みを行っている。その中で一早く電化厨房の施設を取り入れその普及に取り組んでいる。今回は日本エスコフィエ協会の向佐勝シェフと伊藤彰彦事務局次長に話を伺った。

第5回 「TEPCO電化厨房エスコフィエ」から見える今後の厨房施設(1)

第5回 「TEPCO電化厨房エスコフィエ」から見える今後の厨房施設(1)

フランス料理の一流シェフたちも認める現代型厨房施設 日本エスコフィエ協会の取り組み 電化厨房が変える作業環境TEPCO電化厨房エスコフィエ」は、日本エスコフィエ協会の本拠ビル「メゾン・オノ」の1階にある。ちなみに「メゾン・オノ」は初代会長の小野正吉氏の寄付により購入されたビルである。

最新鋭機器を備えた TEPCO電化厨房エスコフィエ では、飲食業関係者に対して、電化厨房の先端技術の説明や調理技術を体験できるセミナーの開催など幅広い活動を行っている。

フランス料理の一流シェフたちも認める現代型厨房施設 日本エスコフィエ協会の取り組み 電化厨房が変える作業環境【 向佐シェフ 】 この施設の最大の特徴は、(写真1のような)天井換気システムを採用していることです。メーカーの方などは、機器の利点の説明ばかりしますが、実は、最大の特徴は、この換気システムなんですよ(笑)。

このように広い作業空間を作り出すことが出来ます。従来の厨房の場合には、頭すれすれにダクトが来ますので、物凄く圧迫感を感じますが、頭の上にこれだけの空間があれば全くそのようなことはないですよね。

フランス料理の一流シェフたちも認める現代型厨房施設 日本エスコフィエ協会の取り組み 電化厨房が変える作業環境それと綺麗な空気環境を作り出すことが出来ます。この天井換気システムは、天井全体が排気フードになっているような感じで、暖かい空気は上に行き、冷たい空気は下に行くシステムです。

この排気口(写真2)から空気を吸い込んで排気します。ちなみに、ここでほとんどの油分をカットすることができます。こちらのパンチングメタルの部分(写真3)からは、空調機によって冷やされた外気が吹き出しています。吹き出すといっても吹き付けるような速さではなく、ゆっくりとした速度で降りてくるといった表現が的確ですね、これによって、快適な温度帯の保持が出来ます。もともとIH調理器などは燃焼式と違って熱の排出が少ないですので、室温25℃以下という理想的な厨房環境を作りやすいのです。

フランス料理の一流シェフたちも認める現代型厨房施設 日本エスコフィエ協会の取り組み 電化厨房が変える作業環境【 向佐シェフ 】 それと入られてお気付きだと思いますが、非常にコンパクトな厨房ですよね。この厨房は7坪なのですが、ここにある厨房機器でどの様な料理でもほとんどできるのです。材料があればですけれどね(笑)。このように厨房機器類を効率的に配置できるのも電化厨房のメリットなのです。

まず、このIH調理器の下にあるのが冷蔵庫(写真4)です。レンジ台の下に冷蔵庫があるなんて考えられないでしょ。この引き出し(写真5)なんかは卵用ですから(笑)。IH調理器の天板で盛り付けもできるから余計なスペースも要らないですよね。また、IH調理器の素晴しいところは熱効率のいいところです。約200ccの水であれば、およそ15秒くらいで沸かす事が出来ます。

フランス料理の一流シェフたちも認める現代型厨房施設 日本エスコフィエ協会の取り組み 電化厨房が変える作業環境これ(写真6)が、電気グリドルとIHフライヤーです。電気グリドルのいいところはプレート全面に、均一に熱が素早くまわるので、焼ムラが少なく一度に多くの焼物ができることですね。IHフライヤーは温度管理がしやすく、油の温度分布にムラがないので、カラッと揚げ物ができます。

優れものがこれ(写真7)です。実はこれも換気装置なんですよ。これが排気口なのですが、燃焼式の厨房機器じゃ考えられないほど低い位置にあるでしょ。これだけグリドルやフライヤーの近くにあれば、オイルミスト、熱、水蒸気、臭気といったものをほとんど吸い取ることができます。オイルミストや臭気は、このフィルター(写真8)で除去されて、この排出口から綺麗な空気となって排出されるのです。

電子レンジの上にあるのが、電気サラマンダーです。サラマンダーをこのように縦に配置することができるのも電気式のなせる業ですね。燃焼式の場合こんなに天井の近くに置くことはできません。特にこのように電球の真下なんか到底無理ですよね(笑)。

このように電化厨房がどれほど柔軟で効率的な配置を取ることができるかおわかりになっていただいたと思います。



日本エスコフィエ協会

日本エスコフィエ協会

http://www.escoffier.or.jp/

初代会長・故小野正吉(ホテルオークラ総料理長)が中心となり、日本の現代フランス料理の草分けともいえる25人の料理長が集まり1971年に創設。

近代フランス料理の祖オーギュスト・エスコフィエの弟子たちにより”エスコフィエが確立した近代料理術と伝統の継承と発展、調理技術の再教育などを目的としてフランスで設立されたエスコフィエ協会”の精神を基に、現在では、5代目の浅野和夫会長(マキシム・ド・パリ顧問)のもと、2007年9月に文部科学省から「社団法人日本エスコフィエ協会」の認可を受け、約1800名の会員の所属する協会として幅広い活動を行っている。

取材協力 担当シェフ 向佐勝氏(元ホテルオークラ、赤坂迎賓館総料理長)
事務局次長 伊藤彰彦氏

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