インクジェットプリンターの「カラリオ」など、一般的にはコンシューマ製品のイメージが強いエプソンであるが、飲食業や流通小売向けプリンターなど業務用製品にも豊富な実績がある。POSに付属するレシートプリンター、オーダリングの一部であるキッチンプリンターにおいては、世界的な企業なのである。日本の飲食業における店舗システムがかかえる問題点を探りながら、エプソンの業務用プリンター事業に焦点をあててみる。
-飲食店ビジネスを進めていく上での貴社の強みをお教えください。
業種・業態・業務に合わせられる、多様な印字テクノロジーを持っていることです。「 ドットインパクト 」 「 サーマル 」 「 インクジェット 」、サーマルとインパクトを組合せた 「 ハイブリッド 」 など多種多様な印字技術を有しています。ホテルや料亭のレシート用としては 「 ドットインパクト 」 を使われているところがまだありますが、調理指示用やレシートには 「 サーマル 」 が広く使われています。また、バックヤードでの業務では、「 インクジェット 」 をお使いの飲食店さんも少なくありません。「 ハイブリッド 」 は、ホテルなどのホスピタリティ産業でお使いいただいてます。これだけのラインアップを持ったメーカーは他にはないと思います。それから、グローバル展開をしているところも強みです。
「 EPSON 」 のブランド力も大きな強みと自負しております。手前味噌ながら、「 プリンターのエプソン 」 というのをご存じない方は少ないのではないかと思います。「 カラリオ 」 などコンシューマ製品では知名度がありますので、これからは業務用プリンター事業があり、ワールドワイドで使われているということを知っていただくようにしなければならないと考えております。
-最後に貴社の飲食店向けビジネスへの今後の取り組みをお教え下さい。
OFSCの標準規格など、オープン化の芽が出てきたといえども、飲食店様向けのシステムはまだまだクローズな環境におかれていると感じています。私どもの製品を使っていただくことにより、オープンなシステム構築ができると確信しています。そのためには、ユーザー目線で使い勝手のよい製品づくりをしていくことが私どもの根幹になると考えています。もし、クローズなシステムのままなら、大きなコストがかかってしまうことになります。これは、飲食業のお客様にとって不幸なことではないかと思います。幸いにも、海外では既にオープン化というベースができておりますので、その考え方を活用して、国内のオープン化を進めることが当社のこれからの大きなテーマです。
これに加えて、世の中の技術の流れに合致した製品も提供していきます。先に、スマートデバイスの普及の話をしましたが、当社も今年のリテールテック・ジャパンで「 スマートレシートプリンター 」 のご提案をさせていただきました。「 スマートレシートプリンター 」とスマートフォンなどを組み合わせて、web技術を活用した新たなご提案を飲食業界の皆様にさせていただきたいと考えております。
最後になりますが、エプソンは、自社だけでお客様の課題解決ができるソリューションを持っておりません。そのためには、SI企業様とパートナーシップを組み、ともに協力関係を結びながらお客様にご納得いただけるソリューションを提案していくことが必要となります。SI企業様とは、確固たるパートナーシップを組んで常にベストソリューションを提供して参りたいと考えております。さらに、オープン化を推進することによって、システム開発の新しいプレーヤーの皆様が参加しやすくなると考えられます。この様な活動を通して、飲食業界の活性化を目指していきたいというのが私たちエプソンの考えなのです。
(取材日:2011年6月27日)
エプソン販売株式会社
代表者 平野精一
本社 新宿区西新宿6丁目24番1号 西新宿三井ビル24階
設立 1983年5月20日
事業内容 情報関連機器卸売(プリンター、カラーイメージスキャナー、パーソナルコンピューター、液晶プロジェクター、パソコンPOSシステム、各種ミニプリンター等)
取材協力 BS・SD営業部 部長 細川雅弘氏
1962年生まれ。1988年エプソン販売に入社。
大手メーカーSierを担当する営業部門に所属し、アライアンスビジネスを構築する。現在、外食産業を含む特定業種に特化したビジネスを推進。業務用の小型プリンター(レシート・キッチンプリンター・ラベルプリンター)等の積極的な販売を促進している。