流通・外食産業で導入が加速する電子マネー ~顧客拡大のチャンス!電子マネーの仕組みを全公開~

流通・外食産業で導入が加速する電子マネー 顧客拡大のチャンス!電子マネーの仕組みを全公開

飲食店に求められるものは味だけではありません。レジで混まないスピーディーな会計、小銭のいらない利便性など、新時代の顧客満足を探るために「電子マネー」を学んでみたいと思います。

第3回 さまざまな決済手段の登場

FeliCa 技術を用いた非接触対応サービスの中で、現在、流通・小売業界や飲食業界から特に注目されているのが、少額向けの決済サービスです。

現金と比べて支払い時間が短縮できる事や小銭のやり取りが不要であるといったメリットにより、従来は現金で支払っていた場所、例えばコンビニエンスストアやスーパー、KIOSK、家電量販店、飲食店、自販機など着実に使える場所が広がってきました。

これらの決済サービスは、大きく分けて「プリペイド型」「ポストペイ型」と呼ばれる2つの方式に区分されます。それぞれは、以下のような特長を持っています。

Edyでの支払いの様子
Edyでの支払いの様子

●プリペイド型(前払い型)

事前に携帯電話、またはカードにチャージ(入金)をしておき、支払いの度に利用金額が引き落とされるタイプです。ビットワレットが運営する Edy や、 JR 東日本の Suica といった電子マネーがこのタイプです。

●ポストペイ型(後払い型)

事前に携帯電話、またはカードにお金をチャージしておく必要がなく、クレジットカードと同様に後から支払いをするタイプです。ユーザーは残高を気にすることなく利用が可能です。

小額決済向けのクレジットサービスとしては、UFJニコスのSmartplus(スマートプラス)、 JCBのQUICPay (クイックペイ)、 NTT ドコモの iD (アイディ)等があります。これらは、従来のクレジットサービスと異なり、一定金額内ではサイン不要です。また、非接触=かざすだけですので、処理に手間がかかることなく支払い時間を大幅に短縮する事が可能です。

携帯電話の多機能化が進むと、紛失した際の不正利用などに不安を抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし、第2回でも触れた通り、安全性の面でもさまざまな考慮がなされています。また、クレジットカードと同様の保険対象となり、万一不正使用されても保険の範囲内で補償が受けられるサービスもあります。

< FeliCa 技術を使った主な決済サービス一覧>
FeliCa技術を使った主な決済サービス一覧
※会員数は各社発表数
・ Edy は2006年8月9日時点
・ Smartplus, PiTaPa は2006 年6月末時点
・ Suica は2006年7月末時点。電子マネー対応カードのみの枚数
・ QUICPay は2006年5月末時点
・ iD(DCMX) は2006年7月末時点

ところで、多様な決済サービスの登場によって、店舗側では各社のサービスに応じた専用読み取り端末の設置が必要となっています。複数の決済サービスの導入を希望された場合でも、残念ながらスペース上の問題からサービスを絞り込まなければならない場合があります。一方、スペースの問題は解決できたとしても、複数の端末を導入すれば、店舗側の負担はそれだけ重くなります。現在のクレジットカードと同様に共通の端末で各種サービスが利用できなければ、普及を妨げる要因にもなりかねません。

それらを解決する方法として、複数の決済手段が一台で使える共用端末の登場が待ち望まれており、現在、数社が開発を進めています。

セブン&アイ・ホールディングスは、2007年春より電子マネー「nanaco (ナナコ)」とともに、複数の決済方式に対応した共用端末の導入を発表しています。また、サークルKサンクスは Edy、QUICPay、Smartplusが読める端末を2007年秋より全店で導入すると発表しています。

ソニーでも、一台の端末で最大8つまでの決済サービスに対応できる共用端末「マルチサービス・リーダーライター」を開発しています。

お名前
マルチサービス・リーダーライター
導入前(左)と導入後(右)のレジ周りの様子
ICカードワールド2006 ソニーブースより

さまざまな種類の決済サービスに対応できるこの共用端末が普及すれば、非接触決済市場はさらに拡大にしていくものと予想されます。



ソニー株式会社 コアコンポーネント事業グループ FeliCaビジネスセンター

ソニー株式会社 コアコンポーネント事業グループ FeliCaビジネスセンター

http://www.sony.co.jp/Products/felica/

ソニーの取り組みとFeliCaの利用拡大

1988 宅配便の物流用タグとして開発をスタート
1989 鉄道総合技術研究所と一年間の電車乗車券共同研究
1997 香港オクトパスカードサービス開始
2001 ビットワレット電子マネーEdy 本格稼動
2001 JR東日本 Suica開始
2003 JR西日本ICOCA開始
2004 NTTドコモ おサイフケータイ発売
2005 KDDI, ボーダフォン おサイフケータイ発売
2005 FeliCaチップの出荷が累計1億個を突破
2006 郵便貯金カードにFeliCa採用

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