外食ドットビズは、2006年にサイトオープンして以来、4月16日に2周年を迎えることができました。その記念と致しまして、いつもの特集とは趣向を変えて、サイトメンバーによる座談会をお伝えしたいと思います。設立時からのテーマである“よみがえれ!外食産業”の一環として、外食ドットビズがこの業界に果すべき役割について、突き詰めていきたいと思います。
【斎藤】 最近の外食経験で、不満・不快に思ったことはありますか?という質問を用意していたのですが、いきなり今日ありましたね。この座談会のために、宅配ピザを頼もうと電話をしたら、休憩中だと言われたんです。宅配をやっているのに、休憩中と言われても困りますよね。予約で5時にお願いしたら、「 休憩が終るのが5時なので無理です。6時半になります 」 と嫌そうに言うんですよ。イートインの店舗も兼ねているらしいのですが、それなら留守録にでもしておけといいたかったですね。
【坂尻】 留守録も失礼だけど、そういう対応をするくらいなら、お客さんにとっては留守録の方がいいでしょうね。厳密に言えば、宅配ピザは外食では無いのですが・・・。でも信じられないですね、この対応は。
【酒美】 これは、電話に出た人の人間としてのレベルの問題でしょう。そういうのを電話に出させちゃいけない。
【斎藤】 そういった経験は皆さんは?
【永江】 これもピザネタですが、ドミノピザでアンチョビをトッピングで頼んだら、乗ってなかったんです。すぐに電話しましたが、よく考えたら、後でアンチョビだけ持ってこられても困りますよね(笑)。乗ってなかったことだけ伝えたら、しばらくして全額返金に来ました。
【斎藤】 我々の例とは対照的ないい話じゃないですか。
【永江】 そんなことされたら、次もドミノピザになりますよね。
【前城】 永江さんは、吉祥寺のスターバックスでも特別サービスを受けてますよね?
【永江】 最初に 「 暖かいのですか?冷たいのですか? 」 と聞かれます。オーダーがいつも決まっているので、ホットかアイスかしか聞かれないんです。
【斎藤】 ちなみに注文は?
【永江】 “ アイススターバックスラテのグランデサイズのショート追加 ”
【斎藤】 復唱するのが面倒くさいだけじゃないですか?
【斎藤】 前城さんはどのような不満を感じましたか?
【前城】 外食は好きですが、最近は行かなくなりました。外食して嫌な思いをするなら、家で食べようという気になっています。大したことじゃなくても、嫌な思いすることって多いじゃないですか。いやいやオーダーを取られたとか…。
【貝田】 そういわれると、味や店の雰囲気、接客対応などすべてを含めて何一つ不満なく帰ってくることはほとんどない気がしますね。何かしら悪かったという印象が残る。
【斎藤】 外食は、美味しいのは当然で、楽しむためにいくのが大前提ですよね。それが崩れてしまって行かなくなるというのは寂しいですよね。
【酒美】 私も嫌そうに働いている人の比率が増えているように思います。ダラダラ歩かれると店全体の雰囲気が悪くなりますよね。
【斎藤】 客側のガラやマナーも悪くなっていませんか? 昔はファミレスに若者の集団は少なかった。ギャーギャー騒がれていたら、やはり入りづらい。
【貝田】 年齢的に無理がありますが、若者の立場で発言させていただくと、オヤジとオバサンのタチも悪いですよ。すし屋などカウンターの店で、板前に話しかけるのはルール違反。こっちのオーダーを板前さんが忘れてしまうんですから。
【酒美】 確かに、携帯電話のマナーも年配者の方が悪いですよね。
【斎藤】 コメンテーターとして、マナーと店のレベルについてはどう思いますか?
【坂尻】 いろいろな要素があって困りますね。敢えて言うなら、モチベーションは下がっているかもしれないですが、接客対応や技術面など店のレベルは昔より上がっているのは確かです。ただ、客側がさらに上のレベルを求めている。楽しめないと分っているから、外食に行かなくなっているんだと思います。これだけ店があって、好きに選べる時代ですからハードルも高くなりますよ。
【貝田】 僕がファミレスに言いたいのは、人が足らなくて回せないなら、店を開けるなということ。素人目にも明らかにホールスタッフが足りてない店が多いですよね。呼んでも来ないし、「 少々おまちください 」 と言ったまま忘れる。忙しいスタッフには同情しますが、半分閉めたら?と言いたくなる店が多い気がします。
【斎藤】 人手不足の問題は、嘘だと言われていますよね?
【坂尻】 嘘というわけでもないですが。アルバイトの回転率という数字があって、これは年間採用者と在籍者との比率ですが、昔は、2.3という数字でした。これは、ある店が年間70人採用すると、30人位は定着していたという数値です。ところが、最近は人手不足と言われながら、この率が2.8~3.0にまでなっている。単純に同じ規模の店にあてはめると3.0という数字は、年間90人採用していることになります。人手不足ではなく定着率が悪すぎるんです。
【斎藤】 定着しないから、サービスの質が悪くなっているということですね。
【坂尻】 絶えず新人を抱えて営業していることになるわけです。
【斎藤】 豊崎さんは何か不満に感じたことはありますか。
【豊崎】 ほぼ毎日、同じ店で外食をしているので不満はないですね。そういえば、以前、朝イチでマクドナルドに入ったら、新人さんの研修をきちんとやっていて、さすがだなと思ったことがあります。
【坂尻】 私も品川の某チェーンのカフェに午前中に入ったら、「 新人研修に協力してくれ 」 と頼まれたことがあります。快く引き受けたら、 10人の女の子が一斉にやってきて、一人ずつオーダーを取っていくんですよ。楽しかったですね(笑)。サンドイッチとコーヒーも無料になりましたし。
【貝田】 研修だったら、「サンドイッチとコーヒー、あと君の電話番号」とか言ってあげなきゃいけなかったんじゃないですか?
【坂尻】 あっ、そのケーススタディーで選ばれたんですかね…。でも、新人の女性陣10人に囲まれたら平常心を失いますよ。
【斎藤】 そう言ってくれそうな人だと思われたんじゃないですか(笑)。では、最後は福本さんにまとめていただきましょう。
【福本】 不満というわけではないですが、あるイタリア料理店で、オイルサーディンを1匹、フォカッチャを1切れ単位で注文できる店があって驚きました。普通のフルサービスだったのですが、小魚一匹に数十円の単価をつけてチョイスさせてくれるんです。「 1個から買えます 」 という姿勢は、非常にお客様よりだと感じました。コストの問題は当然あると思いますが、食育とか環境問題を考えると、いろいろな業態で取り入れてほしいなと思います。
参加者(外食ドットビズ編集部)
前列(右より) 外食ドットビズ編集長・斎藤栄紀(40代中盤)/外食ドットビズ運営会社社長・酒美保夫(50代中盤)/論説主幹・坂尻高志(50代後半)
後列(右より) カメラマン・豊崎淳(30代前半)/ライター・貝田知明(30代中盤)/システム作成兼特派員・福本龍太郎(30代中盤)/デザイン担当・前城幸代(30代中盤)/「食のコミュニティサイト」担当・永江慶太(30代中盤)
文: 貝田知明 写真:トヨサキジュン