女性のお客さまをお店に誘引することは、外食企業の永遠のテーマ。ダイエット、ロハスなどなど女性の食に対する興味は移ろいやすい一方、衛生面など外食店舗に求める絶対条件というものもあります。そこで、ジャパン・フードコーディネーター・スクールの学生3名様を参加者に迎え、食の専門家と一般消費者という両方の立場から、食に対する考えや外食企業に期待することを伺いました。また、消費者代表として当サイト制作スタッフも参加したほか、コメンテーターとして株式会社アグライア CEOの高木鈴子様、管理栄養士の長岡弓子様にもご参加いただき、現代女性の心に響く店舗づくりのヒントを聞き出してみたいと思います。なお、司会進行は、外食ドットビズ論説主幹の坂尻高志氏が担当します。(女性ばかりですから、座談会終了後も興味深い雑談が続きましたので、その模様も番外編として掲載いたします)
【坂尻】 皆さんの食に対する考え方が出てきたところで、いよいよ外食産業のメニューについての意見を聞かせてください。具体的な店舗名やメニューも挙げていただいても構いませんよ。
【前城】 皆さんは、外食をされるときにバランスを考えて頼むんですか? 私は、お腹が空いているから、何も考えずに揚物と揚物なんて食べたい物を頼むんですけど。
【長岡】 自分の好みと照らし合わせて、できれば、バランスを考えてくれているお店に行くようにしています。
【前城】 お店のセレクトからスタートしてるんですね。
【長岡】 あまりに偏ったメニューのお店には行かないですね。
【坂尻】 それは、例えばどこですか?(笑)
【長岡】 名前は覚えてないんですが、ランチメニューでうどんとご飯がセットになっているお店です。炭水化物だけですよね。それなら、たとえ値段が上がっても単品で頼んで、おかずを付けるようにします。
【石川】 ランチセットで選べるメニューが、茶色のものばっかりというところはイヤです。魚や肉のフライとポテトだけで、他に選択肢がない。もう少し緑や赤を添えてほしいですね。
【藤江】 オーガニック系のビュッフェは、健康を売りにしていますが、結構怖いですよ。自分でコントロールしないと食べ過ぎてしまうし、栄養など選び方を分かっていないと結局偏ってしまう。いろいろ食べられていいけれど、それをどう選ぶか…。提供する側としても難しいでしょうけど、何か目安があればいいかなと思います。
【坂尻】 最近は、メニューにカロリーが表示されてきていますが、成分表示まではなかなか行き届かない状況です。そういう情報開示は、店の選択の参考になりますか?
【石川】 私の場合は、疲れているときにアレルギー源が入っているものを食べるとジンマシンが出るので参考にすることがあります。
【井上】 最近は、小さいお子さんのアレルギーが激しい場合が多いですから、お母さんたちには強い来店動機になっているでしょうね。今、東京都の 3歳児の半分が何らかの食物アレルギーを持っているというデータもあって、アレルゲンを表示しているデニーズにしか安心して行けないという声もありました。
【坂尻】 以前、ある店でデザートを田舎風にするためにそば粉を入れたら、アレルギーを起こしてしまって、数千万円の損害賠償になったこともありましたね。
【井上】 アンチョコレベルでいいですから、事前に全従業員に伝えてほしいですね。アレルゲンがないはずのメニューなのに、同じ調理器具を使って混入しているかもしれないですから。
【坂尻】 では、原産地表示はどうですか?
【井上】 作ったおじさんの写真を出されてもどうかなという気はします。むしろ、どういう環境で育てているのか、畑の写真があった方がよっぽど安心できます。
【長岡】 でも、どこから仕入れているかが明確なだけでも違いはあるかもしれないです。輸入物なのか、国産なのかという意味で差別化になりますね。
【高木】 やっぱり、どういう調理をしているのか知りたいです。ファストフードとかにいくと、やっぱり奥を覗いちゃいますから。床に落ちたのを拾って入れてるんじゃないかと心配になる。モラル的には、ファストフードもしっかりされているんでしょうが、アルバイトさんをたくさん使っているから不安に思うことがあります。そう考えると、外食産業ってすごく努力が必要ですよね。いままでの効率重視や価格競争という視点では売れなくなっていますから。
【坂尻】 チェーン店がある程度の規模になると、安くて良い物を手に入れられるんですが、それ以上になってくると、食材の調達が集めきれなくなるのです。例えば、冬に白菜を食べるのは当たり前ですが、スーパーは 10年先も白菜を売るから、良い生産者を抑えたり、自分の農園で土から作ったりして調達できる。でも、外食産業は先にメニューありきです。白菜を使ったメニューを3年先、5年先に果たしてやるかどうかという問題がある。ぎりぎりになって、今年の冬はこうしようと白菜の美味しさを前面に出したメニューを考えても、良い白菜がすべて抑えられてしまって、結果的に高くて不味いものを調達して、お客さんに提供せざるを得ないというジレンマがあるんですよ。
【高木】 それなら、供給する側も改善しなければいけないと思いますね。
【井上】 事情はわかりますが、それでもやっぱり頑張ってほしいです。
参加者
前列(左より)ジャパン・フードコーディネーター・スクール の石川圭さん、井上敏代さん、藤江洋子さん。
a後列(左より)アグライア CEO 高木鈴子さん、管理栄養士 長岡弓子さん、外食ドットビズ制作スタッフ・前城幸代、論説主幹・坂尻高志。
お客さまは身近にいる Part2 女性のお客さま、健康指向のお客さまの心をつかんでいますか?~ダイエットは節食から摂食の時代へ~