景気回復基調の中でも、円安や天候不順等の影響による食材価格の高止まり、人件費の上昇、低調な個人消費動向などと飲食業界を取り巻く経営環境は厳しさが続く。飲食企業においては、売上高の確保とともに、コストダウンによる収益向上が緊急の課題である。今回、「ザ・プロフェッショナル・キッチン・スタジオ(PKS)」を中心に飲食業向けエネルギーソリューションサービスを提案する中部電力株式会社の取り組みを4回に分けて見ていきたい。
多様化する消費者ニーズに応えるため、飲食企業が求めるニーズも益々多様化・高度化している。省エネ、省コストに加え、生産性の向上や売上の向上なども期待されるようになってきた。その一方で、2016年4月の電力小売自由化により、電力業界を取り巻く環境も大きく変貌すると想定される。その中で、中部電力は、総合エネルギーサービス企業として、多様化・高度化するユーザーニーズに対し、より付加価値の高いソリューションを提供していこうとしている。
店舗で使われる空調や照明、厨房機器などに対して、機器単体のみでなく、施設全体を総合的に評価できるのが同社の強みである。 これまでの「店舗の見える化」「省エネ対策の提案・評価」から「最適な衛生環境と省エネ」「作業効率と生産性向上」など、単にコスト削減だけでなく、お客さまに、より付加価値の高いソリューションの提案に取り組んでいく。
また、それに対する取り組みの一つとして、OFSCとのアライアンスも強化していく。同社はこれまでも厨房の電化を通じ、食品衛生や調理環境の改善に取り組んできた。例えば低輻射型厨房機器の温湿度抑制効果を活かした、高レベルな食品衛生環境改善やドライフロア化による清掃の簡易化。また、同時に食品衛生管理を高レベルでの維持を実現。更に、輻射熱を再評価し、効率的な空調換気運転の見直しで、快適で効率的な作業環境を提案してきた。これに、OESから得られる来店者情報に合わせた厨房機器の自動運転や、POSから得られる販売分析に合わせた食材管理などは更なる生産性の向上に繋がる。また、OESと連動した空調等のエネルギー管理や、OESの強みの一つである接客サービス時間の確保は、顧客満足度向上に繋がり、ひいては売上増にも結び付くことが期待できる。
OFSC標準接続規格を採用したIT機器や厨房機器は相互接続が簡単にできるようになる。中部電力が期待するのはまさにここである。ユーザーニーズが多様化・高度化する中、各機器メーカーの接続に互換性がなければ、十分な導入効果が得られないばかりか、今後の更なるオペレーション改善に向けたカスタマイズにも対応できず、飲食業界の発展の妨げになる恐れがある。その点、OFSC標準で、機器間の接続が担保されていれば、コストを最小限に抑えながら、ユーザーが求める最適なオペレーション改善が可能になる。
同社では、「 PKS plus 」で、厨房機器とPOS/OESの連動による食材管理・販売分析・自動運転などの利便性や、エネルギー効率などの効果を飲食業関係者にアピールすると共に、OFSC標準の拡大を支援する場とも位置付けていきたいと考えている。
厨房システムとPOS/OESシステムの融合は、今後の厨房設備運営改善の切り札といえる。両者を組み合わせることにより、衛生環境や効率化を維持しつつ、更なる省エネ・生産性向上・売上向上のためのソリューションの提供が可能となる。それと共に、現在、多くの飲食企業が重要課題と捉える雇用の確保、異物混入や食材管理の精度向上と効率化、QSCの実現に対する解決策の一つとなる。今後も、中部電力では、PKSを活用し、厨房をはじめとする飲食店舗全体や食品工場、セントラルキッチンなど、飲食産業の様々な課題解決に寄与できるサービスを提供いくとしている。
取材日:2015年8月11日
中部電力株式会社
本社所在地 愛知県名古屋市東区東新町1番地
代表者 代表取締役社長 勝野 哲
事業概要電気事業およびその附帯事業、ガス供給事業、蓄熱受託事業、分散型エネルギー事業、海外コンサルティング・投資事業、不動産管理事業、IT事業など事業概要
The Professional Kitchen Studio
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