料理の値段をお客様が決めるイベント型レストランが東京・赤坂に登場した。テーブルスタジオタキトークッキングスクール を運営する株式会社キッチンアンドテーブルが中心になって進めている「THE CHEF’S BANK 値決めレストラン」である。このレストランは単なるイベントではなく、シェフのための開業支援、転職支援、さらには開業前のファン顧客獲得という目的を持つ。今回はこの取り組みと実際に参加したリポートをお届けしたいと思う 。
9月17日(木)、港区赤坂のテーブルスタジオタキトーで開催された THE CHEF’S BANK イベントの第三回値決めレストランに参加した。
このイベントは、既報の通りであるが、今回は既に開業をすることが決まっているシェフによるものであるので、開業のためではなく、ファン層獲得のための創業支援イベントのようであった。
今回は、寺床雄一シェフであった。紹介文によると、『イタリアはカンパーニャ州、サルデーニャ州、ロンバルディア州、シシリア州、トスカーナ州、アブルッツォ州を中心にイタリア全土で約7年間修行し、イタリア料理の魅力を日本でも知ってもらいたいと考え帰国。今年の11月に東京・白金高輪でトラットリア業態をオープン予定』だそうである。
今回のテーマは、『イタリアの風』と題して、「本日入荷の食材を使用したクチーナ メディテッラーニア(カンパーニャ州、サルデーニャ島中心、南イタリアのメディテッラーニア料理)」であった。
まず、会場について説明したいと思う。
会場のテーブルスタジオタキトーはクッキングスクールで使用されているが、有名シェフを招いてのクッキングスクールという形態になっているため、調理場の上部には鏡があり、シェフの手元の模様がホール側からも見えるようになっている。また、ホールの各所に大型の画面を配置し、シェフの動きがよくわかるようになっている。
さて、メニューは画像の通りであるが、前菜が11種類もあり、非常に充実しているのが目を引く。
その後、パスタをはじめとした料理も非常に美味しくいただけたが、前菜のボリュームが半端なく多かったため、パスタを食べきったところでかなり満腹感を感じてしまった。
今回いただいた調理の数々は、画像をご覧になっていただきたいと思う。
食事が終わった後に、事前に配布されていた 「 アンケートのお願い&採点シート 」 への記入になる。
食前酒から始まり、前菜、パスタ、メイン、チーズ、デザートそして食後酒とそれぞれの評価を金額で書き込み最終的にはこれが、本日の料理の値段となる。採点シートと評価した金額に別途飲み物代の1,500円を黒い封筒に入れ、レジに持って行くことで完了する。
顧客が値段を決めるレストランというイベント性は確かに面白いが、それに加えて、シェフの開業支援や転職支援を組み合わせたシステムに仕上げている点が非常に興味深い。
特に、昨今の経済情勢下で開業資金を調達するのは至難の業であるので、調理の技術は確かだが自己資金がないためなかなか起業ができないシェフにとっては、ひとつの解決策になるであろう。
今後、このイベントを通じて開業を目指すシェフとそれを支援する投資家がうまくマッチングして新しい店ができていくことを期待したい。
最後に、私の採点は、・・・。
是非皆様が参加されて、採点していただきたいと思う。
文: 斎藤栄紀