地域に密着した飲食店の現状 新宿駅に根を張り、常連客の枝を拡げる~Beer & Cafe BERG~

地域に密着した飲食店の現状 新宿駅に根を張り、常連客の枝を拡げる Beer & Cafe BERG

新宿駅東口改札のほど近くに小さなカフェがある。実質15坪ほどのスモールな店舗であるが、年商が約2億円というビッグな飲食店である。新宿で創業40年を迎えた同店の店舗運営の考え方などを副店長の迫川尚子氏に話を伺った。

第2回 呼び込みによる集客の継続-好立地でも集客の手は緩めない

第2回 呼び込みによる集客の継続 -好立地でも集客の手は緩めない

地域に密着した飲食店の現状 新宿駅に根を張り、常連客の枝を拡げる~Beer & Cafe BERG-新宿で飲食店を経営していく上で注力されていることをお教え下さい。

BERGにとっては、新宿イコール新宿駅で、駅というのが重要なポイントだと思っています。お客様の中にはBERGは “ エキナカ ” にあると思っている方が多くいらっしゃいますし(笑)。新宿駅というのは、繁華街だけではなく、都庁などオフィス街も兼ね備えています。更には 様々な方面からの玄関口でもあります。それだけに職業も、年齢も、お国柄さえも幅広く色々な方が行き来されています。この場所で営業するというのは、このような様々な方々に対応ができ、ご満足をいただける店づくりをする必要があるという事です。

「大麦と牛肉の野菜スープ」と「五穀米と十種野菜カレー」BERGの特徴の一つとして常連さんが多いことが上げられます。本来この立地だと常連さんと一見さんは5分5分位のはずですけれど、常連さんが7割を占めています。しかもこの常連さんの中には、毎朝来られたり、毎晩来られたり、朝昼晩と来られたりする方々が少なくありません。そうすると料理も毎日食べても飽きない美味しさが求められます。これが職人さんネットワークによる美味しい食材の調達にも繋がるのですが、それに加えて手間隙がかかっても手作りの美味しい料理をご提供する必要があります。そのために、カレーを毎日煮込んで出したり、ヘルシーで飽きないスープを作ったりしています。

熟練者による3度注ぎを徹底ドリンクに関してもそうです。コーヒーに対するこだわりは述べましたが、ビールに関してもこだわりを持っています。ビールの味を決めるのは、ビール本来の美味しさはもちろんですが、サーバーやグラスの洗浄というお客様の目に見えない日々の努力が重要なのです。サーバーに関して言えば、メーカーさんが推奨されている以上に時間をかけて洗浄しています。もう一つが、注ぎ方です。当店では昔から3度注ぎでビールをお出ししています。そうすると非常にまろやかで飲みやすくなるのです。これができるのが熟練したベテランなんですね。常連さんになると同じ3度注ぎでも 「 君は新人だね 」 と分かってしまうのです(笑)。ですから当店では専門のビヤテイスターを置いて指導に当たらせています。

地域に密着した飲食店の現状 新宿駅に根を張り、常連客の枝を拡げる~Beer & Cafe BERG-とても立地が良いので、集客は楽ですよね?

ベルク通信ほぼエキナカの立地という面では確かに良いのですが、JRと地下鉄丸の内線の乗換えに使われる通路なので、お客様は、気がつかずに通り過ぎられてしまうのです。ですから、最初の1年間はがらがらでした。今からは想像もできないくらいがらがらで、私は暇なのでずーっとテーブルを拭いていたほどでした(笑)。で、ある時店長が突然、店前に立って呼び込みを始めたんです。そうすると流れが変るんですね。その時にはお入りにならなくても、後日、来店して頂けるお客様も出てきました。呼び込みの重要性を再認識しましたので、今でも呼び込みは続けています。一度入ってもらえたら、ご満足頂ける自信がありますので。後は、BERG通信という毎月1日に発刊する定期誌も作りました。会話だけでなく、お客様とコミュニケーションを取る事も重要だと考えています。お客様に忘れられないようにする努力も怠ってはいけないと考えています。



BEER&CAFE BERG(ベルク)

BEER & CAFE BERG(ベルク)

http://berg.jp/

運営 晴山(せいざん)商事株式会社

代表 代表取締役 井野朋也氏

所在地 東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエストB1

取材協力 取締役 副店長 迫川尚子氏

BEER&CAFE BERG(ベルク)

迫川尚子氏プロフィール

調理師。きき酒師。写真家
女子美術短期大学卒業。現代写真研究所卒業。
写真集に「日計り」。著書に「食の職」。共著に「新宿駅最後の小さなお店ベルク」

迫川尚子フォトムービー・サイト「写真とベルクの間で」 http://berg.s1.bindsite.jp/

文:齋藤栄紀  店舗・料理写真:酒美保夫
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