いままで外食ドットビズでは、アメリカの外食店舗に関する情報はお伝えしてきましたが、その他の国々については触れていませんでした。昨年末を中心に偶然にも当サイトのメンバー3人が、中国・韓国・台湾へプライベートで渡航する機会を得たので、一旅行者としての視点で各国の情報を座談会形式にてお届けいたします。
参加者は、論説主幹である坂尻高志、当サイトを運営する株式会社フォアサイトの酒美保夫、コンテンツ制作を努める有限会社ノーデックス福本龍太郎で、編集長の齋藤栄紀が司会を務めます。なお、コメント内容については、旅行者としての個人的な感想を含んでいることを予めご了承ください。
齋藤● 台湾で印象に残った食文化は何かありましたか?
福本● 小皿料理に代表されるかもしれないですが、ちょっと入ってさっと食べて出ていくスタイルが定着していました。
坂尻● 台湾は、食事をしながらアルコールを飲む傾向がないんですよ。夜でもソフトドリンクを飲みながら食事をしている。だから、日本の居酒屋チェーンが台湾に進出しようと考えるなら本当に気を付けなければいけない。日本みたいな感覚でいくと痛い目に遭うでしょうね。台湾は滞在時間が短くて、日本の企業では「大戸屋」が当たっているらしい。
福本● それから、台湾では、ほとんどの人が毎日のように外食をしているそうです。現地の人がいうには、家で作るより安いからという理由みたいです。
坂尻● 数字的に裏付けると、台湾では、朝の外食比率が 8 割、昼で 7 割、夜が 9 割といわれている。
酒美● 日本は中食を含めた外食依存率が40%台ですから、純粋に外食をしている割合を考えると30%台でしょう。アジア各国と比べると圧倒的に低いんです。中国の場合は共稼ぎが多いことが、外食率の高さにつながっているらしいです。
齋藤● 共稼ぎは日本でも増えていますから、外食率が上がる傾向は日本が追いかけることになるのでしょうか?
坂尻● そうでしょうね。日本は共稼ぎが多いのに、家庭でちゃんと作っている人たちがいる。中国や台湾では、女性が料理を作れなくなっているといわれているんです。子供の頃に、集中的に相当な教育を詰め込んだ副産物かもしれない。その人たちが共稼ぎする世代になって、料理を作る文化が薄くなっている。日本もその傾向は見えはじめている。
福本● 料理は女性がするものという考えもなくなりつつありますね。
坂尻● 現在の日本の結婚適齢期の女性も外食で育っていますから、必ず外食率が高まる傾向はやってきます。現代の子どもたちが社会に出て家庭を持つようになってきたときに、 40 %台のままでいるかといわれれば絶対に違うと思います。 7 ~ 8 割が外食という社会になるかもしれないですから、マーケットとしては大きなチャンスを秘めているでしょうね。
酒美● でも、日本の女性って優しいから、ご飯を作ってくれるんですよね(笑)。うちの女房もそうですが、外食することに対して、家事の手を抜いている、ぜいたくをしているという後ろめたさが日本人の底流にある。アジア各国ではそれがあまりない。外食するには、何らかのエクスキューズがいるんですよ。例えば、何か用事があって作れなかったら外食にしようとか。
福本● 「おふくろの味」というものに憧れや幻想が強いこともありますね。
齋藤● 日本も外食比率アップに向けて、日本の食文化が変わろうとしているのであれば、比率の高さで先行する 3 カ国に学ぶところは多いかもしれないですね。
参加者