今年の1月、この春、亜細亜大学に新設されたホスピタリティ・マネジメント学科の記事を掲載させていただいた。新規開講後前期が終わろうとしていた本学科の状況をあらためて確認させていただいた。学生のフードサービスビジネスへの興味の度合いなど、前回もご協力いただいた大島正克経営学部長とともに、信州大学から新任で来られた茂木信太郎教授にもお話をお伺いした。
「四年間一貫教育」 「少人数指導」 「理論実務融合教育」 といった特色を持ち、ホスピタリティ産業界という明確なターゲットを目指した教育を始めたホスピタリティ・マネジメント学科。
まだ、創設して半年もたたないが、外食産業界にとっては卒業生が早く出てくることが待ち遠しい思いである。
気が早い気もするが、どの様な卒業生が出てくるのかお伺いした。
【 大島学部長 】 ホスピタリティ産業界にとって即戦力となる人材を数多く卒業させたいと考えています。そのためには、ホスピタリティマインドとともにマネジメント能力、コミュニケーション能力を兼ね備えることができる教育が必要となります。
今の学生が社会人になった時には、その会社の幹部候補生として活躍してもらいたいと考えています。そのために必要なマネジメント能力は、人事的な能力と計数的な能力となります。計数的な能力を養う教育としては、先の弥生式簿記の他に、具体的な企業をイメージした会計学を行っていきます。例えば、帝国ホテルなど実在企業の財務諸表を用いたり、同業種、例えばJALとANAの比較をしてみたりします。その次には、経営戦略まで踏み込んでいきます。例えば、自分がコーヒーショップを経営した場合のシミュレーションを行い、何杯目から利益ができるか、どのくらいの客数から利益が出るかなど損益分岐点をつかめるようなことをやって行きます。
【 茂木教授 】 1学年で100人ということは、10年間で1,000人もの人材が輩出されるということです。もちろん全員がホスピタリティ産業界に行くとは限りませんが、周辺業界を含めるとかなり多くの人材を送り出すことができます。
話は違いますが、世の中にホスピタリティに関わる本が多く出ていますが、実は他の業界、例えば自動車メーカーなどの製造業の社員教育などに使われる方が多いようです。つまり、ホスピタリティという資質の育成が日本の経済・社会の底支えをしていると認識しています。このことからもたとえ、他の業界に就職したとしても充分やっていける人材を出すことができると思います。
さて、私の専門であるフードサービスビジネスですが、現段階では何人の学生が行くかわかりませんが、食品メーカー、厨房機器メーカーやIT系の会社など周辺業界を含めると結構多くの人材を出すことができると思います。それ以外にもフードコーディネーターやフードライターのような人が出てくるのではないかと思っています。特にフードライターは、飲食ビジネスを社会的に認知してもらうためには欠かせないパートナーですよね。中長期的にみるとフードサービスビジネスを支えていく人材も多くでてくるのではないでしょうか。
あと、今年の1年生の中には飲食店を起業したいと言っている学生もいます。今までの起業家の多くは、大手チェーン店をスピンアウトしていく人が多かったですよね。これからは大学で理論と実務を学んでお店を立ち上げる人も出てくるでしょう。成熟マーケットで革新的な動きを取れるのはこの様な人たちではないでしょうか。
いずれにしても、フードサービスビジネスの業界に役立つ人材教育にどれだけ関与できるのか、関与できればこの業界のためになるに違いないと思っています。
今年の初頭に引き続き、外食産業に特化した 「 フードサービスビジネスコース 」 という学問領域を創設した亜細亜大学のホスピタリティ・マネジメント学科について掲載させていただいた。
少子高齢化の時代を迎え、人材不足が現実化している外食産業界にとって、この学科の誕生は喜ばしいことであろう。
まだ、学科の創設から半年もたたないため、先生方も試行錯誤しているようすが感じられたが、4年後には、この業界にとって有用な人材が輩出されるのは間違いないであろう。
今後も、可能であれば本学科について取材を続けて行きたいと思う。
亜細亜大学
1941年 財団法人興亜協会(現学校法人・亜細亜学園)として、興亜専門学校を設立
1945年 日本経済専門学校と改称
1950年 学制改革に伴い日本経済短期大学に改組
1955年 亜細亜大学設立
一芸入試をはじめ、語学留学プログラム、スチューデントカンパニー・プログラムなど独創的な入試制度や教育プログラムを積極的に実施している。また、校名通り、アジアを中心とした国際教育に注力をしており、多くの留学生を受け入れる一方、世界各地域に多くの人材も輩出している。アジア、そして世界を舞台に活躍し、日本と世界との架け橋となる人材を育てている。