今年の1月、この春、亜細亜大学に新設されたホスピタリティ・マネジメント学科の記事を掲載させていただいた。新規開講後前期が終わろうとしていた本学科の状況をあらためて確認させていただいた。学生のフードサービスビジネスへの興味の度合いなど、前回もご協力いただいた大島正克経営学部長とともに、信州大学から新任で来られた茂木信太郎教授にもお話をお伺いした。
茂木教授によると大学教育は、大きく分けて人文科学領域と社会科学領域からなり、従前の観光やホスピタリティを冠した学部・学科などは前者に属するという。しかし、大学教育とビジネスを直結するためには、マネジメント分野が必須となり、それを実現するには社会科学領域に踏み込んでいく必要があるという。
更に、ホスピタリティ産業を担う、人材育成のためには、従来型の大学教育である理論型だけでは不十分である。
では、ホスピタリティ・マネジメント学科における実務型教育とはどの様なものかみてみたい。
【 大島学部長 】 一つは、(第1回で紹介した)弥生式簿記が実務に直結します。前期の授業では、「ホスピタリティ・マネジメント概論」という授業があります。これは、学科の先生方が、毎回オムニバス形式で講義をするもので、私もホスピタリティを学ぶ上で会計学が具体的にどの様な必要性があるのかという観点から「ホスピタリティと会計学」というテーマで授業を行いました。後期には清水均先生の「フードサービス実務論」があり、茂木先生の「フードサービス概論」と併せてなかなか豪華なキャスティングになっています(笑)。
【 茂木教授 】 面白い科目としては、研修科目というのがあります。これも必修科目なのですが、教室だけではなく、学外に連れ出す。そういう授業です。インターンシップという制度はご存知だと思いますが、ホスピタリティ・マネジメント学科では、1年次に研修1、2年次に研修2を行い、3年次にインターンシップを行います。
研修1は今年初めてですが、事前研修、実地研修、事後研修の3部構成で行います。
今回の研修の狙いは、
ことになりますので、事前研修では、
といった実地研修のための基礎知識と実地研修の意義をキャリアセンターの協力を得て行います。
実地研修では、
これは、株式会社久世様の協力で午前中は横浜のディストリビューションセンター、午後は本社で行われる食材提案会に参加させていただきます。
これは、実際に北戸田にあるセントラルキッチンを訪問して、午前中は工場見学、午後は食品衛生の専門家による講演を聞きます。
これは、都内の料亭を訪問します。ここでは、フードサービスは食事だけではなく、建物・庭・調度品・食器などといった食環境が大事だということを学ばせたいと思っています。見るだけでははく実際に女将から講釈してもらいます。ついでに食事も出してもらえればいいのですが(笑)。
最後は、東京ガスのタスク新宿に行きます。ここでは、家庭用と業務用の厨房の違いや、業界がどのようなイノベーションをやっているのか学ばせたいと思っています。その後にはモデルキッチンでフランス料理アカデミーのシェフの説明とデモ、学生にも調理の実演してもらいます。後半では、パークハイアットのレストランの厨房を見学してそれまでの学習とつき合わせます。
最後に、事後研修ですが、研修成果を纏め、レポートを作成して提出してもらいます。このレポートを基に議論し、研修成果を集約して、更にレポートの完成度を高めていくようにします。
亜細亜大学
1941年 財団法人興亜協会(現学校法人・亜細亜学園)として、興亜専門学校を設立
1945年 日本経済専門学校と改称
1950年 学制改革に伴い日本経済短期大学に改組
1955年 亜細亜大学設立
一芸入試をはじめ、語学留学プログラム、スチューデントカンパニー・プログラムなど独創的な入試制度や教育プログラムを積極的に実施している。また、校名通り、アジアを中心とした国際教育に注力をしており、多くの留学生を受け入れる一方、世界各地域に多くの人材も輩出している。アジア、そして世界を舞台に活躍し、日本と世界との架け橋となる人材を育てている。