今年の1月、この春、亜細亜大学に新設されたホスピタリティ・マネジメント学科の記事を掲載させていただいた。新規開講後前期が終わろうとしていた本学科の状況をあらためて確認させていただいた。学生のフードサービスビジネスへの興味の度合いなど、前回もご協力いただいた大島正克経営学部長とともに、信州大学から新任で来られた茂木信太郎教授にもお話をお伺いした。
年初の特集にも記述したが、ホスピタリティ・マネジメント学科の教育の特色をあらためてみてみたい。
ホスピタリティ産業を担う、次代の人材育成のためには、進路に則した少人数による四年一貫指導と理論実務融合型教育は、非常に有効な教育手段であろう。また、日本国内の市場が伸び悩む中、大手外食企業の目は海外に向くことになる。特に距離の近さや人口の多さからアジア、具体的には中国、シンガポールがそのターゲットになっていくであろう。そのために中国語や英語でのコミュニケーションができる人材の輩出は、外食企業にとって願ったり叶ったりであろう。
次に、1年次のオリエンテーションゼミについて具体的に伺った。
【 茂木教授 】 私のゼミには、17名の学生が登録しています。専門ゼミではないので、全ての学生がフードビジネス指向という訳ではなく、ホテルやトラベル志望もいます。私が地方大学にいたせいもありますが、みんな明るくて、フレンドリーな資質を持った学生です。高校時代に世界一周をしたり、吉祥寺のフリマで手作り商品を売ったり、中には女性誌のグラビアを飾ったりと色々なキャラクターを持った学生が集まっています。女子学生12名に対して男子学生が5名と圧倒的に女性のほうが多いゼミです。
授業では、課題書を使って、論評を行う形式を取っています。使用している課題書は、“ ホワイトハウスの職人たち ”(新潮新書:マイケル・ユー著) と “ 伝説のホテルマン「おもてなし」の極意 (アスキー新書:加藤健二著)の2冊を使っています。
前期中にこの本を読んで、書評を書いてもらいます。特長的なのは、学生の書評をオープンにして、学生間で論評してランキング付けを行うことです。この利点は、書評を共有化することにより、情報量が豊富化される点と、友人同士で批評するとなると書き手が手を抜けなくなることにあります。先生向けのレポートというのは間に合わせで作ったり、結構いい加減に作ったりしますからね(笑)。
私の目から見ても書評はよく書かれていると思います。書評のタイトルも秀逸なものがありますし、優秀な1年生が揃っているなと思います。
ホスピタリティ産業に関係する皆さんにもこの2冊の本は、お読みいただきたいのですが、概要を紹介します。
“ ホワイトハウスの職人たち ”
ホワイトハウスは、行政だけではなく、迎賓館的な役割を担っています。そうなると “ おもてなし ” が必要になってくる。この本は、ホワイトハウスの “ おもてなし ” を支える職人のうち6人が登場しています。その中の1人が、“ 大統領の料理人 ” の著者でも知られる、ウォルター・シャイブ シェフです。実は長年、伝統的にホワイトハウスで国賓をおもてなしするときの料理はフレンチが基本だったのです。当時ファーストレディだったヒラリー・クリントンは、料理には外交上のメッセージがこめられていると考え、フレンチからアメリカン・キュイジーヌに替えたのですが、その時料理長だったのがウォルター・シャイブです。
“ 伝説のホテルマン 「 おもてなし 」 の極意 ”
キャピタル東急ホテルのエグゼクティブ・コンセルジェを長年勤め上げた方の本で、前身の東京ヒルトン時代から学び取ったホテルマンとしての心得がかかれた本です。大げさな言い方になるかもしれませんが、東京ヒルトンで育った方々が、その後日本のホテル産業を支えたといっても過言ではないと思います。俗にヒルトン学校という風に言われていますが、現ホテル協会の会長、中村裕さんもここのご出身です。
ちなみに、東京ヒルトンが建つ前は、星が丘茶寮という料亭でした。この料亭を作った北大路魯山人は、漫画 「 美味しんぼ 」 の主人公・山岡士郎の父海原雄山のモデルといわれている方です(笑)。
亜細亜大学
1941年 財団法人興亜協会(現学校法人・亜細亜学園)として、興亜専門学校を設立
1945年 日本経済専門学校と改称
1950年 学制改革に伴い日本経済短期大学に改組
1955年 亜細亜大学設立
一芸入試をはじめ、語学留学プログラム、スチューデントカンパニー・プログラムなど独創的な入試制度や教育プログラムを積極的に実施している。また、校名通り、アジアを中心とした国際教育に注力をしており、多くの留学生を受け入れる一方、世界各地域に多くの人材も輩出している。アジア、そして世界を舞台に活躍し、日本と世界との架け橋となる人材を育てている。