亜細亜大学では、2009年度から経営学部にホスピタリティ・マネジメント学科を新設する。ホテルやトラベルビジネスなど、いわゆるホテル観光学としてホスピタリティ領域を研究する大学はこれまでにもあったが、外食産業に特化した「フードサービスビジネスコース」が設けられているのが大きな特徴だ。フードサービスにおけるホスピタリティの重要性が叫ばれるなか、いかなるスキルとマインドを持った人材が育まれようとしているのかに注目が集まっている。
亜細亜大学で来春スタートするホスピタリティ・マネジメント学科の定員は、1学年90名。ホテルビジネス、フードサービスビジネス、トラベルビジネス、航空や鉄道などのパッセンジャーサービスビジネス、スポーツクラブをはじめとするメンバーシップクラブビジネスの5コースがあり、1年生のうちにいずれかを選択するようになっている。まず、1年次の前期ではホスピタリティ概論として、ホスピタリティビジネスの仕事やマインドなどすべてのメニューを学生に見せる。後期に3つ程度に絞り、2年生になるときにコースを決定する。
フードサービスビジネスの履修モデルは次の通り。
ホスピタリティマネジメント概論、ホスピタリティサービス研修、フードサービスマネジメント論、フードサービス実務論、フードサービス研修Ⅰ、ビジネス入門、簿記原理、会計学、企業と市場、オリエンテーションゼミナール、FE・英語等全学共通科目等
ホスピタリティ基礎演習、フードサービス研修Ⅱ、マネジメントゲーム、フード文化論、ホスピタリティ特講(フードサービス)、経営学、財務会計論、マネジリアルマーケティング論、総合英語・中国語コミュニケーション等全学共通科目等
ホスピタリティ応用演習、フードサービスインターンシップ、ワインサービス論、経営システム論、サービスマーケティング論、消費者行動論、英語コミュニケーション等全学共通科目等
ホスピタリティ総合演習、組織文化論、環境会計論、新製品管理論、手話入門・ボランティア論等全学共通科目等
同学科の専任教授として、外食産業研究の第一人者である茂木信太郎氏(現・信州大学経営大学院教授)が着任する。茂木教授ら専任教授は2年次から始まる演習科目を担当、2年から4年まで同じ学生を一貫指導していく体制になっている。学生にしてみれば、2年次からゼミに入って専門的な研究をするイメージである。また、非常勤講師による「ワインサービス論」など、実務的な講義も多数用意される。
カリキュラム的には、理論と実務を講義で学んでから現場へ研修に行くということを繰り返すようなイメージだ。フード業界の研修は、「明治記念館」や「マキシム・ド・パリ」が例年の提携先となっている。研修内容はさまざまで、提携先のメニュー開発をコンペ方式で行い、その順位がそのまま成績に反映されるといったものもあるとのこと。「一流の人材を養成するために、実務も研修も一流のところにお願いしております。現行の実務講義では、京王プラザホテルから講師を招いて、ケーキやフルーツなどの料理実習をしています。切り方や盛り付けなど美的な実習だけではなく、原価まで考えた実務的な内容にしています。どれが高い果物かを知っておかないと、フルーツ盛りも作れませんよね。いま作っているメニューが採算を取れるかどうか考えながら料理するのが経営学部の実務の講義となるのです」(大島正克経営学部長)
亜細亜大学
1941年 財団法人興亜協会(現学校法人・亜細亜学園)として、興亜専門学校を設立
1945年 日本経済専門学校と改称
1950年 学制改革に伴い日本経済短期大学に改組
1955年 亜細亜大学創立
一芸入試をはじめ、語学留学プログラム、スチューデントカンパニー・プログラムなど独創的な入試制度や教育プログラムを積極的に実施している。また、校名通り、アジアを中心とした国際教育に注力をしており、多くの留学生を受け入れる一方、世界各地域に多くの人材も輩出している。アジア、そして世界を舞台に活躍し、日本と世界との架け橋となる人材を育てている。
文: 貝田知明