ある食材にダイエット効果があるとテレビが伝えれば、翌日にはその食材が店頭から消えてしまうほど、現代社会は“健康志向”へと向かっています。外食産業においても、この消費者行動を看過することはできませんが、どのように実践すればよいのでしょうか。インターネットを通じてダイエットプログラムを提供する「eBalanceDiet」の運営や外食店舗向け健康メニューのプロデュースを手がける、株式会社アグライアCEOの高木鈴子氏にお話を伺いました。
私どもの「eBalanceDiet」では、「ウェイトロス・ダイエット(減量)」「コントロール・ダイエット(体重維持)」、「アンチエイジング・インナーケア(美肌など美容)」「アンチエイジング・バイタライジング(活力アップ)」という4種類のプログラムがあり、管理栄養士が開発した食事プログラムを提供しています。食事プログラムの提供の他に、体重・体脂肪をグラフで管理したり、食べた食事の写真を登録できる管理ツールも提供しています。携帯サイトも連動しており、急な外食になったときでもプログラムに準じたメニューを選ぶことができるようになっています。例えば、昼食におそばを食べたら、帰りにヨーグルトを買ってみるといったプラスαをするだけで、こういう風に栄養バランスが整いますというアドバイスもさせていただきます。専門家に質問したいという方には、管理栄養士のカウンセリングを受けられるコースも設けています。利用者の中には、外食で食べた物を撮影して、栄養士に確認を取るという使い方をしている方もいます。
健康的な食事提案と言う事で、外食店とタイアップしたメニュー提供も行っています。コンサルティングといった一方的なものではなく、あくまで先方と一緒に考えるというものです。例えば、アンチエイジングなどのテーマでメニューを作りたいという外食企業さんがあれば、メニューを作っていただいて、それを目的に合った形に調整していくという流れ。それぞれのお店に個性がありますから、はじめにシェフや料理長にメニューを考えてもらうようにしています。当社の栄養士たちは、病院などでの勤務経験もありますので仕入れなどにも詳しいです。今だったら春野菜が安いから、この食材を変えるだけでコストはそのままで栄養バランスを整えて、カロリーも抑えられますよ、などといったアドバイスができるのです。
昨年 11月には、浦安市舞浜のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルのチャイニーズレストランで、“カラダに優しい”をテーマにしたランチメニューをタイアップで提供させていただきました。カロリーは550kcal以内に抑えて、風邪の予防、女性客向けの美肌アンチエイジング、善玉菌を増やす腸内環境向上メニューなどをテーマにしました。3ヶ月間の期間限定でしたが、客数は増える傾向にあり、アンケートでもほとんどの方から好意的な評価をいただくことができました。ダイエットやアンチエイジングという大きなジャンル概念ではなく、美肌や冷え性向けというように、ピンポイントの客層を狙うメニューづくりが良かったのではないかと思います。健康というテーマがあると、外食で店を選ぶときの意識も変わってくると思うんです。「今日はフレンチにしよう」といった意識と同じように、「健康的なメニューがあるからあそこにしよう」という感覚でお店選びができる事が理想的ですね。健康的なものを食べたいというのは、日々の行為の延長で継続的なものですから、リピーターも増えるのではないでしょうか。そういう意識の人は近年明らかに増えてきていると思います。
高木鈴子
国内航空会社及びイギリス・ヴァージン アトランティック航空等に勤務の後、ダイエット食品販売のサニーヘルス株式会社へ。目に見えないものを扱うサービス業の経歴とダイエットや健康の知識をもとに、2006年3月にダイエットプログラム提供サイト「eBalanceDiet」を事業の柱とする株式会社アグライアを立ち上げる。個人向けの食事プログラムのほか、外食企業に向けた健康メニューのプロデュースも数多く手がけている。