ある食材にダイエット効果があるとテレビが伝えれば、翌日にはその食材が店頭から消えてしまうほど、現代社会は“健康志向”へと向かっています。外食産業においても、この消費者行動を看過することはできませんが、どのように実践すればよいのでしょうか。インターネットを通じてダイエットプログラムを提供する「eBalanceDiet」の運営や外食店舗向け健康メニューのプロデュースを手がける、株式会社アグライアCEOの高木鈴子氏にお話を伺いました。
まず、ダイエットは「減量する」という意味ではないということを皆さんに知っていただきたいです。ギリシャ語の「DIAETA」・ラテン語の「DIAITA」が語源で、“健康になる”という意味なのです。食べ過ぎても食べなくても体に悪影響が出るし、食べる内容が悪くても不健康になります。適切な量と内容で食事を摂ることがダイエットです。言い換えれば、“いい食事を摂り続け、健康を管理できる知的なライフスタイル”をダイエットというのです。ダイエットをされた方というのは、現象として痩せることもありますが、皆さんすごく健康になられています。今まで体の調子が悪くてできなかったことができるようになったり、アレルギーなどが改善されたりと健康になることに大きな意義があります。
その基本になるのが食事です。食事を変えるだけで体調が変わってきます。今は、アンチエイジングが流行しており、専用の化粧品などもありますが、もちろん外側からやるもので効果的なものもあるのですが、それは一時的なものかもしれません。本当のアンチエイジングには、日々の食事も重要なのです。また、栄養素をきちんと豊富に摂って体調がよくなると、精神状態が安定したり、気力低下防止などにもつながることがあります。気力・体調の維持にも、食事部分が大きく影響することがあるといえます。現代病のひとつである糖尿病は、 1960年代に3万人だったのが、今年700万人にも上っており、2010年には1000万人になるといわれています。糖尿は、肥満や生活習慣が原因のひとつですから、少し普段の食事に気をつけるだけでも、十分一次予防につながります。これだけ爆発的に増えたのは、日本人の食生活が乱れてきたのが要因といえるかもしれません。中国人ってすごいなと思いますが、「医食同源」という言葉に集約されているのです。
病気になったらもう遅い、いかに予防が大切かに気付いているんです。
病気になる前の健康管理が一番重要なのです。
食生活が乱れたのは、自分でコントロールできなくなってきているのだと思います。適正な食事量や内容がわかっていない。食の欧米化も影響しているかもしれませんが、バランスを考えるとお肉も必要です。高度成長期になってから、生活スタイルが大きく変わって、家族で食卓を囲んだり、今日の食事は何にしようと一生懸命考えることもなくなって、食事が二の次になってしまった。二の次でもいいのですが、ちょっとだけ気を配るようにすればいいのです。実行しやすいものとしては、3食きちんとたべること。欠食は絶対にダメです。あとはバランスを考えること。例えば、朝は忙しくてヨーグルトなど乳製品しか食べなかったとしたら、昼は野菜を多めに摂るようにするだけでもいい。私どものサイトは、どんな食事を摂ればいいのか見ているだけで勉強になるという側面があって、決してストイックに痩せろと言うものではないのです。私自身、いわゆるジャンクフードは大好きで、それをすべてカットしなさいといわれたら、 それ自体がストレスとなってしまい、私にとっては、かえってカラダに悪いでしょうね。我慢を強いると反動で食べてしまうとわかっていますから、ジャンクなものを食べたら、その分動いたり、次の食事の栄養バランスとカロリーを考えながら食事を摂って、数日のうちにリカバリーしちゃいます(笑)こんなちょっとの食事・運動の気遣いが、日々の健康へのちのち大きく影響してくるものだと、つくづく感じている今日この頃です。
高木鈴子
国内航空会社及びイギリス・ヴァージン アトランティック航空等に勤務の後、ダイエット食品販売のサニーヘルス株式会社へ。目に見えないものを扱うサービス業の経歴とダイエットや健康の知識をもとに、2006年3月にダイエットプログラム提供サイト「eBalanceDiet」を事業の柱とする株式会社アグライアを立ち上げる。個人向けの食事プログラムのほか、外食企業に向けた健康メニューのプロデュースも数多く手がけている。