厳しい経営環境にさらされている外食産業で、“店舗運営をより良い方向に導く羅針盤(コンパス)”というコンセプトで開発されたPOSパッケージソフトウェアが、東芝テック の「FScompass(エフエスコンパス)」である。新GUI(グラフィカルユーザインターフェイス)の採用によるレジオペレーションの改善、新プラットフォームの採用によるクラウド環境への対応、シームレスで統一されたマスタ管理運用をはじめ新機軸となる機能を搭載。効率化や人材育成、消費者ニーズへの対応など今後の外食店に求められる、さまざまな課題解決へ指針を示す製品として期待されている。今回は、開発陣自ら「エフエスコンパス」の特長とその革新性を語っていただき、POS製品のトップシェアを誇る東芝テックの開発姿勢に迫ってみたい。
- 設定メンテナンス機能や教育での活用は、どちらかというとオペレーションの裏側の機能ですが、表側の業務に関して新しいポイントはどこでしょうか?
【 牧山 】 前述した 「 スライドインヘルプ 」 などは、接客中にも使える機能です。ユニークなところは 「 お釣りちょっきりボタン 」 というものがあります。支払い時に、小銭が少なくなるような出し方をされるケースがありますよね。410円の代金に510円や1010円で払うという場合ですが、それをPOSが予測して予めボタンとして表示してくれるのです。
【 野沢 】 こういう種類で出されるであろうという組み合わせをアルゴリズムで想定して、ボタンひとつで対応できるようになるのです。
【 野沢 】 最近は、外国の方の雇用が増えていますが、言葉の問題などもあって、レジは担当させられないという声はよく聞かれます。また、チェーン店などは海外進出に備えて、日本で外国人レジ係を育成するということもあります。ただ、言葉を話すのと比べて字を覚えるのは難しいですから、「 エフエスコンパス 」 は多言語対応しています。現状では、日本語、英語、中国語表示に切り替えられます。
【 牧山 】 細かいところでは、ボタンの上に数字を表示する機能も便利ですよ。同じ商品が2つ注文されたら、そのメニューボタンの上に 「 2 」 という数字が表示されるわけです。これまでは、どれだけ注文されたかを確認するには商品リストを見なければいけませんでしたが、ボタン上に数字が現れるので一目で分かるのです。
【 野沢 】 POSは、画面だけで完結するものではなくレシートなど紙への印字も必要な工程です。そこでよく発生するのは、中止や取り消しなど1度登録したものを破棄した際のレシートの問題です。今までは通常のレシートと同様に印字していたために、大量に溜まったレシートの中から取り消しレシートを探し出すのが、辛い作業になっていました。今回は、取り消しレシートには、取り消しだと分かるようなスタンプを押したイメージで出力するので、後ですぐに探し出せます。
【 三部 】 従来技術の活用は、音声にもあります。いろいろな音が登録されていて、選択できるようになっています。単純な入力ミスの時は “ ピンポン ”、本当にシステム的な以上があったらエラー音や警告音が出るといった工夫をしています。いろいろな音を用意したのは、店舗にとって場違いな音が鳴らないようにするためです。高級で静かなレストランにそぐわないエラー音が鳴り響いたら、雰囲気を壊してしまいますからね。
【 牧山 】 POSレジですから、時間帯によって売上点検といった作業があったり、自動釣銭機がつながっていれば釣銭を数えて確認したりといった業務もあります。その業務の内容は、お客さまによって、店舗によって違いがあります。より操作性や効率を向上させるために、よく使う業務だけを 「 マイメニュー 」 として登録できる機能もあります。お店での操作で、ドラック&ドロップで登録してもらうことができます。
- 店長と従業員で別のマイメニュー登録ができるのですか?
【 三部 】 それは、従来から搭載している権限登録で差異を付けることができます。清算は店長のメニューしか出ないとか、パスワードを入れないと操作できないという機能です。
【 牧山 】 ただ、店長以外触ってはいけないボタンが画面に出ていること自体、システム的に問題があるとも言えるわけです。表示されている以上、間違えて押す可能性があります。「 エフエスコンパス 」 は、それを防ぐために、マイメニューに登録したボタンしか出てこないようにできるわけです。触ってはいけないボタンが出てきませんから誤操作防止につながるはずです。