厳しい経営環境にさらされている外食産業で、“店舗運営をより良い方向に導く羅針盤(コンパス)”というコンセプトで開発されたPOSパッケージソフトウェアが、東芝テック の「FScompass(エフエスコンパス)」である。新GUI(グラフィカルユーザインターフェイス)の採用によるレジオペレーションの改善、新プラットフォームの採用によるクラウド環境への対応、シームレスで統一されたマスタ管理運用をはじめ新機軸となる機能を搭載。効率化や人材育成、消費者ニーズへの対応など今後の外食店に求められる、さまざまな課題解決へ指針を示す製品として期待されている。今回は、開発陣自ら「エフエスコンパス」の特長とその革新性を語っていただき、POS製品のトップシェアを誇る東芝テックの開発姿勢に迫ってみたい。
- クラウドで動くならば、店舗ではいろいろな使い方ができそうですね。
【 牧山 】 その通りで、この機能を横展開してスタッフ教育に役立ててもらおうと考えています。飲食店でハンディターミナルを使う、POSを使うというときは、「 何がどこに割り当てられているのか 」 を覚えないとオペレーションになりません。現状、どのように覚えているかというと、OJTやOFF-JTで実機を使って学んでいました。覚えきれていないと接客時にまごついて苦痛に感じたり、来店したお客さまから見てオペレーションができていない、接客が悪いという印象になったりします。それを改善する意味で、POSの 「 仮想ハンディ機能 」 を搭載しました。画面の中に出てくるお客さまのキャラクターがオーダーを出すので、それを仮想ハンディで受け付けるというシミュレーション形式でトレーニングができるのです。WEB上でそのハンディを登録すると、トレーニングの結果も出てくるので、オペレーションレベルが良いのか悪いのか、覚えきれていないのはどこかといったことを店長や本部が分かるようになっています。
【 野沢 】 アルバイトを即戦力化するために、研修時間をミニマイズするのは店舗運営において重要なことです。「 エフエスコンパス 」 の機能はクラウド上で動くものなのですから、自宅でもトレーニングできてしまうのです。
【 牧山 】 しかも、当社が用意した標準的な教育メニューではなく、自分が勤める店舗のメニューやボタンのレイアウトで勉強できるようになっています。また、練習した結果がデータで取れますから、特にチェーン店の本部の方にとっては、どの程度のレベルのスタッフがどのように配置されているのかすべて分かるというメリットもあります。ですから、フェアを開催したり、新店を出したりといった時には、適材適所に人員配置できるようになります。または、時給を決める際の指標としてもご活用いただけるのではないかと思います。従業員研修やモチベーションアップ、店舗のサービスレベル管理などに有効なツールになると考えています。
【 野沢 】 他にも、挨拶の角度や身なりはこうすべきといった画像や動画をアップロードしてトレーニングさせるといった使い方もできます。教育コンテンツなど自由にコンテンツを作っていただけば、Eラーニングのプラットフォームとして活用していただけます。
【 牧山 】 Eラーニングのシステムは、世の中にいくらでもありますが、POSの機器と連動して、お店独自のトレーニングまでできるのは業界にもあまりない斬新な機能だと自負しています。
- POSそのものの操作を教育するシステムもありますか?
【 三部 】 現在開発をすすめています。決済の場面では、割引チケットや電子マネーなどいろいろな事象が発生しますが、それらはオペレーションにおいてはストレスにもなりかねません。予め練習しておければ、いざという時に戸惑うこともありません。ちなみに、POSの仮想画面だけではなく、電子マネーの端末を仮想表示して練習もできるようになりますよ。
【 牧山 】 最近は、うどん屋など来店したお客さまが自分で商品を取って、レジに行くというセルフの業態が増えていますが、その商品が何なのかをレジ係が覚えるのはなかなか大変です。その練習のために、動画や静止画でメニューを撮影しておいて、出てきた画像をレジ打ちする練習もできるのです。もちろん練習結果も管理できます。「 エフエスコンパス 」 はPOSだけではなく、OESなど周辺にあるシステムを活用するための仕組みも搭載しているのです。