厳しい経営環境にさらされている外食産業で、“店舗運営をより良い方向に導く羅針盤(コンパス)”というコンセプトで開発されたPOSパッケージソフトウェアが、東芝テック の「FScompass(エフエスコンパス)」である。新GUI(グラフィカルユーザインターフェイス)の採用によるレジオペレーションの改善、新プラットフォームの採用によるクラウド環境への対応、シームレスで統一されたマスタ管理運用をはじめ新機軸となる機能を搭載。効率化や人材育成、消費者ニーズへの対応など今後の外食店に求められる、さまざまな課題解決へ指針を示す製品として期待されている。今回は、開発陣自ら「エフエスコンパス」の特長とその革新性を語っていただき、POS製品のトップシェアを誇る東芝テックの開発姿勢に迫ってみたい。
- 他にも、従来機から大きく変更された点はあるのでしょうか?
【 牧山 】 設定メンテナンス機能を全面刷新しており、オーダーエントリーシステムで使用するハンディターミナルの実機イメージが画面右側に表示されるようになりました。ハンディがそこにあるのと同じようになっており、直感的に迷うことなくハンディの設定ができるのです。
【 三部 】 左側のリストからドラッグ&ドロップをしていくと、ハンディタイプのボタンが増えていくという形で、決定したらそのままハンディに流して使うことができます。
- それは、どのような利用者ニーズを反映して開発したものですか?
【 牧山 】 個店さんでも、チェーン店さんでも同じようなニーズがありました。商談では表に出にくい部分ですが、「 ハンディの設定が一番大変だ 」 ということは導入後に必ず言われていました。メニュー変更するたびに、専任の人が一晩も二晩もかけて地道にやっているという話をよく耳にします。それは、私どもにしても、ユーザーさんにしても決していいことではありません。ですから、今回は 「 使いやすいものとは何か?」 という基本から設計を見直して開発しました。
【 野沢 】 設定ということでは、ハンディターミナルだけではなく、店舗にあるプリンタなど周辺機器の調整も大変です。例えば、複数台ある厨房のプリンタで、焼き場にあるプリンタには、焼き場だけのオーダーが出てくるようにする設定も手間がかかり間違いも多いようです。「 エフエスコンパス 」 は、それをPOSやパソコン、クラウドでシミュレーションできるシステムも搭載しています。
【 三部 】 これまでは、設定したら実際の店舗システムに流してみて、間違いがないかを実機で試す必要がありました。しかし、今回はツールの中で正しく動くかシミュレートできるのです。画面上にプリンタの印字イメージも表示されて、伝票が出てくるかのごとく表示されます。また、何番のキッチンプリンタにはこういうイメージで出てくる、何番にはこうというところまでPOSやパソコンの画面上で簡単に事前チェックできるようになるのです。
- プリンタの設定もデータベースに入れ込むわけですね?
【 牧山 】 はい。POSというのは会計機能だけではもの足らず、その裏でマスター維持管理をいかに簡単にできるかというのが非常に重要です。お客さまによっては、設定作業が大変なので、「 新メニューはすべて “ その他商品 ” で打っています 」 ということをおっしゃる方もいらっしゃいますが、そのようなお客さまの現状を分析し、POSの本来のメリットを活かすためにはどういうサービスや機能が必要なのか、もう一度洗い直して企画したのです。
- POSだからこそ得られるデータを有効活用することが前提にあるシステムなのですね。
- スレートPCと組み合わせるという考えはお持ちですか?
【 野沢 】 将来的には出てくると思います。実は、この商品は次の世代まで見越していて、クラウドのPOSに活かせる技術を盛り込んでいます。例えば、ハンディターミナルの設定などをPOSに入れたとしたら、それがそのままクラウド上でも動くようになっています。
- チェーン店の方が一括でやりたいとなると、クラウドにデータベースがあって持ってくるというのが便利ですよね。
【 牧山 】 それは、すでにASPのサービスとして提供していますが、では、個店さんの場合はどうするのかという課題もありました。今までは、ASPと別のものとして二重に作らざるを得ませんでしたが、今回はクラウドの仕組みをPOSの中にそのまま入れています。ですから、個店のお客さまの店舗が増えていって、本部で管理をする状況になったら、その機能を取り出してクラウドに持っていき、そのまま使えるようになるわけです。
【 野沢 】 お客さまの利便性はもちろんですが、開発側からすると二重投資しなくていいというメリットもあるのです(笑)。
【 牧山 】 ちなみに、「 エフエスコンパス 」 から切り離したクラウド版の 「 ITcaster CX( アイティーキャスターシーエックス ) 」 もリリース予定です。