外食ドットビズで紹介するイベントとしてはおなじみになったFS/TECイベントの取材を行った。前回のレポート同様、NAFEMとの共同開催である。
本サイトのパートナーであるOFSC:オープンフードサービスシステムコンソーシアム(千代田区・事務局は、株式会社フォアサイト)の協力を得て、米国外食産業の技術的なトピックを一部でもお伝えできればと、また必死な私である。
不勉強な私は、前回の取材でようやくおぼろげながらFS/TECやNAFEMの活動を知ると共に、国内の外食産業IT化・標準化に取り組む企業の現状を知りえた。
本稿にて余裕があれば、インターフェース標準化をはじめ、その後着々と成果を出し続けているOFSCの活動についても、後ほど触れさせていただければと思う。
出発する直前、スターバックスアメリカ本社より、2009年度第一四半期の業績下方修正が発表されている。(この記事が載るころはいささか古い情報になるが…)
予想を70%下回る、驚きを与える内容であり、店舗の戦略的撤退と従業員の削減もセットになった内容であった。
「消費者はもう4ドルのラテを飲まなくなっている」 という言葉が印象的である。
しかしそんな中、ギフトカード販売は好調で、シーズン中5億ドル強の売上げを達成している。
変化を冷静に受け止め、自社のポジショニングを正確に理解していないと、片方で血を流し、一方で未来の道筋を繋ぐ行為を同時に行うことは難しいだろう。
レストランは、「キッチン」だけでは無い。
いうまでもなく、「加工・調理」「サービス」が一体となったものがレストランである。
ホスピタリティのアウトプットを担うフロントサービスと、安全・品質というキーワードで顧客、ひいては企業そのものを防衛する工場が、一体になっている。
NAFEM Data Protocolと、ARTS XML Standardは、独自に発展してきたが、2005年にProConとよばれるプロトコルコンバータの初期バージョンがリリースされ、サービス関連デバイス、アプリケーションとの連携が始まった。
先に述べたNDPで定める規約を、Arts XMLスキーマにマッピングし、既存のITインフラが読み取れる情報に変換できる。
↓またざっくりまとめて怒られると思いますが・・・( PDF:122KB )
※ProConの概念図(参考文献:北米厨房機器業会(NAFEM)
http://www.nafem.org
前回の記事で、 Echelon社とマクドナルドによる「未来のキッチン」構想に少しふれたが、 今日では、我々が得た情報だけでもHAVC(Heating:暖房、Ventilating:換気、Air Conditioning:空調)システムとのデータ連携も視野に入れて着々と拡張が進んでいる。
今回は洗浄機器で「Steelkor」社の製品のみを取り上げたが、その適用範囲は広い。
適切な温度管理、鮮度管理と、環境を含む理想的なサービス提供の有機的な結合をシステムで実現する作業は、実はまだこれからの仕事である。
※紹介できなかったが、FEW 社の Mobile Refrigerated Air Screen 冷蔵庫の棚に独立した温度センサーが働き、自動的にエアスクリーンが起動。冷蔵庫のドアを開けっ放しにしても大丈夫とか。
・・・・閉めなさいよ。
しかしくどいようだが、標準化された仕組みの中で、その作業を行うことのアドバンテージは大きいと思う。
我が外食ドットビズのパートナー団体としても、よく話題にさせていただいている OFSC(オープンフードサービスシステム) では、国内でいち早く、この標準規格(Arts Poslog)に取り組み、このたび標準接続規格を公開している。
(私が愚説する前に当サイト内に関連記事があった・・・ こちら )
OFSCは設立当初から接続規格標準化のメリットを訴え続け、現在では名だたる外食産業のプレイヤーとハードウェアメーカー、ソフトウェアベンダーと共同で、確実な成果を出している。
時期はこの取材の後(2009年3月3日~)ではあるが、アジア最大級のイベントとして成長した HOTERES JAPAN (国際ホテル・レストラン・ショー) への出展を果たし、とりわけ家電(i-pod)へ実装したアプリケーションから、キッチンプリンタを 制御するデモ では、にわかに注目が集まった。
OFSCは、単純なインターフェース標準化を行うのみでなく、さまざまな立場から運用に適したモデルを創出するため、下記のような文科を手法として用いている。
OFSCが掲げる「日本から世界標準を」という言葉は、非常に印象的であり、今後の活動に注目したい。
こだわるが、マクドナルドは「文明」として日本にやってきた。
私は外食のプレイヤーでは無く、あくまでもIT分野に自分を位置付けて、外食産業から啓蒙を受けている立場であるが、このことがぼんやりと自身のテーマになりつつある。
アメリカの展示視察もまだこれで3回目だが、文化を発信するということと、文明を輸出するということが大きく違うことをようやく理解しようとしている。
本稿で多少アメリカの消費者文化や「食の安全」に対する態度の違いについて触れたが、今回はつとめて、全体の雰囲気をお伝えするというより、日本との差異を気付かせるプレゼンテーションに特化しようと思った。
普遍的なものを受け入れ、文化に順応するということは、脈々と続いており、「文明の伝達」という活動に無くてはならないものであるからだ。
新たに出現した「文明」を信用するには、時間がかかる。そもそもアメリカという国は、常に国際的なレベルで、そのことだけを考えてきた国のように思える。
「食」という文明を輸出するに当たって、他国(外部)に対する絶対的な信用を得るため、「安全」が不可欠で最重要な項目であったのではないか。
私はそのような視点に立って、「食の安全」ということを考えたことが無かった。
多民族国家として「サービス」の標準化が洗練されるのと同時に、ITによって両者が急速に接近したように思える。
前述した「未来の店舗」はやはりアメリカで、そう遠くない未来に出現するかもしれない。
外部を意識した時に初めて、「標準化」や「安全性の徹底」が必要不可欠で、最重要項目として浮かび上がる(大いに仮説を交えてではあるが)ということを伝えたかったが、どうも今日現在、アメリカや日本の企業は、「内需」へ向かっているようだ。
外食産業は、財を直接的に輸出するものではないが、前述したスターバックスに限らず、より母体を小さくし、動きやすくなろうとしているように思える。
これを受けて思ったのは、アメリカフードサービス業界、アメリカそのものが、意志的に、より小さくなろうとしているように感じたが、これが新しい時代を象徴する動きであるかどうかは、まだ分からない。
以上、日程的な問題もあり、無理やりコンパクトにまとめたレポートになってしまったが、FS/TECH・NAFEMやOFSCの活動状況については、今後もめげずに継続して情報をお届けしようと思う。
毎度のことながら、取材協力をいただいたOFSC事務局に深く感謝しつつ、この後、オーランドおよび、ラスベガス店舗視察・定点観測情報を掲載する予定である。
気づいたら、読んでもらえればありがたい。
福本 龍太郎
国内コンピュータ販社にて流通小売業界向けSI事業部門を担当し、外食店舗店舗システムにも関わる。
現在は有限会社ノーデックス代表取締役。
ネットビジネス黎明期より各種サービスプロバイダを経験し、業務システムへのネット技術の応用・普及につとめる。
有限会社ノーデックス 代表取締役
福本龍太郎の米国店舗視察 ラスベガス発 ~成長する砂漠のホスピタリティ~
福本龍太郎の速報!FS/TEC・The NAFEM SHOW2007
文: 福本龍太郎