同室で御世話になった酒美氏も「アメリカの人は良く働く」と。
中間がいないという意味らしいが。
早起きで、みんなきちっと仕事して、さっさと帰る。
話が前後してしまうが、よせば良いのに2日目、「せっかくだから」と、その日の基調講演、カンファレンス2種を拝聴させていただいたのだが、始まりの時間がなんと朝8:00。
で、早朝アトランタなのである。
6:00am起きで現地へ。(実は私は6:30am起床。同室の酒美さんに面倒かけました)
FS/TEC THE NAFEM SHOW 会期中、展示イベントのほかに、さまざまなテーマでセッションが開催される。どのイベントでもそうだが、本来ならばカンファレンスを受講し、知識習得に深みを増したい所である。
情報技術担当者を交えたセッション、テクノロジーエキジビション、経営者とのパネルディスカッションなど、ここでもオープンな対話と、情報収集が成される。
私も仕事で来ている以上、がんばって起きたのだが、パネラーの方々もなんだか相当眠そうにしているではないか。安心安心。
” Smart Equipment ” Takes Center Stage というセッションから。
前回の稿で述べた厨房機器とサービスの、情報のシームレスな統合というテーマについて、 Wendy's 社 の Roy Hook 氏( Equipment Development マネージャー)、 McDonald's 社 から Erick Krueger 氏( Retail Technology 担当)が、それぞれの立場から自社の実績や展望を述べた。
華美な印象だったのはやはり McDonald's 社である。
“Smart Kitchen Equipment” という表題は一般的だが、内容は興味深いものである。
日本国内でもリリースされたが、今年 7 月、 McDonald's 社は、 Lon Works ネットワーク基盤で有名な Echelon 社との全面的な協力体制で、店舗内のあらゆる設備をオンライン化し、「未来のキッチン」と題し、各店舗を施設とみなして統合管理を行う意向を正式に発表している。
特徴的な取り組みとしては、前回稿で述べた無線に加え、 PLC ( Power Line Communication :電力線搬送通信)、の採用を検討しているところだ。
厨房をとりまく過酷(情報機器にとって)な環境をクリアするための実験的な取りくみとも思われるが、周辺機器の省電力化が期待でき、グリーンプロダクツとしての一面と、コスト削減の両面から、大規模施設を有する企業では、真剣な検討が進んでいると聞く。
ただし、 PLC については、電波干渉などの社会的な調整が若干残っており、アメリカでも商用利用はまだ数少ない事例にとどまっている。しかしながら、 McDonald's 社の 30,000 店舗と Echelon 社の両横綱の推進によってこの産業から PLC 利用の啓蒙が始まるかもしれない。 Echelon 社は PLC 推進の急先鋒格でもある。
これも言葉にすると非常に単純になってしまうが、店舗には厨房設備機器の通信を取りまとめるゲートウェイ装置( Echelon 製)を介して店舗サーバーでリアルタイムモニタリングを行ったり、本部での一括収集を実現する。
プレゼンテーションに見るとおりすでにこのトポロジが出来上がっているということは、水面下では相当な仕様まで詰めているのでは無いかと思える。
・・・非常にスケールの大きい話ではあるが、リーディングカンパニーが語るところに、その効果が現実的な利益として浮かび上がってくる。
Krueger 氏は結構大げさに表現していたが、産業全体として、環境面と経営実質面で生み出す利益は途方も無い。
Wendy's 社は、角度を変えて、厨房設備開発の担当が、主に自社開発、またはメーカーと一緒に取り組んだレストラン設備についての解説を詳細にわたり報告した。
なにやら大言壮語の McDonald's 社に対して、非常に規模の小さい話に感じるが、具体的にメーカーとの共同開発における注意点や、展望を持って開発に挑む共通の理念というものを訴えていて、論調は地味だが迫力はあったように思える。
自社開発の設備のことに終始していたが、ハイテクノロジー(?)ハンバーガーグリルや、オートメーションコーヒーディスペンサー、通信機能と金融機関との相互運用を実現したセーフティ金庫などを紹介し、それぞれのコスト削減効果、将来展望を述べた。
開発経緯と設備担当としての開発ポイント、実際の展開による効果をわかりやすく説明。
個人的にこの手の苦労話は好きである。
以前、日本の大手外食企業の、無沸騰型パスタマシンの開発経緯を聞いたことがあるが、
88℃~97℃までの間、何回もパスタをゆでては捨てて実験し、+-0.5℃の温度領域を見つけ出すまでさまざまな苦労があったそうな。(その効果や革新要素については、ここでは書かない)
そのときの設備開発担当者のお話が非常に面白かったせいか、このような研究開発の話は、非常に現場の向上心をたきつける素材だと感じるのである。
Wendy's 社の例も、すでに展開を終えて結果を出している事例紹介として、堅実な印象を持った。
Wendy's社の Hook氏は、あまり、 McDonald's社と同じ壇上にいるという気負いを見せていなかったが、Krueger氏は
” Smart Equipment → Smart Facility ” (設備から施設へ?)などというキーワードを出したり、かなり相手を意識していた模様。
2社のアプローチは対照的であったが、それぞれの設備の相互運用の重要さや、クロスプラットフォーム上での導入、オンラインによるリモート運用、情報収集については共通した意見であるようだ。
両者とも、 NAFEM Protocol に対する期待を語っている。特に Wendy's 社の Hook 氏については前日のセッション( NAFEM Protocol と Arts XML プラットフォームの連携)を例にして、展望を語っていた。
私は、少ない回数だが米国のフードビジネス業界の潮流に触れ、日本よりはアメリカのほうが「産業化されている」と考えるにいたっている。
(特定の分野で「進んでいる」と思っているわけではない)
今回も、≪第2回≫の稿で述べた EMN8社とその戦略パートナーシップと似たような感覚を持った。
前回の稿で少し触れた NAFEM Protocolの策定に関わる活動のように、業界団体が基礎工事を行えば、リーディングカンパニーはそれを排除せず、一気にその上にビルを建てて啓蒙する立場となる。
さらにこんどは専門メディア( NRN のような)が、それらの活動を相互の観点から積極的にわかりやすくアナウンスする。
そのような気分と、連携の基盤が、アメリカのフードビジネス業界にはあるように思える。
(気分というのはおそらく「 Open Mind 」てところでしょうか。アメリカではどのビジネスマンもそうですね。)
はじめから言い訳してしまうが、リアルタイムで聞き取れた訳ではない、資料から起こした意訳がたいそうあるが、大まかな印象としては間違っていないと思う。
受講したカンファレンスは、
- Feedback the TOP : CEO / COO Panel -
→プレイヤーから Zaxby's Franchising のCOOと、Bruegger's Enterprise のCEO、を交え、インフォメーションシステム構築の実際を本音で語るセッション。
および
- ”Smart Equipment” Takes Center Stage -
→上記、調子の良い、 Wendy's 社、および McDonald's 社、両雄の最新テクノロジーを紹介という2つのセッションであるが・・・。
大変申し訳ないが「 Feedback the TOP : CEO / COO Panel 」については、
あ、聞き取れませんでした。
あいまいな記載はできないので、写真で雰囲気だけ記載することにした。
OFSC事務局からは、「あれは相当慣れてないと聞き取れないよ」と慰められたが、またもやふがいない結果であった。・・・無理やり問題無しとする。
- ”Smart Equipment” Takes Center Stage -
については、かろうじて講演形式で、プレゼンテーションによる解説を交えながらのセッションであったため、キーワードの拾い聞きと資料で、なんとか「たぶんこんなこと言ってるんだろうなあ」というあいまいな解釈を勝手にすることにした。
・・・まあ、雰囲気を伝えるということで・・・。
参考資料:
電化厨房ドットコム: https://denkachubo.com/topics/denkijoho/denkijoho_07.html
エシュロン社: http://www.echelon.com/products/cis/smartserver.htm
次回、総括というか感じたことというか、まとめてみたいと思う。
その後、またもや本当にどうでもよい視察エピソードをエピローグとして記載する予定である。
こまめにサイトをチェックしていただければ幸いである。
福本 龍太郎
国内コンピュータ販社にて流通小売業界向けSI事業部門を担当し、外食店舗店舗システムにも関わる。
現在は有限会社ノーデックス代表取締役。
ネットビジネス黎明期より各種サービスプロバイダを経験し、業務システムへのネット技術の応用・普及につとめる。
有限会社ノーデックス 代表取締役
文: 福本龍太郎